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尋ね人の噂 もしくは 北の国への入り方

アクロンは酒場<尾根の雲>でアザリアにご馳走になると、その店の給仕にチップをはずんで天井を指さした。

すると、給仕は頷いて登ってきた階段とは別の通路を二人に示した。

「こっちだ」

アザリアは何をしているのか分からず首を傾げていたが、アクロンに手招きされてついていった。

通路の先には扉があり、給仕が扉を開けるとアクロンはアザリアの手を引いて中に入った。目の前には上へ行く階段があった。

給仕が扉を閉めて去っていくと、アクロンはにこやかに上を示した。

「ここが<尾根の雲>という名前になったのは、この上に登ることが出来るからなんだ。酔っぱらいは落ちるから禁止になってしまったけどね。開店当初はそれは景色の良い酒場だった」

どうやらアクロンは開店当初からの常連客らしい。アクロンが登り始めるのでアザリアは戸惑いながらついていく。景色が良い?山に登れば幾らでも景色が良い場所などある。こんな街中でどう景色を楽しむのだろうか?

何階分の階段を上ったのか。行き止まりの扉をアクロンが開けると風が吹き込んできた。

街中の風とは明らかに違う爽やかな風だ。

「ダベルネを一望できるうえに北の大国の神殿も見える。俺たちが通った山岳地帯も見える」

アクロンは開けた屋上で手を広げて空気を吸い込み天を仰いだ。

防衛面から屋上に登るのは普通はよろしくないとする国が多い。しかし、ダベルネは絶対の結界術に自信があるのか屋上や高い建物を認めている。国土が小さいので上に積まないと住居が足りないという説もある。

アザリアは髪を抑えながら扉を潜り周囲を見渡した。屋上には低い壁があるだけで全方向が見渡せた。視界を遮るものは何もなかった。

つまり、ここがこの国で一番高いということだ。酒場なのに!


北を眺めると大河が煌めき、その向こうに陽を反射して光る尖塔のある建物が見えた。

「あの尖塔がバアル・ゼポンの南領ダーロームの神殿だ。その向こうには霞んで見えないが王都バアル・ゼポンがある」

霞んで見えないというより王都を魔力で隠しているという方が正しいだろう。

アザリアは目的地がある方角を見据えて、左手を剣に柄にかけた。あそこに黒竜がいるのだ。じっと北を睨むアザリアにアクロンは首を振って溜息をついた。

四六時中、黒竜の事ばかり考えているとは、ちょっと黒竜に妬けるなぁ。仇じゃなくて、普通だったら超絶愛だ。いやここまでくるとストーカーか?

どちらにしろかなりの執念深さだ。…それだけ血の渓谷は衝撃だったのだろう。心の傷というものはそう簡単には治らない。


「東は海だ。大河に沿って東にいけば海に出る。北の大国バアル・ゼポンも海に面しているから海洋国家としても力がある。この大陸ではバアル・ゼポンの国土が一番大きい」

「この大陸では?」

アザリアはテーマーンからここまで旅してきたが、大陸を意識したことはなかった。東に視線を向けながら遥か彼方の水平線の煌めきに目を細めた。

「大陸?大陸というのは別にも存在しているのか?」

ハギオイのお陰で学が無いというほどではないが、世界に興味などなかったアザリアは大陸の外を想像したこともなかった。

「今いる大陸はこの世界の2/3くらいじゃないかな?交流はあまりないかな。海の旅は危険で無事に陸地に上がれないことも多い。危険を覚悟で海洋を旅することは可能だ。だから他の島や大陸に行くことは出来る。文化もかなり違う。言葉も違うから別世界だね」

「別世界…。テーマーンの港に来る船はこの大陸の船ばかりだった」

「だろうね。外洋は小さな船では行きつけない」

外洋…。聞きなれない言葉だ。知らないことばかりだ。大陸の外。そんな世界に行くことは無いだろう。

「あなたはこの大陸の外に行ったのか?」

「いいや。行った人間に地図を見せてもらったことはある。覇者の園にはいろんな奴がいるからね」

覇者の園…。

「そんなに生きていて退屈しないのか?」

全く不老不死に憧れのないアザリアにはアクロン達のような長生きが信じられなかった。アクロンは思わず苦笑した。アクロンの場合は園を切望していたわけではないから少しばかりアザリア寄りだった。長生きして家族も友人も去っていった。

「退屈はしないけど、寂しいときはあるかな」

最初は興奮し園に感動し、衝撃を受け、限界に絶望し、空しくなったが今では園の友人も増え、故郷を遠く見守る悟りめいた気分になってる。

アザリアからすると強さの象徴である園の住人が寂しいというのはどうにも違和感があった。トレスは園の強さに憧れていた。他の仲間たちは強さより園にあるという財宝に魅かれていた気がする。

