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老ハギオイ

7年後――


アルノンの渓谷に盗賊トレスのねぐらがあったことなど忘れ去られていた。

いくつもの戦争があり、アルノンの山々は今、3つの国が分割して領土としていた。

アルノン山脈の南の国テーマーンも山の一部を領土としていた。


テーマーンは、5年前までは知名度の低い小国だった。

5年前、それまで荒れていた周辺地域を制圧して領土を広げ、大国の仲間入りを果たした。

大国の中にあっては一番歴史が浅い。

歴史が浅い分、国は安定していない。

広くなった国土を移民や制圧した地域の人間含めた多人種が混ざりあう。

とにかくトラブルが多い。


テーマーンの最北がアルノンで比較的新しい領土だが、一番新しい領土は最南の領地テムナだ。

領地テムナの南には海が広がり港町として重要拠点となっていた。

海は恵みも運んでくるが荒くれ者も多くやってくる。

治安はお世辞にもいいとは言えない。

領都の中でも喧騒が絶えない。


人が多く行きかう港町では日常茶飯事となる光景がある。


「お尋ね者の人相書きで見た顔だな」

斧を担いだ大男の横を灰色のフードを深く被った女が通りすがりに声をかけた。

女は細い剣を腰に差していた。

「誰だ、てめぇ」

「ハイエナってお前の事だろう?」

「それがどうした」

「その首、もらった」


次の瞬間、女の剣は抜かれていた。

なんの抵抗もなく男は首を落とされた。

女は男よりもかなり小柄だったが、素早さで優っていた。

「賞金額、銅貨10枚」

小者だな。


人が殺されたというのに周囲を行きかう商人たちでさえ驚かない。

新しく港にやってきた「おたずね者」は必ず狙われる。


テーマーンの各領主は治安を維持するため、騎士や警備隊を巡回させつつ、賞金を懸けてお尋ね者を取り締まるという手段をとっていた。


賞金稼ぎ。 

そういう職業が成り立つ国だった。


不思議と戦争で疲弊しているのに金回りがいいのがテーマーンの王族たちだ。

賞金稼ぎに金払いがいい。

テーマーンは、隣国にあった軍事国家を倒し、その財宝を手に入れていた。

軍事国家の名はバラバといったが、国として成立していた期間はわずか2年。

もともとあったクレニオ国の軍隊が下克上を仕掛けて王族を根絶やしにして起こした国だ。

そのため、国民や騎士の中にはバラバの王となった将軍を嫌い倒そうとするものが多くいた。

テーマーンはその心情を利用してバラバを倒し勢いに乗り周辺地域を平定していった。


クレニオ国王は成金趣味が有名で盗賊に情報を流し、盗みをさせ、その盗賊を倒しまとめて財宝を手に入れていた。

当然、その役目を担う軍隊は強かった。

しかし、王族がその軍隊への報償も渋り始め将軍を怒らせ下克上となった。


バラバ国の誕生。

バラバを建国した軍人たちは力を振りかざし税金を取り立てたので反感はクレニオ国の時より高まってしまった。

テーマーンはそれを好機と捉え逃さなかった。

テーマーンの王はそれなりに優秀だったというわけだ。


地域を平定したとはいえまだまだ安定していない。

大国といえるほど国土を広げたが、大きくなった分、国のかじ取りが難しい。

だからこそ、賊に好き勝手させるわけにはいかなかった。


灰色のフードを被った小柄な剣士は、港町の奥にある賞金窓口にハイエナの首を届けると銅貨を受け取った。

「今月に入って8人目だな。いい腕だ。もうすぐ警備団の募集があるが、どうだ?」

