ネロの想い 3
まさか、こんなに早く『ゴリアテ』と会うとは思わなかったわ。
ルゥの記憶が少し戻ったのは嬉しいことかもしれないけれど、アイツとルゥをこれ以上会わせるわけにはいかない。
もし、もしも、手順を間違えたら……。
第三種族の事は自分で思い出した。
力の使い方は私が教えても問題はなかった。
何が駄目で、何が大丈夫なのか……。
手探りの状態で記憶の鍵を少しずつ開けていくなんて、まるでピッキングみたいじゃない。
私にこんな重大な事やらせて、見つけたらタダじゃおかないんだから!
「にしても、本当にボロボロの宿ね……。今まで旅して来た中で一番酷いんじゃないかしら? まあ、野宿よりは全然マシだけど」
少しカビ臭い布団に横になって考えるのは、今後のことと大切なあの子のこと。
エーテルという旅の仲間が増えたことで、ルゥの周りに変化が起こるでしょうね。
良い意味でなのか、悪い意味でなのかはわからないけれど、早く全てを思い出して欲しいと思うのは私のわがままになるのかしら?
辛い記憶があるっていうのも、教えられて知っているけれど、それでも私は笑い合いたいわ。
あの時、あの場所で、色々なことがあったのよ……って。ルゥはもともと記憶力が良くないから覚えているかわからないけれど、大変だったけど、みんなで笑ったのよって…………。
「……嫌だわ。ちょっと、さみしくなっちゃったじゃない。アンタの所為だからね、クライス……」
凝れ落ちたものを乱暴に拭って、思い浮かべた困った笑顔の人物に悪態をついて布団を被った。
「カビ臭い……。ルゥ、ちゃんと眠れるかしら?」
今日も、あの子の笑顔を思い浮かべて眠りましょう。
明日も、無事に過ごせますようにと願いながら……。
やって来ましたネロの想いです。
はい。カジュカの章はこれにて終了です。
次の話からデユーズアルト大陸を離れます。
そして短すぎてすみません。
詳しい事は活動報告でお話しします。




