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底辺作家の最後の一葉

おはようございます。本物の底辺作家です。


逆境にさらされ、あるいは抑圧された環境に身をおきながら夢を追いかけて執筆活動に励んでいる素人作家さんは多いはずです。

大変尊敬しています。


しかし全く同じ境遇にありながら自分のように誰からも現実逃避と片付けられるだけの人もいるはずです(というより自分のためにいてほしいです)。


才能の有無は自分で判断するものか、他人に判断してもらうものか。

成功するまで頑張れる才能こそがセンスにも増して尊ばれるなら、自分はここが最初の分岐点だと考えています。

ただし今回はそんな自己啓発をしたい訳ではありません。


趣味をきかれても恥ずかしくて執筆活動と答えられない、もしくは趣味をきかれる状況がまるで想像できない自分のような孤独な作家さまを鼓舞できればいいかと思い筆をとりました。

効能としてブクマやポイントが伸びずに煮詰まっている全ての皆様に最底辺を知らしめることで速やかに安息をもたらすことでしょう。


過度の自分語りは嫌われるはずですが、最終的にそう受けとられなければこの試みは成功したはずです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


自分の作者ページを見ていただいたらなんだか歴史が浅そうで、まだまだ底辺さえ語る資格がないかのように思われるかもしれませんが舐めてはいけません。


手ごたえの無さからエタる(未完)というのは才能と野心があるからこそ選べる道で、作家を続けるのであれば売れ筋を模索したり、飽きても別のテーマに直ぐ向き直ることができる、いずれにしても個人的には機転を感じさせるものです。

ましてやそこで執筆活動そのものを辞めてしまうことができるのなら、それは他に挑める世界、あるいは逃げ込める世界があるということなのです。


本物の底辺作家はそれができません。

それが出来ないからこそ底辺作家は底辺作家であり続けるのです。


本物の底辺作家は、味気無い日常と引き換えに完成させた人生そのものが、執筆にすがることしか生き甲斐のなかった分身が、結局は誰の視界にも入らなかったという孤独を突きつけられて作品を、あるいは作品含めて何もかもを消しとばしてしまうのです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


2017年4月に日常寄りのファンタジー作品(前々作)を投稿しはじめました。


方針は明確で継続重視。例え1話の文字数が少なくても絶対に完走させようという市民ランナーの心得です。

文才の無さというハンデはありましたがどこまでも素人志向を貫く覚悟がありましたのでもうそこは精進の場として割り切りました。

なにより小説を書くことが好きでしたから執筆そのものに充実感を得ていたのです。


まず1話投稿する度にPVが10程ついてくれました。

そのペースは最後まで極端に増えることはありませんでしたが、現実世界では孤独に苛まれていた自分ですから、ネットの向うでそれだけのページが開かれたこと、見てくれてる人がいることに気づけたことは何よりの喜びでした。

また共感が得られるか判りませんがその合算が増えていくことはRPGのレベル上げを連想させてゲーム的な面白みさえ同時に与えてくれたのです。


次は2万字に達した頃でしたが初めてポイント評価をいただきました。1点ずつ。

これで喜んでしまうことは他所では笑い話になるのかもしれませんが、駄文を気に留めて入力含めて貴重な時間を費やしてくれたことを有り難く思ったのです。

商業作家を目指すなら評価こそ重視すべきものでしょうが、本物の底辺作家は孤独を癒すことこそ目的ですので読んでもらえたことが(更に)わざわざ教えてくれたことが嬉しいのです。

屑星でも星は星です。星を貰えるなんてこれがミシュランなら大変なことです。

実際にその後3点ずつをいただいた時には嬉しさを通り越してしんみりしたものです。


そしてそろそろ文字数が10万に達する頃、その作品はようやく完成の目処がたち、ありがたいことにその時点でブックマークは4つも頂けていました(感想やレビューは当然のようにありませんが)。

本物の底辺作家からすればこれでも大勝利です。

4人もの方が自分の動向をうかがってくれている。果たして現実世界にどれだけの人が自分を気にかけているでしょう。

学生の頃から親しい友人はいませんし職場は気のおけない我の強い同僚ばかり。

もちろん結婚どころか女性の影さえありません。

たまに優しい年輩の患者さんの相談に乗っていると、本当は自分の方こそ話し相手になってもらっていると感謝するような立場です。

これが嬉しくないわけありません。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


そして最終回を用意すべくPCを立ち上げたあの日のことは忘れられません。

大団円を前にしてブックマークが剥がれていました。

4つあったものがたった1つに!

これまでもPVの増減には一喜一憂していましたが前述したとおりあくまで累計で捉えていて、底辺の原則として評価は積みあげていくイメージだったのです。

例えずともそれは賽の河原の光景そのままでした。


思い入れなんかまるでない誰かの気まぐれだったとしても、その数字は自分を励まし続けてくれました。

無くなることで身の丈に合わない野心に気づかされたことも事実ですが、本物の底辺作家が求めているのはやっぱりそこで誰かに見ていてほしいということなのでしょう。


そして律儀に最後の投稿を終えた後、本物の底辺作家らしい未練がましさで3日後に何もかもを消してしまいました。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


それでも現実逃避のために執筆活動にすがるしかないのが本物の底辺作家です。

それにたった1つでもブックマークが残っていました。

どうせ何かの間違いだ→つけたのを忘れているんだろう→もしかすると心配してくれてるのかも(飛躍しすぎ)と変遷していく不安が拭えません。

そうやって必ずおめおめと戻ってきます。

本物の底辺作家はなろうに打ち寄せる波のようなものです。


前作もそうでしたがポイント評価やPV推移は芳しくないのに、割と早い段階でブックマークが1つだけつくのです。

名前なんかは変えてしまったのに。

もしかしてあのブックマークが今度もきちんと完結させろよ!俺だけでも読んでやるからなと自分の尻を蹴り飛ばしながら見守ってくれているようで。


本物の底辺作家は、自分をそう都合よく勘違いさせてくれた誰かのきまぐれがとても嬉しいのです。


時間あたりのPVが30をこえたのも、投稿した時間帯で直ぐに評価をいただけたことも3年以上書いてきて初めての経験です。

だから、こんな顔のまま出勤して大丈夫かって心配するのも初めてなんですよ。


本当にありがとうございます。

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