窓口から警備団への勧誘があったが剣士は首を横に振って興味がないことを示すと踵を返した。


剣士は町中を出ると領都への街道から外れた細い山道を登っていった。

山の中腹にある一軒の丸太小屋に着くと扉を開けた。

「ハギオイ!ただいま!」

中には部屋中に蔦が張っていた。

まるで森の中だ。

その奥から小柄な灰色の髪の老人が出てくる。


ハギオイと呼ばれた老人は穏やかな笑顔を向けた。

「今日はいくらになった?」

「銅貨10枚」

「小者だなぁ」

剣士はハギオイに銅貨10枚を渡した。


剣士は天井から垂れ下がる蔦に気を付けながらフードをとって髪を振り払う。

真っ白な髪が広がった。

ハギオイを見つめる瞳は真紅だった。


「小者ばかりだ。もっと強いやつを倒したい」

「アザリア、何歳になったかね?」

ハギオイの問いにアザリアはばさばさの髪を整えながら眉をひそめた。

「15」

「まだあと一年は修行だな」

「まだ1年?嘘だろ。誰か他の奴が黒竜を倒したら復讐できなくなる」


アザリアはこぶしを握り締めて、アルノンの山に眠るトレス達のことを思った。

今でも血に染まった渓谷のことはハッキリと覚えている。

絶対に許さない。

黒竜はこの手で殺す。


「黒竜は強いからね。誰にも討ち取られたりしないよ」

ハギオイは穏やかにそう言ってお茶を入れた。

「お前さんに初めて会ってから、もう5年になるかの?」


アザリアがハギオイに出会ったのはテーマーンの北の領地、アルノンの山に接する町だった。


バラバとの戦争が終わり、周辺の民族と小さな紛争が続いていた頃だ。

とはいえ、物々しい雰囲気はあるものの戦場以外は民の生活はそう変わらない。

犯罪者もいれば、商人も農民もいる。

基本的に日常は過ぎていく。

そんな領地の片隅で、アザリアは奴隷商人につかまり見世物小屋に売られようとしていた。

そこを「老ハギオイ」と呼ばれる老人に助けられた。



一人生き残り、アルノンの渓谷を出たアザリアは考えた。

マノアは傭兵黒竜をどこかの国が雇ったと言っていた。

その国に入れば黒竜の噂を聞けると思った。

国というものがアザリアにとって曖昧な存在すぎて、復讐の対象は黒竜だ。


角笛を響かせた軍隊の噂はアルノンの麓の村で耳にした。

クレニオ国。

すぐ近くの国だ。


アザリアはその国の都を目指すことにしたのだが、

次の村で国王が殺されて、国が変わったと聞かされた。

国が変わることがアザリアにはわからなかった。

国というものはそこにあるものだと思っていたからだ。


新しい国はバラバというらしい。

なんでも、強い傭兵たちが力を貸して前の王を倒したらしい。

アザリアは黒竜がいるかもしれないと思い、王都へ急いだ。

急いだが、路銀もなし、馬もなし。

アザリアは焦って宝剣を貨幣に換えようと商人に声をかけた。

「これを金貨に換えてほしい」

「これは…」

商人は宝石がいくつも嵌る黄金の宝剣に生唾を飲んだ。

持ってきたのは小汚いフード付きのマントを被った少女だ。

「王家から盗んだのか!」

商人は宝剣に目がくらんでアザリアを泥棒呼ばわりして護衛に処分させようとした。

アザリアは必死に走った。

途中、フードを掴んだ護衛がアザリアの真紅の瞳を見て驚いて叫んだ。

「魔物だ!」

護衛が手を離した隙に逃げ出した。

宝剣は取られてしまった。

悔しくて情けなかった。


アザリアは焦らず冷静に路銀を得る方法を考えた。

アザリアの瞳と髪の色が周囲に不気味がられることは昔から自覚している。だから隠して交渉するしかない。

