妹思いの優しいといわれる姉によっていじめられ続けた妹が、姉に婚約者を奪われ両親に祝福しろと強制され、姉に復讐をするお話
「ほら、この子は何もできませんのよ私がいないと」
「……」
私は姉に足を引っかけられ盛大に転んでしまいました。しかも皆がいるお茶会でです。
私はなんとか立ち上がり申し訳ありませんと頭を下げました。
「ほら大丈夫?」
わからないように足を引っかけられることはいつものことです。
姉のせいだといっても信じてもらえません。
私はいつものようにへらっと笑い、大丈夫ですというしかありませんでした。
「あんたって本当にとろくさいわよね」
誰もいないところでニヤニヤ笑って言う姉、両親すらだましている姉は盛大な猫を飼っていました。
私はお姉さまがいじめるのといっても信じてもらえません。
前に池に突き落とされ、風邪をひいたこともありました。
この子が足を滑らせて落ちたのよとしれっというのです。
どうしてこんなことをするのか聞いてみましたけど、親の愛情があんたのせいで半分になったからが理由らしいですけど。
今まで自分ひとりだけだと思っていた愛情が、あとから生まれた妹のせいで半分になったとか言われても。
理屈が通じない人なんです…。何度かそんなことでいじめられるのはいやだといったのですが。
いじめるのは楽しいしと笑うのです。私の反応のせいかと思って気にしないふりをしてきましたが。
「どうしてあんたが王太子殿下の婚約者になるのよ!」
私は13の時、殿下の婚約者に選ばれました。姉が二人きりのとき、あんた辞退しなさいよと迫ってきました。
「嫌ですわ」
この時ははっきりと主張しました。見えないところをつねられましたけど…痛みに耐えましたの。
だってこれから離れられるチャンスでしたもの。
しかし…。
「ルーリア・オベリウス、お前は優しくお前を庇ってくれる姉に対して暴言を吐き、姉いじめをしたそうだな。その罪により婚約破棄する!」
私は殿下と数度顔を合わせただけで婚約破棄を宣言されてしまったのです。
お姉さまがにこりと笑ってもういじめないでね。と私に言うのです。
「いじめられたのは私ですわ!」
まだ嘘をつくのか、嘘つき妹言われるはずだと殿下は顔をしかめます。
年が近い姉が殿下を色仕掛けで落としたのと知ったのはこのすぐ後のことでした。
私は実家に帰され、両親には叱られ次の婚約者は見つかるまいといわれました。
…絶対にあの姉に復讐してやると誓いました。
婚約式にでろと両親に言われて、私はよいことを思いついたのです。
「この婚約は私の名によって解消するものとする!」
陛下の言葉によって婚約式はとりやめとなりました。姉は怒り心頭のようです。
「姉いじめの罪ということが虚偽だからだ」
陛下は虚偽をもって妹を陥れる人間を王太子の婚約者にしておけないといいます。
「どうして!」
「…そなた、妹の体の見えないところをつねったりたたいたりして折檻していたそうだな。侍医が診察して、だれかに虐待をうけた痕だということがわかって…。それにそなた両親がいないところで妹を池につきとばしたそうだな。使用人が証言してくれたぞ」
誰も見ていないとはずがないと私は実は使用人に聞いて回りました。
すると数人が姉が私を折檻しているところを目撃していたのです。
そしてその証言を合わせて陛下に申し入れをしたのですわ。
「あんたが!」
「…お姉さまが私をいじめるのです…」
「妹いじめの罪によりそなたを修道院に送る! 連座はなしとする!」
陛下の言葉によって姉は衛兵に引きずられていきました。母は倒れ父はどうしてこんなことにと言っています。
姉は辺境の修道院に送られ、殿下は廃嫡となりました。どうもあの婚約破棄は殿下の独断でやったことで陛下の怒りをかったのです。
私は陛下の厚情で、第二王子と婚約し、幸せに暮らしました。両親は陛下の不興を買いまして領地没収となりましたわ、ざまあみさらせですわ。
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