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転生してきた幼子を育てたら女神だったんですが!?  作者: 惰性ねてる


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1/1

無職は有職より夕食

Q お仕事は何を?


俺は無職だ。28歳。名前はある。

ニート?なんでもかんでも横文字にするなよな。

無職ってのはな、無い事が仕事なんだ。


Q 何故無職なのですか?


アリの法則を知ってるだろ?あれだよ、あれ。

職務経験?勿論あるに決まってる。

 

Q どの様なお仕事を?


接客業、製造業、建設業、林業、漁業、合わせて100社以上これまで働いてきた。

正直経験した事がない職は無いかな。


Q どのくらい働いたのですか?


勤続年数?そんなものないよ。

勿論全部1ヵ月以内に辞めてる。

・・違うな、辞めてるんじゃなくて飛んでる。

勿論、音信不通+バックレの二重の翼でな!


Q えっ、貴方は翼を持っているのですか?


勿論だ。俺に飛べない場所はない。

最短1日で飛べるぜ?何者にも俺を縛る事は出来ない!


Q 素晴らしいですね!是非、翼の使い方をご教授頂きたいです!


ああ、いいぜ!明日丁度バックレる予定だからついてこいよ!見せてやるよ俺の折れない(アンブレイカブル)(ウイングス)をな!


Q はい!分かりました!では、明日伺わせて頂きますね!あっ、最後にお名前を聞いても宜しいですか?


名前?ああ、俺の名前は真翼(つばさ)だ。

真の翼と書いて真翼だ!


ーありがとうございます。真翼。

私達の世界を頼みましたよーー。


世界?そんな大げさな(笑)

そんな大した事じゃねェェエ!?


ガタンッ


「痛ててててて」


ベッドから頭から落ちた。毎度の事だ。

俺の寝相の悪さはもはや芸術なのだ。


カーテンを開ける。

「おお~!今日もいい天気だなあ~!」


右手を掲げて詠唱する。

「クロノス!」


大きな時計が出現し時を告げる。

「タダイマノジコク、午前7時、7時」


職をバックレては飛び、バックレては飛びまくった俺は東の島国からいつしか、遥か西の大陸に到着していた。

「思い返せば長い旅立った・・・」


目を閉じれば俺の逃亡劇が浮かんでくる。


「当分、走馬灯には困らないな」


宿場の2階から1階に下りる。


「おや、ツバサ、おはよう!今日もうるさい打楽器ありがとよ!」


ふくよかな見た目の女店主が声をかけてきた。


「ああ、おはようトレサ」

「今日は頭と肩のデュエットだったよ」


「朝飯はパンでいいかい?」


「うん、頼むよ。目玉焼きは2つで!」


「あいよ、ちょっと待ってな」


<トレサ亭>

静かな森の中の宿は荘厳な雰囲気を漂わしていて見た目も新しい。窓を開けると森の香りが鼻の奥を刺激して森の一部分になる様な錯覚を覚える程だった。

とても田舎にあるような宿ではなかったが客は俺だけだった。

この辺境の地まで来る旅行者は少なく、村の住民は家があるのだから泊まる訳もない。


トレサは器用に片手で卵を二個割りながら言った。


「ツバサ、あんたがこの村に来てもう1週間経つけどさあ、」

「働き口はあるのかい?」


うっ、朝から言われたくない言葉である。

故郷の母の言葉を思い出す。


「トレサ、朝からやめてくれよ。胃が痛くなって飯が食べられないだろ?」


「だってアンタ。明日の宿代払えるのかい?」


トレサは俺の腰についている布製の硬貨入れをフライ返しで差す。


「まだ明日分くらいは・・」と硬貨入れを逆さまに振ってテーブルの上に硬貨を出し・・出せ・・出ろ・・!出なかった。


「トレサ」真剣な顔で呼ぶ。


「俺がここを出るまで養ってくれ」


テーブルに朝食が届く。


「バカ言ってるんじゃないよ。あんた、この宿だってねぇこんな辺境の地で営業してんだ。毎日ギリギリで生活してるんだよ。」


「うーん、やっぱ無理かあ・・」

パンを食べながら宿の掲示板に目を泳がす。


「ん?」

掲示板に思わず飛び付く。


<助手募集※急募!>

1日即金で5000ユニオン支払います。

体力は使わない仕事です!

1週間限定!衣食住提供有!厚待遇!


「5、5000ユニオン?5000って言ったら、えーと。」

この宿が一泊30ユニオンだから・・・

「ひゃ、166日も無職が出来るのかよ!」

「これは行くしかないな、ふむふむ、村外れの魔女の依頼なんだな」

飯を急いで食べて店を出ようとする。


「お待ち」

トレサが冷たく静止する。


「ツバサ、アンタ166日って1日しか出ないつもりかい?」


「勿論だ。俺の折れない翼に誓ってな!」


はぁーー。トレサは深い溜め息をつく。


「魔女様から逃げられる訳がないだろうに」


トレサの言葉に俺のプライドに火が着いた。


「じゃあ、俺が1日で逃げられた場合、ここにタダで1年居させてくれよ!毎晩夕食付きで!」


「1年どころか一生居て良いよ。私が毎日背中流してやるよ」


「いや、それは・・」

「ともかく!約束は守れよな!じゃあ行ってくる!」


「はいはい、期待しないで待ってるよ」


ツバサが勢いよく宿を飛び出した時、上空では聖竜が静かにツバサを見つめていた。

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