そう思っていたが、アザリアは盗賊トレスの娘だ。

盗みについては知識がある。

盗み取ればいい。

それが結論だった。


何回かの盗みは成功した。

飢えずに旅は続けられた。

獣に襲われたこともあるが、拾った剣でなんとか倒した。


地図もない子供の一人旅。

目的地には着かず、戦場から逃げ出した兵士に遭遇し、

食べ物を奪われ、マノアとトレスの形見を奪われた。

「畜生!」


切り殺されかけたことは何十回。

奴隷商人に捕まった時は傷だらけのボロボロで、少女というより獣だった。

栄養不足で小柄で骨と皮と言っていい状態でもあり、抵抗する力もなかった。

それでも奴隷商人達は逃げようとするアザリアを袋叩きにすると獣用の檻に放り込んだ。

見世物にちょうどいい。


「紅い目の魔物」


「これ、売れるのですか?」

商人の弟子が首を傾げた。

商人は何でも売るやり手だったからニヤニヤと笑って言った。

「見世物小屋に魔物がいる。魔物に石をぶつけて銅貨1枚。戦争で苛立っている連中の遊びだよ」

「なるほど」


たまたまハギオイはその会話を檻の近くで聞いていた。


「旦那さん、見世物小屋にいくらで売る?」

ハギオイは商人に声をかけた。


「珍しい生き物だから、金貨1枚くらいは要求するなぁ」

商人はいきなり現れた老人の身なりを見ながら、質問の意図を考えた。

ハギオイは村人らしい古びた布の服を着ていたが剣を下げていた。

柄の文様は珍しい猫の爪だった。


「金貨1枚払おう。わしにその魔物とやらを譲ってほしい」

あっさり金貨1枚を払うというハギオイに商人は欲をかく。

目の前の老人は小柄でニコニコと人のよさそうな爺さんだ。


「いや、お得意さんには1枚だが、あんたはお得意さんじゃない。金貨3枚はいただかないと」

随分と吹っ掛ける。

「3枚か。欲をかくと命も短いぞ」

ハギオイがそう言って、商人を脅すと護衛が剣を抜いた。

「ほう、やるのか。」

ハギオイはニコニコと嬉しそうだ。

剣を抜いた護衛は用心深く他の護衛にも目で合図を送った。

商人と弟子は後ろに下がって護衛に判断を任せた。


次の瞬間、護衛3人がハギオイに切りかかった。

ハギオイは動いた様子もなかったというのに、

3人の護衛は気絶して道に倒れていた。


それを見た護衛の中の一人がハギオイの柄の文様について思い出して叫んだ。

「老ハギオイ!あんた、千人切りの老ハギオイだろう?!」

千人切りの老ハギオイ?

商人は何のことかわからなかったが、ハギオイはニコニコと頷いた。

「まだわしのことを知っとる奴がおったか。その昔はそう呼ばれたこともあったな」


檻の中でアザリアも観ていた。

ハギオイの剣は鞘の中になる。

抜いていないのだ。

鞘で殴り倒したにしても、そんな動きも見えなかった。

アザリアは動体視力に自信があったが、全く見えなかった。


「タダで、とは言わん。金貨1枚だ。もらっていくよ」


ハギオイは商人に金貨を一枚投げると檻の前に立った。

ハギオイを知っている護衛は慌てて檻を開けてアザリアを引きずり出した。

「すまんが、わしの荷馬車までこの子を運んでくれ」

「はい」

護衛は商人の許可も待たずにハギオイの荷馬車までアザリアを担いで運んだ。


戻ってきた護衛に商人がどういうことか説明を求めるように視線を向けた。

「老ハギオイは、引退した元騎士ですよ。今は滅んだ国の王の騎手だという噂ですが、とにかく強くて一騎当千と言われていたのに足を怪我したとかで引退したとか。ちょっと右足を引きずっているでしょう?」

