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ミニスカ・アルゴリズム ~マナカの情報技術試験と幼馴染ハルの脆弱性~  作者: 滝川 海老郎


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第6章1 マナカのセーラー服サマーシーズン

 夏休み前、俺、工藤マナカはAIの研究兼最新ゲーム用に憧れのRXX6099グラフィックボードを購入した。

 いわゆるGPUと呼ばれるものだ。

 二桁万円である。かなりお高い。

 というか高校生が買うようなお値段ではない。


「でも、買っちまったんだよな。ポチッとな。あぁ明日からのお金どうしよう」


 金欠である。

 俺はげっそりしながら毎日机に突っ伏していた。

 勉強をするときはするが、こういう時は本当に何もしない。

 そこへナカチュウのカイがさらっとこう言った。


「マナカさ。缶コーヒーを一週間分やるからさ。女の子みたいってよく言われるマナカちゃんは、ハルさんにセーラー服とミニスカート借りて着てみてくれ」

「え、なんだそれ」

「缶コーヒーを一週間分」

「やるやる、あ、うん……」


 思わず反応してしまったが、ハルのセーラー服だと。

 確かにこの前まで俺のほうが小さかったが、最近は少し成長してきて背丈も同じくらいだ。

 普通に着れる。俺は細身なのも影響した。

 カイの悪乗りなのは知ってる。でもコーヒーに目がくらんだ。

 俺はたまにコーヒーを飲んでリフレッシュしないと、勉強にも力が入らない。



 朝、俺は学校へ行き、ハルから予備のセーラー服とミニスカートを借りる。

 そしてすね毛は剃ってきている。準備は万端である。

 さっと教室の隅で、ささっとセーラー服を教えてもらいながら隠しボタンをつけて、とめていく。

 スカートも同様に腰にボタンがあるんだな、知らなかった。

 男子の服と構造が違うのに戸惑いながら、なんとか着た。


「マナちゃん~かわいい~~~」

「おい、マナカ、それは反則だぞ」

「マナカ君、普通にかわいいじゃんか。七森ナナカほどではないけど、悪くはないね」

「お前ら……」


 パシャパシャ、写真を撮られる始末である。

 こんな俺を撮って楽しいか? いやめっちゃ笑ってるな。

 楽しそうだ。解せぬ。


「ちょっとハルちゃん。これ工藤君、ミニスカートやば」

「私のだからね。ミウ、私もこんな風なの?」

「いや、まあ、そうですね」

「そうなんだ、なんだか新鮮」


 ミウとハルもウハウハ楽しそうだ。


「ぺったんこだね」

「そこはハルちゃんと違うよね、あはは」


 ミウも容赦がなかった。

 俺は胸はないからな。あったらあったで大変だ。


「ブラと詰め物もしたほうがいいよ、ほらほら」

「やめて、俺の尊厳が」

「あははははは、ウケる」


 ミウは爆笑中だ。腹を抱えて笑っている。

 そこまで面白いか、これ。

 ハルも見ちゃいけないと思っているのか、遠慮しつつ、チラチラ見てくる。

 むしろその仕草がかわいいが、なんかこちらがいけない事をしている気分になってくるぞ。


「けしからん短さでしょ、私の黒髪と並べば完璧!」


 復活したミウが再びからかってきて、俺とツーショットを撮ろうとする。

 ニヤニヤしながら顔を黄色いニコニコマークに加工して、ネットにアップしていた。

 あっという間の早業だ。現役女子高生のテクは恐ろしい。


「どう見ても女の子のツーショットだな」

「どっちが女の子でしょうか?」

「ミウは胸あんまないから、分かんなくね」

「だよな」


 カイは「二次元アニメの男の娘のようだ」と言って写真を撮っているし。

 一方のトウマは「Vtuberのコスプレみたいだな」と言ってやはり写真を撮りまくっていた。

 その中の一枚、後ろ姿はどこから見ても女の子のソレで、本当に俺なのか怪しいくらいだった。

 ちょっと髪の毛伸びてきたなとは思っていた。それがちょうどショートカットの女の子みたいに絶妙に見えるのが悪い。

 俺は悪くない。はやく理髪店にいかなければ。


 男子たちがアップされた画像を見て、なにやら品評を始めた。

 クラスメートたちは大いに盛り上がるのであった。


「二度とやらん!」


 俺は後悔したのであった。

 コーヒーはもちろんいただいた。ありがとうナカチュウ。





 さて終業式をして、夏休みに突入だ。

 ビバ夏休み。

 AIとスマホとパソコン生活からいったん離れて、デジタルデトックスと行きましょう。

 俺は合宿勉強会だと意気込んだのだが……。


「夏休みだってば、デジタルデトックスだよ」

「そうか」

「海、プール、山、水着、ビキニ! 見たくないの? わ・た・しのビキニ!」

「まあ、どちらかというと、見たい」


 ハルがぐいぐい食いぎみに迫ってくる。

 デジタルデトックスとはスマホやSNSから離れて、心身を回復させようという趣向のものをいう。

 オタクのいう、アニメ断ちやゲーム断ちみたいなものだ。

 ただ、デジタルネイティブ世代に言わせれば、生命線を絶たれたような苦痛を伴うとかいう人もいる。

 まあ「息抜きできればなんでもよい」という意見もある。まるでカイのようだ。

 カイの「動けばいいんですよ」という言葉を思い出す。

 それも真実のいったんではあり、世の中それでだいたい動いているらしいのは闇が深いと思う。


 ビキニな。

 俺だって一応男の子でそういうのに興味がないわけではない。

 そういう美少女ゲームもやったことがあるし、そういう動画を見たこともある。

 女の子がたくさん出てきて、ハーレムしたり一人を選んで恋に落ちたりするゲームだ。

 ハルやミウがビキニになるのか……。

 そっか、もう高校生だもんな。小学生の頃はまだ小学生用のフリフリのついた一体型の水着とか着ていたはずだった。

 中学時代はあまり一緒に遊ばず、コンピューター部にはハルは顔を出していたが、プライベートな付き合いがぐっと減っていたので、あまり水着の記憶はない。

 そのハルも、ビキニなのか。


「海行こう、海!」

「分かった。分かったから」

「やった、じゃあナカチュウとミウと予定合わせる」

「やっといてくれ」

「ラジャー」


 俺たちはみんな暇なのか、すぐに予定が合い海へと海水浴場に行くことになった。

 今回は豪華にタクシーである。

 また仕事を少し片づけたので、お金がある。

 今回は割がよかったので、お財布はほくほくだ。

 二か月遅れくらいで入金されるので、仕事は中間テスト前だったんだよ。

 スケジュールのちょうど空き時間があって、そこにぴったりの案件でよかった。

 仕事でお世話になっているリバーサイド・テクノロジーの社長さんは、川袖さんという。

 川袖……リバーサイド。ふむ、なるほどね。駄洒落かよ。

 これ、ひょっとして父親の趣味か。なんかそんな気がしてきた。

 家に戻ってきて、たまに酒を飲んでオヤジギャグを言う父親の笑顔を思い出す。

 母親も一緒になって笑ってたな、そういえば。


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