1、風と水の都市
……なんか格好つけてエレメステイルを後にした気がするけれど、思っていた場所とは違う場所に出ちゃったわね。
「ネロ。ここ、どこ?」
「うー……。地面……地面が、足が付くー……」
「フォロビノン大陸に行こうと思っていたんだけれど、トワイノース大陸ね。ここ」
四つの大陸の中で一番暖かい。それに湿度が高いから少し南の方かしら?
だとすると、近いのは多種族都市ライファね。
「お腹が空いたから、ちょっと都市に寄るわよ」
「え……? ルル達も行くんですか?」
「来なさい。貴女達を置いてったら面倒なことになるわ」
「どういうこと?」
「トワイノースでサラマンダーが火柱を上げたわ。『神の手足』に嗅ぎつけられているでしょう。貴女達が負けることはないけれど、それでも面倒なことに変わりはないでしょう?」
「……『神の手足』って?」
「なんですかそれ?」
「あー、隔離された場所で生活していたから?」
まさか世界の常識を知らないとは……。いや、何となくわかっていたけれど、これもこれで面倒ね。
それでも彼女達と離れた方が面倒だと判断した私は仕方なく、少し強引に彼女達をライファに向かわせながらこの世界のことを説明した。
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「なるほど」
「へぇ〜。下界のことに興味なんてなかったけど、ちょっと楽しそうですねー」
「やめておきなさい。貴女達がエレメステイルから居なくなったら世界の均衡が保てなくなるわよ」
「ルル達の存在ってそんなに大切なんですかねー?」
「エレメステイルでの定住。それだけで世界が保たれる。意味不明」
「文句なら、これから会いに行く神様に言いなさいよ。ほら、もう人目に付く場所まで来たわよ。フードを被りなさい」
多種族都市と銘打っていても排他的な人はどこにでも居る。うんざりするほどね。
寄ってたかって罵倒を浴びせて、石だけじゃなく手当たり次第に物を投げるわ、殴るわ蹴るわで……。なんであんなに暴力的なのかしら?
シギルとクライスが望んでいた世界なんて程遠い。
……原因は、フーと私にあるのかもしれないけれど。
多種族都市ライファは風と水の都市。
風車が多く立ち並び、小麦や稲などの栽培が盛んで、田園風景と都会的な建物が調和する不思議な都市。
この場所に来るのは2回目かしら?
「ねえねえ、ネロ! アレはなんですか?!」
「美味しそう」
「……ふふっ」
「笑いました?」
「笑った」
「……笑ってないわよ」
「「嘘」」
「はいはい」
笑っちゃうのも仕方ないことよ。
ルルディとリバディがまるでルゥみたいな事を言うんだもの。
あの時も──……まあ、この話はどうでも良いわね。
「……この都市、風の精霊種族が多いですねー」
「私もフード取って歩きたい」
美味しそうと言ってたパンを食べ歩きながらルルディとリバディが都市の様子を見ながら素直な感想を言ってきた。
「やめておきなさい。群がられるわよ」
「知ってる」
「リバちゃんは綺麗な緑の髪と目をしてますからねー。まるでシルフ様みたいですから!」
「……リバディの方が百倍可愛いけれどね」
「「……」」
私の素直な感想に二人が固まった。
何よ。アイネに比べればリバディなんて子猫みたいなものじゃない。
章が細々していましたが、この章はちょっと話数が掛かると思います。
ネロと土の精霊種族ルルディ、風の精霊種族リバディとの三人旅。