「強いのか」

「今、ご覧になった通りです。瞬殺」

「雇いたいな」

「無理ですよ。黄金を山ほど積んでも断わられたって噂です。いやはや、凄いな。まだ健在か」


荷馬車を御しながらハギオイは立つこともできないくらい痛めつけられたアザリアに声かけた。

「わしはハギオイじゃ。老ハギオイと呼ぶものもいる。お前さんは?」

「アザリア…その、助けてくれてありがとう」

「助けた?これからどうなるかわからんぞ」

「あんたに悪意は感じない」

「悪意が分かるのか?」

「わかる。時々、騙されるけど、」

「時々騙されていては駄目だろうに」

ハギオイは大笑いした。


「不気味がらないのか?」

アザリアがボソッと呟くと、ハギオイは前を向いたままニコニコしていた。

「魔物は見慣れているぞ。お前さんは魔物じゃない。人間だ。全く不気味じゃないが、ちと、汚れすぎじゃな」


ハギオイの家に行くのかと思っていたら北の領都には家はないという。

「わしは杖を作って売っている。ここには杖を納めに来た。」

来たかった都に着いたことでアザリアは目を輝かせた。


「杖って売れるのか?」

荷馬車には11本の長い杖が載っている。


一瞬、杖に視線を走らせたもののアザリアは話半分で、周囲をキョロキョロ興味深げに眺めていた。


「お前さんを買った町でも2本納めてきた。ここでは3本だ」

注文販売ということだろうか。

杖など枝でも切れば十分だと考えるアザリアには信じられなかった。


北の領都は賑わいというよりも物々しかった。兵士の姿が多い。

「この国は今、アルノン山脈の分割交渉で荒れているんだよ」

「アルノンはどの国にも属さない山だ!」

「それはもう何年も前の話だねぇ。今は3つの国が領土として主張している」

「もしかして、バラバ?」

「バラバは滅んだよ。今ここは、テーマーンという国名だよ」

嘘だろ?バラバの王都に行きたかったのに。

滅んだ?

国というのはそんなに変わるものなのだろうか?


アザリアはトレスのねぐらで育った。

基本的に渓谷から出ない。

一度だけ、トレスにせがんで都というところへこっそり連れて行ってもらった。

自分と同じ白い髪・紅い目の人間はいなかったのでがっかりしたが、

人の多さと商売というものについて簡単にトレスが教えてくれた。

トレスは泥棒だが、店で酒を買うこともあるという。

そのことも不思議だった。


「バラバの軍隊が傭兵を雇っていたって噂を知らないか?」

「傭兵は戦場ではどの国でも雇うかもしれないねぇ」

「傭兵黒竜は?」

アザリアがその名を出すとハギオイは一瞬目を細めてから大笑いした。

「ずいぶん大物の名前じゃないか。知り合いかね?」


「仇だ!」

怒りで痛みも忘れてアザリアが荷台に立ち上がって馬を御しているハギオイのほうへ身を乗り出した。

ハギオイは揺れる荷台を心配して手をばたつかせた。

「ちゃんと座っていてくれ。仇は誰の?」

「親…血はつながっていないけど、トレスとマノアは父さんと母さんだった」


ハギオイは左手で顎をさすった。

「盗賊トレスの血の渓谷か。噂は聞いとるよ」

「知ってる?!」

「ああ、傭兵黒竜が率いた傭兵集団によって大盗賊トレスが全滅した。有名な話だねぇ」


思案気に頭を傾げてハギオイは思い出したことを口にした。

「確か、クレニオ国が雇い主だったんじゃないかね?」

「そいつらに黒竜のことを聞こうと思ったのに、そいつらも滅んだって」

「で、バラバか。なるほど。なるほど」

面白そうに笑うハギオイを荷台に座りなおしたアザリアは睨みつけた。



「まぁ子どもが黒竜の事を兵士に尋ねてもからかわれるだけじゃな」

むっとしてしまうアザリアだが、言われていることはわかる。

子どもは相手にされない。

蹴られて終わりだ。


「仇をとってどうする?」

「どうって、復讐しなきゃ皆の恨みが晴れない」

「トレスを恨んでいたものも多いと思うよ。黒竜の方こそ復讐したのかもしれないよ」

「なんだよ、それ」

「復讐とか恨みは積み重なるもんだ。そんなものに時間をかけるより生きている自分自身のために時間を使う方がよほどいい」

「嫌だ。絶対に仇を討つって決めたんだ!」

「なら、強くならないとな。黒竜は桁違いに強いぞ」

「あんたより?」

ハギオイはあの護衛3人を倒した。アザリアには信じられなかった。

「わしよりはるかに強いよ」

ニコニコとハギオイは断言した。

アザリアは無意識に拳を握っていた。

誰よりも強かったトレスだって殺されたのだ。黒竜は本当に強いに違いない。それでも、どんな手を使っても仇は討つ!

