ー6ー 堕ちた神「カオス」
「輪廻操者」編開幕‼
今までは短編に近かったですが今回は長編です!
お気に入り急増中、感謝です!
神は俺に完璧な力を与えなかった
憎い
だが人間を殺めるには余りある力だ
そして その力は俺を強くした
あと少しだ
あと少しで完璧な力を手に入れられる
あと少し・・・
メルキド王国、レンガ造りの民家が並び中央の円形の広場では露店商が建ち並び買い物客で賑わっている。広場の北側には小さな城が見える。小国にはちょうどいいサイズだ。
「すげぇな〜」
「ねぇ〜」
2人は民家の間を歩きながら中央広場を目指す。
「あっ、そういえば大会の賞品ってなんなの?」
「なんでもいいんだよ!」
「まじで?!」
「うん、ここは外交の国でもあるからね」
「そうなんだ〜」
石畳の道をマイペースに歩く2人は観光しているカップルに見える。
しばらく歩き広場が遠くに見えてきた
「神殺しはなにを集めてるの?」
「えっ、あぁ。情報と人だって」
「ふ〜ん、変わってるな。そういえばその神殺しの名前は?」
「名前・・・、名前は」
「カオスだ、二つ名は神殺し」
えっ!
広場についた2人に声をかけた男はマントを羽織いフードを被っているので顔はみえない。
「よく来た俺の力よ」
「お前は誰だよ!」
「堕ちた神だ」
「ふざけてんじゃっ・・・」
その瞬間シヴァの背後の民家二軒が衝撃音と共に瓦礫と化す。
「お前には礼儀を教えてやる、その前に女神は預かっていく」
一瞬の後カオスの横に同じ風貌の人間が気絶したユナを抱えて現れる。
「お前っ!」
「礼儀をしらないのか」
やけに落ち着いている。
「まだ時間はある。そしてお前が最後だ。俺を楽しませろ」
カオスが左手を前に突き出す。
空には暗雲が立ち込める。
「輪廻」
囁くのと同時にシヴァの前に大きな三角形を描く様に3つの漆黒の玉が現れる。
カオスが右肩の上に突き出した手を移動させる。
するとカオスの体から邪悪な魔力が吹き上がり同時にシヴァの前で3つの玉が速度を早めながら時計回りに回転し、じょじょに形態を変えていく。そして完全な輪になる。
「俺のとっておきを見せてやる、お前を輪廻のサイクルから外す」
カオスから吹き上がっていた邪悪な魔力は一瞬で止まりそれと同時に輪の中に一回り小さな術式の輪ができその中にまた一回り小さな術式の輪ができ・・となっていき中心には鍵穴のような模様があらわれる。
カオスの左手が空を切り裂き左肩と左手が一直線になる。
「除外」
するとシヴァが前触れも倒れる。
「お前は俺の気まぐれで死ぬんだぜ⁈次、会ったときのお前の運命も俺が決めてやる」
そのあとの記憶がない
目を覚ます。
夢ではなかったようでシヴァはメルキド王国の宿で眠っていたようだ。
窓から広場が見える、瓦礫の山の周りには野次馬が集まっているのが見える。
ユナを助けないと!
シヴァは急いでランカーギルドに向かう。
メルキド王国のランカーギルドも城の隣にあった。こちらは隣と言える場所にある。造りは同じで中に入ると受付に30代くらいの男性が立っていた。
「神殺しの事についてしりたいんですけど」
「あんたは見ない顔だ・・」
急いでいたシヴァは死神の姿になる。
男性の態度は一変した。上手く情報が聞けそうだ。
「そいつは最強パーティ「カイナ」のリーダーでっせ」
「カイナとは?」
「神の祭殿を占拠してそこをアジトにしているみたいで、メンバーは100を超えるらしいです。幹部クラスともなると上級職業がごろごろいるとか。」
「そうですか、ありがとう」
カオスの評判は悪くないようだ。それがさらにシヴァの恐怖心と好奇心を駆り立てる。
職業を解除しギルドを後にしたシヴァはすぐに神の祭殿を目指す。マップを確認するとこの国の領土の2/3を占めるシロク山と言う山がありその頂上に神の祭殿があるという。
確かに砂漠からでも山の存在は確認できたがそれが国の領土内にある事には気づかなかった。
シヴァにとってユナら他人だ、だが悪いやつじゃないしジュロイの助言でもある。だから助ける。
その気持ちを胸にメルキド王国西のシロク山を目指す。
広場を横切り賑わう露店商に見向きもせずにシヴァは再度マップを確認する。神の祭殿の詳細を確認する。
すると祭殿のホログラム映像のようなものと説明があらわれる。
ホログラムには屋根が破壊され瓦礫と化し、石床から白い石の柱がまばらに立っている状態を映している。
この祭殿は神の住処に1番近い場所らしい。昔の人々はここで祈りを捧げていたようだ。
山の麓に着いたシヴァは死神になり同時にスキル「浮遊」を使い山を駆け登る。
山は手入れされているようで美しい。
そしてついにシヴァは頂上にたどり着いた。
石床に降り立ったシヴァが見たもの、それは奥で黒いソファーに座ったカオスだった。カオスが口を開く。
「君は馬鹿か?昨日殺されたばっかなのにまた殺されに来たの?」
「ユナを返せ!」
「嫌だ、といったら?」
「力尽くで・・」
シヴァの体が浮かび上がる
「力尽くで、何?」
「なめやがって!」
すぐにスキルを発動する。
「死闇!」
カオスが後ろに吹き飛ぶ。
地面をえぐりながらさらに奥に移動する。
シヴァは地面に足をつくことができ、カオスはだらしなく寝転んだ形でとまる。
カオスは一瞬の間の後吊り上げられたかのように立ち上がる。
「これだよ!これこそが俺の力にふさわしい。」
同時にカオスはマントに手をかけ脱ぎ捨てる。
髪は灰色のストレートだ。目はなにか思い悩んでいるようで、引き込まれそうなほど黒い。
黒くて肌に張り付くような長袖のシャツの上に袖の広い白い前のはだけた服を着ている。
「帰れと言っても聞かないだろ?」
カオスはまた左手を突き出し右の空間を払う。
手の動きにあわせてシヴァが右に飛び柱を一つ破壊する。
「ここには柱が12本ある、怖いか?」
「ユナを返・・」
「あわえてんじゃないよ?」
カオスの手が指揮のように振られる。
12本の柱が一本一本瓦礫に変わっていく。
最後の一本をシヴァの肉体が砕く。
「体力は残り1、もう体は動かないだろう。俺の話しを聞け。」
気づくとさっき壊れたはずのソファーが無傷であり、それにカオスが腰をおろす。
「俺は地獄の番人「ハデス」の子供だ。そして俺は万能の神「ゼウス」に憧れた。」