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マーカー少年と金髪親父  作者: 霧島成久
第一部 親父帰国編
1/1

それは所謂プチ迷子

 この空港を旅立ったのは、五年前のこと。

 海外へ渡ってからは、ずっと海外から海外へと渡っていて、結局此方へ戻ってくるまでに五年もかかってしまった。

 五年ぶりの日本の空港は、全く変わっていてとても華やかだ。

 ここを旅立った時なんかよりずっとずっと綺麗になっていて、人は相変わらず多い。

 久々の日本に、何故か感動した。自分と同じ平たい顔が多くてホッとする。


 「あー……米食いてぇなぁ」


 引きずっていたキャリーを側に置いて端の方でググッ、と伸びると固まっていた骨がバキバキと音を鳴らす。

 それを耳にしたのならば再びキャリーを引き、やっと家路へと着くとしよう。


 久々の日本、久々の平たい顔、久々の母親、妻、――息子。


 色んな期待を胸に、兎に角家へと急いだ。


 **************


 空港から電車で1時間ちょっとで最寄りの駅に到着して、其処から自宅までは数十分だ。

 歩いても全く苦ではない道のり。の、はずだったのだが。いざ歩いてみると、どうしてか今日は中々歩が進んでくれない。

 勿論、荷物が重いというのもあったのだが――道を忘れてしまっているのだ。

 自宅は道の入り組んだ場所にあり、何度も曲がったりしなくてはいけないし記憶は曖昧だしで曲がり角に出会う度に困ってしまう。

 ……けれどそうなってしまっても仕方ないのかも知れない。五年という歳月はあまりにも長いから。

 自宅までの道のりを暈してしまっても何らおかしな話ではない。


 「参ったなぁオイ……、えーっと、確かこの道を左だったはずだ」


 はあー、と長い溜息を吐きながら、最後の曲がり角であろうそれを曲がる。

 するとそこには――あった。どっしりと威厳を持つ門を構えた平屋が、しっかりとそこに。

 今度は安堵の溜息を零して、門を見上げる。

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