怒りと恨みを顔に出すアザリアを見てハギオイはため息をついた。

「化け物みたいに強い黒竜を倒すことに限られた時間しかない人生を使うのは無意味なことだろうに」

「拾って育ててくれたトレスに恩返しができてない。こんな瞳の私を可愛がって育ててくれた」

「先に逝った者達は、自分達の分も楽しく生きろと言うのではないかな?」

「トレスは違う。仇を討てって言うよ」

いつもトレスは仲間がやられると仕返ししていた。

そういうイメージしかアザリアにはなかった。

もちろん、盗賊で悪党のトレスはそれなりにずる賢く生きていたのだが…。


「盗賊トレスは残虐非道。恨んでいる人間だらけ。仇討ちする価値はないと思うよ」

「なんだと!」

「悔しかったら強くなるしかないな」

「なるよ!絶対に強くなる!」

「わしが教えてやろうか?」

「え?いいのか?」

話の流れがそんな風に進むとは思わなかったアザリアは目を点にした。


「わしは千人切りの異名を持っていた。剣術は学ぶ価値があるぞ」

「本当に教えてくれるのか」

「荷台の杖を定価より高く売ることができたら弟子にするよ」

へらへら笑うハギオイにアザリアは食いついた。

強くならなくては話にならないということはこの2年で嫌というほど学んだ。

弱いやつは殺されるだけだ。

絶対に強くなる!


アザリアは、杖を注文した人間を前にして、

ボロボロで汚れた自分を武器に杖を掲げて大声を張り上げた。

「この杖を作るのに体力のすべてを奪われた!でも、見ろ。この紅い瞳は杖のパワーを高めた。この杖は優れた魔法使いにしか扱えない上物だ!」


杖を注文した人物は、目の前の子どもとハギオイを見比べて腕を組んだ。

「弟子にしては、魔力のかけらもないのでは?」

「その瞳は本物じゃよ」

ハギオイはシレっと答えて胸を張っているアザリアを見た。

「おい!一本につき金貨1枚だ」

「銀貨2枚のはずだったのでは?」

注文者はハギオイを見た。

「弟子が力を込めたので値上がったんじゃ」

ハギオイはニコニコとのたまわる

あきれたように注文者は肩をすくませてアザリアを睨みつけた。

「魔法も使えないくせに値上げするとは食えない老人だな。まぁ紅い瞳に免じて金貨で払おう」

「本当か?!」

素直に喜ぶアザリアに対して注文者も笑みを見せると金貨3枚と引き換えに杖を3本受け取った。

「紅い瞳は魔を含むというからな」


アザリアは残りの杖も次の注文者に金貨1枚の値段で売りつけることに成功した。

自分の疎まれる紅い目が、魔法使いたちには何故か疎まれず、杖の値上げにつながることが信じられなかった。

「へんなの」

「迷信じゃよ。昔、覇王がまだ生きていた頃、優れた魔法使いが紅い瞳をしていたという言い伝えがあってな。それで紅い瞳は魔法使いにのみ縁起がいい」

「魔法使いにのみって?」

「他の人間からすると禍でしかないと言われているよ。」

「そういえば、トレスが言ってた!覇王門を3門まで破った後に森で赤子だった私を見つけたって。きっと覇王の時代の魔法かも」

「覇王門かね?伝説じゃよ」

「トレスは本当に3門を破ったんだ!強いんだよ!」


兎にも角にも、アザリアはハギオイに弟子入りしてテーマーンの南の領地で剣術修行することになった。


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