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青葉-あおば-  作者: 山豊橋伝
序章
2/14

和人

 そのときはまだ、高校生であった。今ではもう二十年ちょっと前の話だ。現在住んでいる家とは違うが、その当時も名古屋市内で暮らしており、繁華街からも近かった。周りには、地下鉄や都市高速道路が通っているものの高い建物が少なく、昔からの家屋が立ち並んでおり、近所付き合いもあり、顔見知りも多い。近所には、駄菓子屋さんもあり、いつも子どもたちで賑わっていて、私も小さい頃はよく利用していた。


 通っていた高校は、名古屋市の郊外にあり、通学にも一時間を要した。一番近い高校でも歩いてたった二十分でいけるというのに、電車を使ってそんなにも時間がかかるとは名古屋市に住んでおいてどんなに辺鄙な学校へ通っていたのか考えさせられる。


 私は人付き合いが苦手で、友だちも数人ぐらいしかできなかったし、作ろうという努力もしなかった。その数少ない友だちの中で、和人とよく一緒にいることが多かった。周りでは「カーチン」と呼んでいたが、私はそのまま和人と呼んでいた。和人とは、よく世間話をしたり、漫画の話などをしていた。また、彼の話し方はうまく、私には興味がない話でもついつい聞き入ってしまうほどだ。


 ある日、和人と話している最中だった。

「実は、お前にお似合いな女、見つけたんだ。」

どうせそこらへんにいるような女だろ、と呆れながら答えた。

 私はこれまで女の子との付き合いはなかった。近くにはアパートがあったが、大体転勤族の家庭が多く、仲良くなった頃にはお別れすることになっていたため、結局は幼馴染の女の子はできなかった。

「何せ顔立ちが整ってて美人だし、なによりもお前と趣味が一緒なんだ!」

彼はテンションが上がっているようだが、へぇ、と無関係に返した。

「兎に角、近いうちに紹介すっから、その日は絶対空けとけよな。」

そう言うとチャイムが鳴った。

へぇ、彼女ねぇ。

彼女というのを持ったことがない私はまたも彼の話に興味がそそられた。

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