戦火の君へ
雪は嫌い
あの人の体温を記憶から奪い去っていくから
雪は好き
あの人のプロポーズは雪の降る夜だったから
雪は嫌い
あの人の影を白く消し去ってしまうから
雪は好き
愛おしい我が子が楽しそうに遊ぶから
雪は嫌い
孤独な夜を思い出してしまうから
雪は好き
白く、何もかもを
心の隙間さえも白く、埋め尽くしてくれるから
「ママ!手伝って」
「……はいはい」
吐いた息は白く染まり、澄み切った空気に溶けていく。
子供と作った雪だるまはとてもブサイクで
笑ったあなたにそっくりでした。