どちらにしろ寂しいなどという感傷的なイメージはない。

アザリアは東から目を逸らし南に目を向けた。

「流石にアルノンの山は見えないな」

ここからテーマーンやアルノンは遠い。それにアルノンはそこまで高い山ではない。山岳地帯の方が標高は高いだろう。アザリアは屋上の南端の壁にもたれて南をジッと見つめた。

「アルノン渓谷は遠いからね。我々が抜けた山岳地帯に遮られて南はあまり見えないだろう」

眼下を見下ろすとダベルネの街中が賑わっているのがわかる。ただ高さのためか喧騒は遠い。少し目を上げ城壁の外、山岳地帯との間を見ると、ゆらゆらと黒い煙が立ち上るところが複数ある。戦場になっている国々だ。

「テモテでは北の山岳地帯と言ったけど、ここでは南だ。南の山岳地帯というのか?」

「まぁそうだろうね」

名前はあるのだろうが、国によって名前が違うのが何処の国にも属さない山や森だ。そういう空間はまだまだ多い。


「あのうっすら蒼白い雲のかかった山脈はなに?」

山岳地帯の方角を指すアザリアの視線の先には確かに蒼白い山の連なりがあった。

嘘だろう。アクロンはげんなりするように首を振った。この魔眼のアザリアは本当に園に縁があるに違いない。

「セモール山脈」

アクロンはそう呟いた。普段は姿を見せない山脈が今、南の眺望に広がっている。見える者にしか見えないとも言われる古代の戦場で古い墓のある山々だ。言い伝えでは、覇王の従者の一人で魔法使いの祖でもある男が魔王との戦いで大地を動かしてセモール山脈を作ったという。

「それってあの山岳地帯の事ではないのか?地図にも名前が載らないとか聞いて不思議だったけど?」

「セモール山脈に登れる者は少ないし、そもそも滅多に見られない。だから地図にもない。まとめて山岳地帯と言う者もいるが、厳密には別の山々だ。かつての英雄たちの墓場だからね」

「何故、登れない?そこにあるのに見られないのも変だ。あなたは登ったことがあるのか?」

アザリアにとっては謎の多い山脈だ。

「登ったことはある。園への門が時々開くからね」

「覇王と魔王の戦場だったというのは本当なのか。では水晶の墓も見た?」

「水晶の墓?」

「そう。紫がかった細長い水晶が立つ墓で、金の台座には鳥と猫の文様があった」

アクロンは目を見開いた。なんで彼女からそんな問いが出る?

それって、覇王の軍勢を祭った<救いの墓>の事じゃないか。つまり彼女はそこまで登ったのだ。

嘘だろう?覇者に縁があり過ぎるだろう。魔眼の紅が何を示しているのか思わず身震いしてしまった。

「君は登ったわけか。<救いの墓>に詣でることができるとはね」

「詣でたわけじゃない。たまたまだ。土師にも会った」

「土師がいたのか」

驚嘆しているアクロンの方など見ないでアザリアはじっとセモール山脈の蒼白い揺らぐような姿を見つめていた。そして土師長との会話を思い出した。

「そういえば、土師長から北で魔王の誕生会があると聞いた。覇者が北へ行くのはそれと関係が?」

アクロンは無言でアザリアを見つめた。アザリアは返事が無いので、眉をひそめてゆっくりとアクロンの方を向いた。目が合った。だから、アクロンは声を潜めて逆に問いかけた。

「魔王の誕生会?どうやったらそんな会話になるんだ?土師長と」

あの土師長はよそ者に口が堅い。覇者たちにも厳しい物言いをする。厳格なルールのもとに墓を守っている一族だ。それがアザリアとそんな会話をするということは、彼女に何かを感じ取ったに違いない。

「何も知らずに墓の敷地に入った私にいろいろ説明してくれた。古代人が戦った魔物の話になって、今の人間は魔物も知らないと言われたから、つい見たことがあると反論したんだ」

「魔物を見たのか?どうして魔物と分かる?」

「歌って話せる黒い鳥だった。その鳥に北の宴に誘われた。普通の鳥は喋らない」

だからあれは魔物の鳥に違いない。推測だ。しかし、アクロンは不機嫌そうに腕組して目を閉じた。

目を閉じられて困ったアザリアは会話をつづけた。

「で、土師長が北の宴について、魔王の誕生を祝う宴だろうと教えてくれた」

どうだ。ちゃんと魔王の誕生会へ至る会話になっている。アザリアはどや顔で胸を張った。

しかし、アクロンは単語の方が気になっていた。

北の宴、黒い鳥。魔眼のアザリア。

彼女は魔物かもしれないということか?いや、それならセモール山脈に登れるはずがない。聖地だ。噂では魔王に匹敵する守護者が守っている。いや、魔王に匹敵するのは覇王だから守護者はどうなんだ?

