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箱庭の記憶 〜君の記憶は世界の始まり〜  作者: トキモト ウシオ
トワイノース大陸 それぞれの道
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13、ミーシャの決意

 小さい頃、女の子達の間では(ほが)らかで活発なルゥと、乱暴だけど面倒見の良いシアンのどっちが良いかで盛り上がった事が度々あった。


 大人しい私はルゥを、親友のミネットはシアンを……。


 口では子供っぽい男に興味はないって言ってたけど、素直じゃない彼女は私にだけこっそりとシアンが好きだっていうことを教えてくれた。


『今は、自分と違う種族との結婚は認められてないけど、大人になったらミーシャはルゥと。私はシアンと、みんなで一緒の結婚式とか、素敵よね』


 そう、憧れを話してくれたのは、事件が起こる二日前。

 些細な喧嘩だったはずなのに、気付けば辺りは火の海で、その中心にいた血(まみ)れのシアンと、右手を赤く染めたルゥに村のみんなは化け物でも見たような顔をしてた。

 私は知ってる。

 あの時、ルゥが泣いていたこと、怖がっていたこと、助けを……呼んでいたこと…………。

 なのに、誰も……私も、ルゥが必死に叫ぶ声に耳を塞いで、震えながら伸ばされた真っ赤な手から逃げ出した。

 そうして、火の手が迫るのを恐れた村人達が逃げた場所が、海に面した雑多群(リグレ)デホム。もしも火の手がここまで届くようなら海に飛び込むつもりだったって、その時の夜に両親が話してくれた。


 後日、大人達が村の様子を見に言ったら火災は意外にも早く鎮火したみたいで、そこまで大きな被害は出ていなかった。それでも、建物という建物は焼き崩れて炭の山になり、もちろん皆んなで一緒に勉強して、一緒に笑いあって、時々喧嘩した学校も……。

 シアンの両親とルゥの両親は必死に二人を探してたけど、結局、遺体も見つからなかった。

 灰も残らず燃えたんだろうって大人達が話してたのを覚えてる。

 シアンの両親は泣き崩れてルゥの両親を責めてたけど、ルゥの両親のあの時の表情の方が、私は忘れられなかった。


 申し訳なさと後悔ばっかりで、我が子を失ったという悲しみを浮かべることのなかった、あの顔が……。


「ミーシャ、大丈夫?」

「っえ? ……あ、うん……大丈夫、だよ?」


 心配そうに私を見つめるルゥの顔。

 昔と変わらない、それでいて頼もしくなった優しい顔。


「今度は、絶対に逃げないから、ね?」

「何か言った?」

「なんでもない……よ」


 死んだと思ってた。

 それが、今こうして再開できたのは奇跡。神様なんて信じてなかったけど、今だけは感謝します。

 だからこそ、もう二度と離れたくない。どこまでもついて行く。

 私は、そう決めた……。

 うーん……短い。あっさりです。とてもあっさりです。

 ちょっとあっさりし過ぎたような気がしますが、ミーシャの扱いはこんな感じです。

 多くを語らない人物なので、これで良いのです。

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