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箱庭の記憶 〜君の記憶は世界の始まり〜  作者: トキモト ウシオ
フォロビノン大陸 雑多群サリューン2
126/170

14、最高位の祝詞

 一方『五指』との戦闘を繰り広げているルルディ、リバディ、ラウディの三人は、目の前の敵の頑丈さに舌を巻いていた。


「なんなんですかこいつらは!」

「こんなの初めて」

「なんで俺様の熱でも溶けないんだ! それだけじゃなく(あつ)がりもしないってどういうことだよ!」


 『五指』と呼ばれた部隊の内の半数は死亡ないし戦闘不能状態に陥らせることに成功したが、半数を削ったあたりから敵の数が減りにくくなったのである。


 ルルディが土人形をけしかければ立派な鉄鎧を身に付けた細身の剣士の技で細切れにされて土へと還される。

 リバディが風の刃を発生させれば巨躯に似合った無骨な鎧を纏った大男に超硬合金の盾でいなされる。

 ラウディが散弾火球を放てば短弓を携えた弓士を筆頭に同じ数だけの矢を放たれ相殺される。


 『神の手足』よりも格段にいい装備を揃え、その装備を付けるに値する戦闘技術を持っている部隊。それが『五指』である。


「なんだよっ! なんで俺の炎が効かないんだよ!!」

「高位の祝詞(いのり)を唱えているのに、全然ダメじゃないですか!」

「……今から本気出す」


 ラウディ達三人は自らの力が及ばないという事実に驚愕するものの、絶望はしていなかった。むしろ、まだまだ余裕そうに次々と大技を連発し、『五指』の部隊をこれ以上進ませるものかと攻撃の手を休めることはしなかった。

 そんななか、彼らの戦闘の様子を少し離れた場所で観察していたレイディは「ふん」と一つつまらなそうに鼻を鳴らし、水鏡(みずかがみ)を作って身だしなみを整えてから静かに、そしてゆっくりと近付いた。


「みんな血の気が多いだけで全然美しくありませんわ。もっと華麗に殲滅(せんめつ)したほうが宜しいんじゃなくって?」


 そう居丈高に言い放ったレイディは優雅に微笑んで、最悪の祝詞を口にした。


「水に、世界を洗い流す力を……」

「ッレイディ!? その祝詞は……!!」

「ちょ、それはまずいですって!!!」

「お前はこの大陸を沈める気か?!」


 慌てふためくリバディ、ルルディ、ラウディを横目に、レイディは粛々と祝詞を唱え続け祈りを完成させた。


「ウンディーネの加護を、与え給え。フロ・ド・ウロキュネロ」


 レイディが唱えたのは精霊種族が扱える中では最も高位の祝詞。

 それは四大精霊のウンディーネの力を模した、天地開闢(かいびゃく)にも届きうる威力を持つ最悪な祈り。

 その序章としてどこからともなく潮騒が聞こえてくると、レイディはにっこりと微笑んだ。


「さぁ、絶望なさい」

 高位の祝詞を超える祝詞。

 4大精霊の力の模倣ですね。

 本来ウンディーネが使えば世界に何の影響もなく無限に水を生み出し、海や湖、川を作り出しますが、レイディでは世界にある水を移動させるにとどまります。ルルディやリバディ、ラウディが使っても同じようになります。


21,4,2 誤字修正

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