そうじゃなくて、アザリアが登れたということは彼女は絶対に魔物ではないはずだ。

老ハギオイもリベルデンも彼女に王都を目指せという。

では、何故、北の宴に誘われる?

魔物までが誘うというのはどういうことだ?「魔」の知識が少ないアクロンには答えは出そうにない。思考は堂々巡りだ。

「園の住人としては魔王は無視できない。本当に誕生会があるかどうかは不明だけど、とりあえず、俺はバアル・ゼポンを目指している」

アクロンは北を指さした。煌めく尖塔がある方向だ。

アザリアもつられて北の方角を見た。遥か彼方には黒い雲が沸いているようにも見えた。

「私には魔王は関係ない。黒竜がいるところを目指すだけ」

「ぶれないね」

らしいというほかない。流石、魔眼のアザリアだ。


「ではバアル・ゼポンの王都への入り方を教えよう!バアル・ゼポンの王都には門が4つ。東西南北の領都からしか入ることが出来ない。だから、必ず領都は抜けないといけないわけだが、癖がある。真正面の南領ダーロームは商人の都と呼ばれていて商人以外には差別的で剣士には入りにくい」

南は近いが賞金稼ぎの剣士には向かない都なのだ。

「北領ツァーフォーンは荒地と岩山からできた不毛の地と呼ばれているがその実、正規兵の訓練所であり奴隷の墓場だ。東領ケデムは港湾の都。海から出入りする以外に門が無い。異国者からは脱走不可能の牢獄と呼ばれている。西領アーホールは学問の都。異国者からは宗教の都とも洗脳の都とも言われている」

どこも何やら不穏な気配のする都だ。

「ちなみに俺は西領アーホールから入ろうと思っている。入信を仄めかせば簡単に入ることが出来るからね」

なるほど。

アザリアもこの旅の間にバアル・ゼポンの基礎知識を身に着けていた。宗教国家で正規軍が異国に対して残虐非道。王族よりも祭司が上位に立つ。神のご神託が何よりも大切だと考えている国。

神とは何か。アザリアにはご縁の無いものだ。盗賊育ちで賞金稼ぎをしていたら神頼みなどすることが無い。

神よりまだ魔物の方が分かりやすい。

神の裁きがあるという言葉も聞いたことがあるが、王の裁きと何が違うのか。さっぱりわからない。

「王都に入る時に気を付けることはある?」

テモテの王都に入れなかったことが頭にはあるからアザリアは王都というものに警戒していた。

「使徒信条を言えた方が良いかもしれない。基本的に王都は信者しかいないことになっている」

「使徒信条?」

「バアル・ゼポンの経典に書かれている文章だ。領都で売っているから買って暗記すること」

「ここには売っていないのか?」

「ダベルネはバアル・ゼポンの宗教が入り込むのを嫌っているから無いだろうね。この国の歴史はバアル・ゼポンとの戦いの歴史だ」

こんなに平和で賑わっている都だというのに血生臭い歴史を持っている。どこもかしこも争いだらけだ。人は戦う生き物なのだろうか。


「あ、そうだ。」

突然、アクロンは小さな丸い魔道具を取り出してアザリアに見せた。

何だろう?どこかで見たような?

