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27歳のクリスマス  作者: 白石 玲
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27歳のクリスマス 21日の物語

  27歳のクリスマス   ―――12月21日(日)―――


『25日と24日は仕事が遅くなりそうだから、今年は23日にしよう』


 およそ一か月ぶりのデートでそんな言葉とともに微笑まれて、


『楽しみにしてる』


 なんて微笑み返して、じゃあ、クリスマスプレゼントはその前の週末に買いに行かなきゃね。なんて考えていた私は、いったいどこまでポジティブシンキングガールなんだろう・・・もう、ガールって歳ですらないかもしれないけど・・・。



「・・・・・・」


 今日は12月21日(日)

 付き合い始めてから4回目のクリスマスが目前に迫っていた。前の3回をそうしてくれたように、今年もどこかのレストランを予約して、クリスマスディナーの用意をしてくれている彼氏のために、クリスマスプレゼントを買いにひとりで買い物に来た。


 でも、今私に背を向けて目の前に立って信号待ちをしている、お互いの腰に腕を回してとても仲好さそうに話して、人混みだからばれないだろうって、それとも、見られてもま、いっか。そんなノリでキスをしているカップルの横顔を見れば、その片割れはどこからどう見ても私の彼氏で、信号が青になって周りが進んでも、私は動けなかった。

 その瞬間に考えていたのは、子供の頃に見たドラマ・・・主人公はクリスマス当日の朝、ヒールが折れて、パリコレに行けなくて、雨に降られて、男に振られて・・・で、で、どうなったんだっけ?


「結衣ちゃん?」


 そんな、間違いなく人生で一番声をかけてほしくない時に平然と私に呼びかけた声は、たとえ何年たっていたとしても私が絶対に聞き間違えるはずのない相手だった。

「立ち止まってたら危ないよ?」

 自分のことでいっぱいいっぱいで、人にぶつかられながら立ち尽くす私を、彼はそっと引き寄せて横断歩道の前から移動させた。

「・・・俺のこと、忘れちゃった?」

 今まで付き合った人の中で最も背が高かった彼。その彼があの頃よりもさらに窮屈そうにかがんで私の顔を覗き込んだ。ローヒールに慣れきった今の私と相変わらず背の高い彼は、私のヒールが低くなった分、あの頃よりも身長差が大きいから。

「・・・彰・・・」

 名前を呼ぶと、彰はあの頃と変わらないきれいな形の唇の口角をキュッとあげて最高にきれいに微笑んだ。

「覚えてるじゃん」


 どうして彼は今、私を見つけたのだろう。

 なにも、今じゃなくてもいいのに。



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