ネロの想い 4
今のルゥと初めての船旅。
記憶をなくす前に、クライスとルゥと私とで乗った中型の貨物船。今はルゥと私とエーテルの三人だけれど……。
泳げないルゥは凄く怖がっていたっけ……。
クライスと私で必死に慰めて、私が居るからって言っても全然泣き止んでくれなくて大変だったわね。
結局、あの時はどうやって船に乗せたんだったかしら?
5年くらい前の、たったそれだけの筈なのに全然思い出せない。もう、随分と昔のことのような気がするわ。
「で、やっぱり不安だったのかしら……?」
隣で寝て居るルゥはしっかりと私の外套の裾を掴んでいた。
エーテルと、この船で一緒になったモエギも近くで眠っているけれど、彼女達の位置的にルゥが私の外套を掴んでいるところは見えてないわね。
全く、強がっちゃって……。
優しく髪を梳くと擦り寄るようにもぞもぞと動く大きな子供に、自然と笑みが溢れた。
外が見えない船の貨物室だけど、寒さから察するにもうすぐ夜明けね。
私ももう一眠りしよう…………。
なんて、眠りについた途端に「起きろ!」なんて耳元で吠えられた……。
まあ、これだけ船が揺れてればそうなるわよね。むしろこの状況で寝られた自分がすごいと思うわ。
……って、フードを押されてくれたのは感謝するけれど、抱きつかなくても良いじゃない! 恥ずかしい!!
様子を見に船外へ出たらみんな付いてくるし……。
心配してくれる気持ちは嬉しいけど、泳げないルゥが居ても私の心配が増えるだけ。
そう思っていたからかしら? 高波に攫われて海に放り出されてしまった。
エーテルとモエギはそれぞれしっかり柱なりなんなりに掴まってたみたいで無事らしいわね。
……思い出したわ。
クライスと旅していた時も、この姿に戻ったのよね。
どこにいるのかもわからないけれど、今だけ、この子を助けるためだけに力を貸して……。
「アルケィ・ウンディーネ」
誰にも見せられない、私の本来の姿。
四大精霊の一人、水を司るウンディーネ。
大丈夫。何があっても、貴方だけは守ってみせるから。
私の、私達の、愛しい子……。愛おしい、末子…………。
お待たせしました。
ネロの正体。きっとお気付きの方もいたのではないでしょうか?
ウンディーネと旅するルゥの正体とは……?
とっくにお察しの方もいるかも知れませんね。
次のトワイノース大陸ではもう少しルゥの記憶について書けると思います。
そして、戦闘シーンについてもネロの想いを入れようかと思ったのですが、キリが悪くなりそうなのでここでぶっちぎらせていただきました。
ネロとしてはルゥが普通に戦えていることに少しびっくりしている感じです。ルゥと同じような気持ちですね『なんで戦えてるんだ?』的な……。
では、あとがきはこれまで!