「野盗と追いかけっこした時に崖の上に向けて投げた奴だ。魔道具でちょっとした火を放つ。火球の一種。攻撃力は弱いけど時間稼ぎは出来る」

崖の上に向けて…。思い出した。アクロンがこれを投げたら火花が散って崖から野盗や岩が落ちてきて危なかった。そのことを思い出してアザリアはムッとしてしまった。

「崖の上に向けては本来投げちゃいけないんだ。崩れてくる岩の下敷きになって自滅するからね。まぁ、君はすばしっこそうだったから」

言い訳がましく苦笑いするアクロンはとても120歳以上生きているとは思えなかった。

「お守り代わりに一つプレゼントする」

「良いのか?」

「ああ。投げるだけで発動するから初心者向けだ」

初心者。確かにそれはそうなのだけれども。アザリアは複雑そうな表情で火球を受け取った。

「ありがとう」

「さて、そろそろ、下に降りるか」


二人は<屋根の雲>を出ると街中を見て歩いた。

その街中で、アザリアは「黒竜」という単語を耳ざとく聞きつけた。

「傭兵は船で東領のケデムへ運ばれてそこからバアル・ゼポンに入り正規兵の試験を受けるらしい」

そんな話が露店から聞こえてきたので、ついアザリアは足を止めたのだ。それにつられて首を捻りながらアクロンも立ち止る。

「例の、傭兵黒竜も船に乗ったって話だ」

「ひぇぇ黒竜。そんな奴がバアル・ゼポンに加担したらこの国は終わりだぞ」

「防衛魔法にはさすがの黒竜も切り込めんだろう」

そんな会話にアクロンが顔を引きつらせる横で、アザリアの表情は怒りで強張っていた。

そして、地理に詳しいアクロンに唸るように問いかけた。

「東領ケデムに行くための船は何処から出る?その船に乗る。ケデムで奴を見つける」

「ケデムは危険だ。どうせ奴は王都に入る」

「それでも、奴の通った経路を使うことで何か仇討ちのヒントが得られるかもしれない」

止めても無駄。アザリアの顔にはそう書いてあった。

アクロンは溜息をついた。

西領アーホールにはバルクたちとの約束で行く必要がある。

となるとアザリアにはついていけない。

ここは彼女の運を信じるしかない。きっと彼女の運命は彼女を王都バアル・ゼポンに導くだろう。

「大河にある港で東行の船に乗ると<波寄の国>という小国に到着する。そこからバアル・ゼポンのケデム行きの船に乗り換えることが出来る」

「わかった。船なら道に迷わないから問題ない」

「道に迷う?」

「なんでもない。いろいろありがとう」

一瞬、狼狽えてしまったが、アクロンは気づかなかった。

「船旅は例え腕に覚えのある賞金稼ぎでも女性には向かない。気をつけろ」

心配するアクロンにアザリアは肩をすくませるとすぐさま船着き場を示す看板に向かって駆け出した。

既に黒竜の事しか頭にないのだろう。

<波寄の国>は小国ダベルネよりもさらに小さく造船業と運送業で成り立っている国だ。バアル・ゼポンの隣で生き残っていられるのは逆らうことがなく、あると便利だという理由からだ。属州とも言われている。


アクロンが溜息をこぼしながらアザリアを見送っているといきなり背後から背を小突かれた。

慌てて振りかえるアクロンの前にはローブ姿の女性が笑顔で立っていた。

「お久しぶり。風のアクロン」

「…笛吹ハーリール。こちら側にいたんですか?」

気配を感じさせず自分の背中を小突ける人間は少ない。しかし、覇者の人間なら納得だ。特に彼女は魔術師で、気配を消すのもお手の物だ。

()()()こっちにいて園から締め出されているってわけよ。」

「状況は?」

「感じていると思うけど、あんまりよくないわね。()は魔眼のアザリアってところかしら?」

「ご存じなのですか?」

ハーリールは園では古株なのでアクロンは自然と敬語になる。しかし、ハーリールの方は全く気にしていない。

「実は全然知らないし、状況もほとんどわかってないの。初めて彼女を見たわ」

「え?」

「リベルデンに頼まれちゃって、彼女を無事に王都に連れて行って黒竜から守らないといけないの」

「それって、…そもそも黒竜から守れるんですか?彼女は黒竜の命を狙っているんですよ」

「黒竜から守るなんて無理よねー。で、あなたはどこまで知ってる?」

「老ハギオイが死んだっていうことを彼女から聞きました。それに、彼女は北の宴に誘われたらしいですよ」

「嘘っ」

北の宴といえば、連想するものは伝説に出てくる魔物の集いだ。そんなものに誰に誘われる?

「黒い鳥がそう告げたそうです。しかも彼女<救いの墓>に詣でています。どういうことなんでしょう?」

アクロンの疑問はそのままハーリールの疑問になった。彼女は何者?門番達は何をやっているのだろう?

「彼女は船に乗って黒竜を追いかけるつもりです。」

「あ、それは私の作戦。他の道だと後をつけるのがわざとらしいでしょう?だから、そうなるように仕向けたの」

いたずらっ子の笑みを浮かべるハーリールはとても楽しそうだった。

つまり、先ほどの会話は仕組まれたもので黒竜を目撃した人間がいるわけではないということだ。

「では、彼女の事をよろしくお願いします」

真面目なアクロンの口調にハーリールは笛をクルクルと回して笑った。

「君は相変わらず固いなぁ。もっと力を抜いた方が楽しめると思うけど」

「性格です。ほっといてください」

「王都には来る?」

「西から入る予定です」

「淘汰に気を付けてね」

「淘汰とは何でしょう?呪いですか?」

「さぁ知らない。でも、何か、よ」

ハーリールはウインクした。これぞ園の住人のノリだ。基本テキトー。ノリで解決。

アクロンは半眼になってしまう自分を戒め、大先輩であるハーリールに一礼した。

「では、失礼します」

騎士らしい仕草で踵を返すアクロンを見送りながらハーリールは自分の手で背中を叩いた。

固いなぁ。園には稀少なタイプだ。

ハーリールは、一瞬、微笑みを浮かべると船着き場へと向かった。

この時間、東へ向かう船は一つしかない。出港時間は毎日同じだ。


さて、魔眼のアザリアとどうやってお近づきになろうかしら?

黒竜の噂を振ってみるのはわざとらしいかな?

魔術師がどういうものか見せてあげるのも楽しいかも?


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