表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

とある年の差カップルの約束とかの話

ねがいごと

作者: 村上泉

七夕だから!と書きました!

日付を越えなければぎりぎりセーフですよね!

「ねぇ、今日は晴れて欲しいね」


 私は彼に寄りかかりながら言った。

 彼はちらりとも窓を見ずに、


「そうだな」


 と生返事をする。


「部屋にささのは、飾りたいねー」


 私は芳樹の態度など気にせず言うと、


「そんなことどうでもいいから、早く用意して学校行けよ」


 と冷たいことを言われてしまった。

 芳樹に身体どかされ、


「分かった」


 としょぼくれながら準備をし、部屋を出た。

 芳樹は在宅ワーカーなので、今日も部屋から出る予定はないような格好で私を見送ってくれた。


 外に出て、スマホを確認すると父からメールが来ていた。

 受信時間は昨日の22時だ。

 その時間は友人とラインをしていたから、メールが来ていたら気付くはずなのに、と思ってから、最近メール機能がおかしいのだと思い出した。

 ラインでのやりとりがほとんどでメールはあまり使わなくなっていたので忘れていた。


 父からのメールの内容は、「芳樹くんに迷惑かけていないか?」とか、「ちゃんとご飯食べてるか?」とか、そんな程度の内容だった。

 とりあえず元気だと返信しておいた。



 彼ー元町芳樹もとまちよしきは、私ー神崎若葉かんざきわかばの父の、友人の息子だ。

 昨日から一週間、会社の都合で海外に行くらしい父に母がついて行き、私は学校があるからと、おいてかれ、私の学校の近くに自宅がある、芳樹の元に預けられた。

 その家は芳樹が一人暮らしをしている家で、父は相当芳樹を信頼しているようだ。


 私は芳樹が好きだ。

 ずっと好きだ、好きだと言って、今付き合ってもらっている。


 私は高校生で、芳樹は社会人。

 だから私は子供扱いをされてばかり。

 付き合ってもう一年になるのに、芳樹は私に手も握らせてくれない。

 今日だって、二人きりなのに冷たい。


 学校の最寄り駅に着き、駅を出て歩き始めると、雨がポツポツと降ってきた。

 今日は七夕なのに…。

 きっと、織り姫さまと、彦星さまは会えないな、なんて思って、 なんだか、私まで悲しくなってきた。



 放課後、友人とタピオカを飲みながら、そんな芳樹の愚痴を友人に話していると、店内に笹の葉が置かれているのが目に付いた。

 そんな私の目線に気がついたのか、友人の一人が短冊と笹を指差し、


「ねぇ、みんなで書こうよ!」


 と言った。

 みんなが賛同したので、私も何となく、短冊を手にとり、ペンを握った。

 小さい頃はこういう大きな笹が家に欲しいと、芳樹を困らせたな、なんてことを思い出した。


『芳樹が私のことを大好きになりますように』


 と書いてから、少し恥ずかしくなった。


「リア充が!」


 と隣で友人の声が聞こえたが、リア充ならばこんなことは書かない。


「リア充じゃない!可哀想な片思い女なのよ!」


 と、とりあえず逆ギレしといた。


 それからお腹すいたーとみんなでファストフード店に入ってご飯を食べた。

 気付けば、空が真っ暗で、雨が強く降っていた。

 電車もダイヤが乱れているようだし、一部電車が止まっているようだった。


 家が一番近い友人が親と連絡を取り、


「雨凄くて大変だから、うちで良ければ泊まる?」


 と言ってくれた。

 明日は休日だし、とお言葉に甘えることにした。

 

 とりあえず、芳樹にメールを送り、友人の家に向かった。

 自分を含め、4人はとても仲が良かったので布団に入ってからおしゃべりが途切れることはない。

 23時を回った辺りで私のスマホが、なった。


 芳樹からの電話だ。


 なんだと思いながら、電話に出ると、


「お前今どこにいるんだ」


 と不機嫌そうな芳樹の声が聞こえてきた。

 

「どこにいるって、メールしたんだけど」

「来てない」


 芳樹にそう言われ、メール機能が壊れていたことを思い出した。 


「あっ!」


 と、思わず声が出て、急いで芳樹に事情を説明した。

 すると、


「お前!俺がどんだけ心配したか、分かってんのか!!」


 めちゃくちゃ怒鳴られて怖かったけど、心配してもらえて、少しだけ嬉しいと思ってしまった。

 それから、明日の朝もう一度連絡するから、その時に友人の両親に電話を代わってくれと言われた。


 電話を切ってからは、みんな疲れたのかおやすみモードだったので私も寝た。


 朝芳樹の言うとおり、友人のお母さんに芳樹からの電話を渡した。

 話し終えたようでスマホを返される時、


「良いお父さんねー」


 と言われた。

 何を言ったんだ!?芳樹!?


 と思いながら嬉しいやらなんやら複雑な気持ちになった。


 家に帰ると、何故か部屋にささのはがあった。

 そこには一つだけ短冊がぶら下げてあった。 


「若葉!」


 芳樹が怒ったように私の名前を呼んだが、お構いなしに芳樹に飛びつく。

 

「ありがとう、芳樹!笹!私のためでしょ?」


 突然の衝撃に驚いたような顔をした芳樹たが、すぐに微笑んで、「ああ」と言った。

 全然聞いてないように見えてちゃんと聞いていたんだと思ったらやっぱり嬉しくて、


「芳樹大好き!」


 と叫んでいた。

 そんな私に芳樹が珍しく微笑んで、


「俺もだよ」


 と、言った。

 

 短冊の願いが叶ったのかも。



 それから、私もささのはに短冊をつけてから、芳樹が書いたであろう短冊を読んだ。


『若葉が、早く大人になりますように』


 そう書かれてあった。


 

……

………

 

 


 芳樹は、若葉の父から高校を卒業するまで、若葉に積極的に触れ合うことを禁止されていた。


 そんなことを知らない若葉から、短冊の願いについて、追求されて困ってしまう芳樹だった。


 あまりにもうるさいので、芳樹は若葉の唇を自分の唇で塞いだ。

 若葉を顔を赤らめて、笑った。

 芳樹もそんな若葉が可愛らしくて、抱きしめたが、こんなことが若葉の父にバレたら大変だと、内心恐がっていた。


 そして切実に、短冊の願いを呟いた。


「お願いだから早く大人になってくれ!!」

ぱーっと書いたのでかなりの低クオリティー。

本当にすいません。


今日友人に、雨が降っていたので、


「雨が降ってるよ!織り姫さまと彦星さま会えないね!」

 

と私が言うと、


「雲の上で、会ってるでしょ」


 と言われて何も言えなくなった。

 確かにその通りですね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