仙台
私たちは、喫茶店に入り、ブラック・コーヒーをそれぞれ注文した。
「やっぱり変わってないね。初めて会ったときとかわらない。」
「だから僕とわかったんだ。」
私は納得するように言った。
「明日から名古屋に戻る予定よ。もしかして、今日からこっちに転勤なの?」
「いや、違う。旅行できたんだ。」
旅行をしようと思ったきっかけは、先週、短い用事があって電車に乗ってると、中吊りに仙台ゆきの高速バスの広告があった。そういえば、仙台へは今まで行ったことがないから一度行ってみようという変な衝動に突き動かされて、予約してしまった。
「荷物はもう発送して今日のフェリーで帰ろうと思ってる。」
「もし差し支えがなければ、同乗してもいい?」
何を思ったのか言ってしまった。
「うん、いいよ。でも、もう帰るの?」
「そんなに長居するつもりなかったから。」
「そう。」
そういう感じで喫茶店で花乃と話した。彼女と話すのは久しぶりで、偶然会ったことは嬉しかったし、さらに話すことができたからすごく嬉しかった。コーヒーを飲み干すと出航の1時間前に来るのよ、と花乃が言い、店を出てから別れた。
そのあと、私は市内を観光した。孤独な市内観光になった。