春雷
あれから、本当に女の子は、バイクの調子が悪くなるとアパートに来た。
そのたびに、俺はスクーターを見てやった。
俺のバイクも相当だが、女の子のパイクも相当だった。
ほんとど、廃車寸前のしろもんだ。
「買い換えたら」
「やだ 初めて乗ったやつだし、買い換えるお金がもったいない」
「危ないぞ、ブレーキもオーバーフォールしないと、タイヤもそろそろやばいぞ」
「でも、これないとバイトにいけないから」
「わかった、わかった 何とかしとく」
と俺は、軽口をたたいては、バイク屋のおやじのところにいって廃車するバイク部品を格安でかっさらってきた。
ある日、バイク屋のおやじが
「お前最近 たのしそうだな」
テールランプの電球のワット数を確認しながら廃車するスクーターを漁っていた俺は
「そうかも、何年かぶりで女いや女の子の友達ができたから」
「若いのか?」
「そらもう 犯罪かも」
「お前さ 犯罪はないぞ」
「冗談だよ、妹みたいなもん、危なっかしいし」
「それで、部品漁ってるのか、値段あげるぞ」
「それ かんべんな その子から金もらってないし」
バイク屋のおやじは、
「おまえそれ 気になってるってことだろが」
といって、手をやれやれと振った
「いや そんなんじゃないよ、たぶん俺の独りよがりのワンサイドだよ」
と俺はいい。お目当ての電球を見つけて、バイク屋を後にした。
シフトが夜勤から日勤に代わり、帰りが遅くなると、女の子とも会えない日が続いた。
俺は、さして気にしてはいなかった。
女の子の家は、俺のアパートからスクーターで、15分程のところにある、市営アパートだと聞いていたし、バイトの時間と合わないのだろう思っていた。
女の子、会話の中からその子が、16歳だと知った。俺のタイムシフトの中にいるのだから、学校にも行っていないことはわかっていたが、あえて、事情は聞かなかった。
ここいらの地域では、よくあることだ。なんせ修羅の国って呼ばれてるし、俺の職場にも、年中長袖来た人もいるし、さすがに身体の一部が欠損した人はいないけど。
それなりに、事情があるひとがいるということだ、かくゆう俺もそのた大勢だし。ただ、女の子には、そんなの人たちの持つ独特の雰囲気がなかった。俺と似たもっと深い影がちらほら見えた。
女の子と会わなくなって、2週間が過ぎたころ。
外は、春雷というのだろうか、大雨の上雷が鳴り響いていた。日勤の俺は、仕事から帰って、食事を作り、ヘッドフォンをつけて好き音楽を聴きながらたばこをふかしていた。
ドアのチャイムが鳴ったようなきがして、ヘッドフォンをばずした。
やっぱりのドアのチャイムがなった。
俺は誰だかすぐにわかった。俺のアパートに訪ねてくる奴なんて、そう何人もいない。急いでドアを開けた。
目の前には、ずぶぬれになった、女の子が立っていた。
俺はかける声をなくした。
フラッシュバックだ、ことの次第は理解できた。
黙って、おれは女の子を部屋に初めて上げた。
バスルームに行くと、シャワーを出しっぱなしにして、温度調節した。
「雨に濡れたね、風邪ひくよ シャワー浴びなよ、俺 たばこ切れたら買ってくるから」
といって、女の子をバスルームに押し込んで、傘をさして外に出た。歩いて10分蔵のところにあるコンビニで、たばこと女ものの下着を買って、アパートに戻った。までバスルームからは、シャワーの音が聞こえていた。
俺は、ガスコンロにやかんに水を入れて、点火スイッチをひねった、チッチツチッと音がしてガスが点火した。
お湯が沸いたが、バスルームからのシャワーの音がやむことはなかった。
「あのさ、着替えおいとく 下着はコンビニで買ってきたから」
俺はバスルームのドア越しに話した。返事はなかった。
しばらくして、バスルームから、シャワーの音がやんだ。10分以上してもバスルームから出てこなかった。
俺は,意を決してバスルームのドアを開けた。
女の子は、バスルームの壁にもたれて座り込んでいた。
見たくなくても、女の子の体のあちこちにはあざあった。
俺は、バスタオルで人形のように微動だにしない女の子の体ふきTシャツを着せた。さすがに下着は無理だったので、女の子につけるように言って、バスルームを出た、幾分落ち着いたのか、しばらくして女の子はバスルームを出てきた。
座るように促して、テーブルの上にテイカップを置いた。長い髪はまだ濡れたままだった。
俺は、バスルームから、ドライヤーを持ってきて女の子の髪を乾かし始めた、女の子はされるままになっていた。
俺は女の子にカップの紅茶を勧めて、飲み干させた。
緊張感がとれたのか、女の子はウトウトとしだした。紅茶ブランデーが効いたようだ、本来アルコール分をとばすのだが、今回はそのまま飲ませた。
女の子を促し、2kの奥の部屋のベッドに寝かせた。電気を消そうとしたとき女の子は、
「ごめんなさい」
と聞き取れないような声で謝罪した。
「おやすみ」
とぃつて、俺は電気を消した。