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1、神様のお話し

 元々、神は一人だった。

 一人の神は、真っ白で退屈な世界に小さな世界を創造した。

 世界の土台となる大地を作り、平面だった世界に山や谷などの起伏を付けた。

 殺風景な世界を彩るために海を、湖を、川を作り、植物を植えた。

 神の創造した植物は瞬く間に成長して世界を美しく装飾した。飽きたら植物を植え替え、山の形や海の深さ、川の形を変えて楽しんだ。

 しかし、それも直ぐに飽きてしまった。


「そうだ。時間をかけ、我の手を加えずとも好き勝手に成長する植物を作ろう」


 そして神は大気を作り、天候を自然に任せて植物が勝手に繁殖するシステムを作った。


「時間は掛かるがなんと面白いことだろう。おお、あちらの花は凄い進化を遂げたようだ。面白い! 世界はとても面白い!」


 しばらくはそうして世界を自由にさせて楽しんでいたが、やがて明るいだけの世界に飽き、太陽と月、星を作って世界を変化させるようにした。


「太陽の(もと)、きらきらと輝く世界のなんと美しいことだろう。月と共に輝く星々、夜の世界もまた美しい」


 当初、世界は生き物も少なく寂しいものだったが、今では時を重ねれば重ねるだけ変化が起こり、神は世界を見ているのが楽しくなっていった。


「世界の営みは素晴らしい。そうだ。生き物を世界に放って遊ばせてみよう。知恵はあまりない方が良いな」


 そうして世界に生き物が誕生した。

 太古に生きた恐竜から人間まで、ありとあらゆる生き物を世界に解き放った。

 しかしその結果、大型の肉食類や猛毒を持つ者、深海でひっそりと生きる者や空を舞う者などだけが生き残り、あっという間に寂しい世界が出来上がった。


「……つまらぬ。これではせっかくの世界が台無しではないか。今度は弱い者に少し知恵を付けてみるか」


 生き物を一度全て世界から消し去り、生き残った者はそのままに早々に絶滅した生物に対して知恵を与えた。

 知恵を生かして弱い者は上手く生き残り、生物としての繁栄を見事果たした。

 その時、神は考えた。


「生物は皆共通して(つが)いを作る。争ったり助け合ったりとても楽しそうだ。我も、番いを作ってみよう」


 神は、自分の力を少しだけ分け与えた分身を作った。

 真っ白な神の世界に、もう一人神が生まれた。


「これからは、共に世界を愛でよう」

「分かった」


 二人の神は仲良く世界を眺めつつ、穏やかに暮らしていた。


「やはり、会話というものは楽しいな。我一人では出来ない事がまだまだある。誰かが居るということはこんなにも素晴らしいものだったのか」

「うん。とっても楽しいね」


 ほのぼのとした時が流れたのもほんの僅か。

 小さな世界に異常気象が起こった。


「今までこんな事は一度も起こった事はないのだが」

「なんでだろうね?」

「知恵を与えたからだな。人の営みが、今までの世界の均衡を少し狂わせたのだろう」

「どうするの? このままだと、みんな死んじゃうよ?」

「……自然を管理する者を作ろう。ただし、制御しすぎるのは駄目だ。発展しなくなるのは本意ではない」

「じゃあ、小さな世界じゃなくてこの真っ白な世界に管理者を作ろうよ」


 こうして真っ白な世界に大地を管理するノーム、水を管理するウンディーネ、大気を管理するシルフが生まれた。


「あと一人。これは今後役立つだろう」

「なら、火山も作っちゃえば?」

「そうだな。あれがなければ面白くないな」


 最後に火を管理するサラマンダーが生まれ、真っ白な世界は途端に賑やかになった。


 何事にも動じる事なく冷静で淡々としているが、誰よりも創造主を敬愛し、他の精霊を思い遣る優しい心の持ち主のノーム、エルデ。

 怒りっぽいがノームに次いで面倒見が良く、創造主の手伝いを率先して引き受けるしっかり者のウンディーネ、ネロ。

 いつも微笑みを絶やさず、自由気ままで掴み所のない純粋な子供のようで、実は色々と考えているムードメーカーでのシルフ、アイネ。

 末っ子ゆえに大人しく、少し甘えたがりで常に誰かと一緒に行動を共にしている、精霊の中で一番素直なサラマンダー、フォティア。


 大災害を抑制しつつ、それぞれの種族の発展と進化を手助けしながら過ごす日々。

 一人だった神には毎日が楽しく、精霊たちの喧嘩でさえも笑って見守っていた。

 少し小話を挟みます。

 内容的には小話どころではありませんが……。

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