プロローグ
更新はのろまですが、どうぞよろしくお願いします。
トスッと軽く胸に衝撃がきた。
視線を落として目に入ったのはナイフだと思う。刃の部分は見えないほど深く食い込んでいた。
私は体質上、痛みは感じることはない。けれど、血は出る。
運悪く肺に刺さったのか、口から血が出た。ごぶって言っちゃったよ、私。
乙女にあるまじき声を出してしまったことと、口の中で鉄の味がしたことに私は顔をしかめた。
「っ、レイリっ!大丈夫か!?」
けして痛みに顔を歪めた訳ではないが、勘違いをしてる(確信)エドが駆け寄ってきた。
無意識に身体が強ばっていたようで、エドの顔が目の前で見えるとふっと力が抜ける。と同時に、身体が熱くなってきた。これも体質の一つ。熱風邪のような状態になるのだ。
「エドがさんにんいる~」
エドがぶれて彼が分身していることを本人に伝えたら、エドの口がポカンと開いた。三人とも同じ顔で口を開けているので、少し笑ってしまった。
肺に振動がつたわり、またカハッと血が出る。息が吸いづらくなってきた。たぶん、喉に血が詰まったのだろう。視界も徐々に狭まってくる。
体がふらりと揺れ、地面にぶつかりそうになったとき、エドが支えてくれた。さっきよりも彼との距離が縮まったため、綺麗な顔が泣きそうであることに気がつく。
そんな顔しちゃだめだよ。初めてみる表情に驚きながらも、私はエドの頬に手を添えた。
「泣かないで、私はすぐに治 るか ら」
閉じようとする瞼と必死に闘っていたけれど、ついに光は見えなくなった。
「レイリ?レイリ!起きろよ、レイリ!!」
エドの必死な声が聞こえくるけど、意識は底へ底へと落ちていく。
「また、きみにーーーーーよ……」近くにいるエドではない、こえ。
最後に聞こえた言葉が誰なのか確認せず、私は気を失った。