表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

第四話 明かされる世界の真実を主人公(クレア)達は知らない

第四話 明かされる世界の真実を主人公クレア達は知らない


 つつがなく入学式も終わり、クレア達は教室の配置を確認する。

「あら、クレア様もAクラスのようですね」アナベラが自分と同じクラスにクレアの名前を見つけ喜ぶ。

「知り合いがクラスにいるのは心強いですわ。アナベラ様、よろしくお願いしますね」クレアもアナベラと同じクラスになれて嬉しそうだ。


「うう、あんなに勉強したのにAクラスになれませんでした」

「アナベラ様、私とタニアは残念ながらBクラスのようです」

 タニアとトリニアが同じクラスになれなかったのを嘆いていると、アナベラが優しく声をかけた。

「お二人とも、自分の成績を悲観する必要はありませんよ。

 この学園は成績順でクラスを決めているのではないことをご存じないのですか」


「えっ、そうなのですか」「知りませんでしたわ」

 タニアとトリニアの言葉にクレアも頷く。

「あの、アナベラ様。よかったら詳しく教えて頂けませんか」

「あら、クレア様もご存じなかったのですか。この学園はクラス同士に対等な競争をさせて伸ばすために、クラスに在籍する生徒の能力値が平均して均等になるように、生徒を割り振るようにしているのですわ。

 Aクラスに成績トップの子がいれば、Bクラスに二番の子、Cには三番の子という風にクラスのメンバーを割り振っているそうですよ」

「まあ、そうだったのですね。

 それではアレキサンドル様がAクラスにいるのは彼の成績がよかったためというわけではありませんのね」

「その通りですわ。アレキサンドル様の成績は剣術以外が壊滅的なはずですから、もし能力順クラス編成なら確実にDクラスだったと思いますわ」

 クレアもアナベラもなかなか辛辣である。本人に聞かれれば不敬罪となりかねない。



 クレアとアナベラはタニア達と別れてAクラスへ入り、正面のホワイトボードに貼られている座席表の順に着席する。一列五人で六列あるのでクラスメイトは30人と言うことになる。どんな順番で席が決まったのか分からなかったが。クレアが一番後ろの窓際の席、アナベラがその隣だった。そしてアレキサンドル第二王子は一番前の中央、最も教卓から近い席だ。

 クレア達が他のクラスメイトも確認のために見回すと、メンバーにあのリフリアというあざとい女子生徒もいた。後ろから二列目の中央付近、アナベラの斜め前の席だ。

 クレア達が見ている前でリフレアは机をにらみつけるようにうつむき、何か机に向かって呟いている。

「おかしい、おかしいわ……

 アレキサンドル様が隣じゃないなんて……

 知的な強キャラのアレキサンドル様が上から目線でバカそうなのもおかしいわ……

 それに悪役令嬢のクレア・リッチモンドが成績一番の上位者の席にいるのもおかしい……

 剣と魔法は上手でも侯爵家の家庭教師から逃げまくってお勉強からっきしのプライドだけは高い令嬢じゃなかったの……

 婚約者であるクレアのあまりの傲慢ぶりにあきれたアレクサンドル様がクレアを反面教師にして自らをかえりみ、勉強にも取り組み剣だけではなく勉強も出来るようになったっていう設定だったはずなのに……

 おかしすぎるわ……

 アレキサンドル様が座っているのは成績最下位の席じゃない……

 さっきの様子じゃ高慢な鼻持ちならない貴族の典型みたいな感じだったし……

 だいたいあのシーンでクレアが婚約者と仲良くする私に向かって罵詈雑言を浴びせてこなかったのも変よ……

 宰相の娘で魔法省長官子息の婚約者でもあるアナベラ・ガトレーゼと仲良く話しているだけで、アレクサンドル様の方には全く興味なさそうだったし……

 おかしすぎる……

 もしかして向こうも転生者……

 これはヒロインがざまぁされるパターンのラノベ展開じゃないの……

 やばい、やばいわ……

 もう、第二王子に近づいちゃったし、今から軌道修正できるかしら……」


 リフレアの呟きは、クレアの席では聞き取れない。


 クレアよりもリフリアに近いアナベラは部分的に聞き取れたようで、怪訝な表情でクレアに話しかける。

「クレア様。

 あのリフリアという生徒、おかしいおかしいとブツブツ言っているみたいですわ」

「かかわりたくありませんね。私は聞いてないことにしてよいでしょうか」

 クレアの返答にアナベラも頷きながら、

「それがいいと思いますわ。私もかかわらないようにします」という。


 二人が無言で頷いていると、リフリアはじろりと後ろを振り向き、一瞬クレアを睨んでから視線を前に戻した。


 ちょうど前の入り口から成人男性が入ってくる。


「諸君、入学おめでとう。

 私が1年間君たちの担任をすることになるアーギュストだ」   

 担任の先生のご入場だった。


 ホームルームで担任が説明したところによると、1年生は明日から早速、体力測定や能力検査が行われるという。

 レベルは個人の極秘事項なので公開測定したりはしないが、魔法や運動能力の基本検査である程度のレベルは推測されるそうだ。

 魔物や侵略者である大陸の大国とやり合う気満々のクレアは自分自身の力を隠すことは考えていないし、なんなら一緒に戦ってくれる戦友を募集中である。

 この検査で有望そうな生徒がいれば積極的に声をかける予定だ。

 その後、教育合宿という名の2泊3日の研修会が国内最大のカルデラ湖にある宿泊施設で行われてから平素の授業に突入するという。


 そういった説明がなされた後、初日のホームルームは終了し、放課後となった。







本日の更新はここまでです。

よろしかったら、評価、感想、レビューをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