ー11ー 邪神と破壊
朝、シヴァは借りた部屋で戦闘準備を始める。
報酬のジュリビアを使用し「八咫烏」の消費魔力の軽減をおこなう。
昨日買った「集中力が上がるパン」を口に押し込む。
大助なりのパンの食べ方だ
カーテンを閉め切った部屋には緊張が満ちる。
ゼウスの記憶操作により名前がシヴァになった。今ならわかる、すべてゼウスに操られていたのだ。
まず、異世界を最初はイベントだと思っていたがボスゴブリンを見ても反動が少なかった。
そしてジュロイの簡易な説明に納得し戦いを続けている。
おかしい、が迷っていてもなにも変わらない、カオスを倒せばなにかが変わるのならカオスを倒すのみ。
そう心に決めると立ち上がり部屋を出る。
目指すは神の祭殿。
宿を出る、心なしか風に背中を押されている気がする。
広場を横切り山を目指す。
山を正面に見て家が左右に立ち並ぶ石畳を一歩一歩確実に歩く。
ザザザッ
正面に数十人、背後からも同じ気配を感じる。
「我らはカイナ、カオス様の忠実なる僕なり」
彼らは一様に同じ茶色のマントを着ている。
「四柱は?」
「お前に答える義理はない」
雑魚だけか・・・
居れば出てくるはずだ。
雑魚だけと判断したシヴァはできるだけ魔力を使わずに戦う方法を考える。
魔力の節約だ。
バトル開始
超人的な身のこなしで一撃必殺の蹴りや突きを繰り出す。
舞を思わせる動きで敵を翻弄し確実に倒す。
そして飛び蹴りで1人、さらに続けて逆脚で回し蹴り。最後の敵を倒す。
シヴァの周囲には敵の山ができていた。
浮遊で敵の上を通過しまた祭殿のある山を目指す。
風を切り飛ぶ。
山のふもとまで来た。
山が問題だ、奇襲されればひとたまりもない。
そこで朝考えた計画を実行する。
まず浮遊で山の山頂の高さまで上昇する。バランスをとるため「歪空」で空間を歪め周囲に壁を作る。この壁は攻撃を防ぐ事にも使える。
そのまま移動する。
完璧な技で計画を成功させ、見事山頂に到着した。がその瞬間、遥か後方で破壊音が聞こえる。
街だ。
振り返ると街の広場を中心に国の大半が瓦礫と化していた。本当に一瞬の出来事だった。
「なんで・・・」
っと、今度はさっきまでシヴァが向いていた方向から聞き慣れた声がする。
「悲しみを知る前に、死ね!!」
カオスだ振り返る間もなくシヴァの体がぶっ飛ぶ。地面に打ち付けられるのを浮遊で回避し痛みに顔を歪めならがも遥か上空を睨む。
カオスがゆっくり降りてくる。地に立ったカオスが左手を上げる。するとシヴァの周りにフードをかぶった人間が数十人程現れる、カオスの左右にはフードをかぶってはいるが明らかに雰囲気が違う人間が4人居た。四柱だ。
カオスがゆっくりと口を開く。
「破壊神か・・・。俺とお前は相性が良くないな、破壊と創造。俺は邪神だ、だから破壊もできるがね。」
「ユナを返せ」
「これ?」
カオスが指を振るとカオスの背後から人間が飛んで来てシヴァの前で地面に叩きつけられる。ユナだ
「お前!ユナに何した!」
「真実の死の実験をね」
「真実?!」
「この世界では人は死ねない。俺の夢はこの世界に真実の死を作る事。そいつは動かないよ」
「てめぇ!」
「落ち着け、冥土の土産をくれてやる。まず祭殿は壊しても俺がいるかぎり一瞬で再生するから祭殿を破壊しようとしても無駄だよ?ここからだ、俺はあの祭殿で絶対神となりこの世界に真実の死を与える。次にお前はゼウスに利用されている、お前達が来た事でこの世界は壊れたがお前が帰ればこの世界は消滅する。お前が神になれば別だけどな」
「うっせーよ!」
「ごめんな、まとめると。お前はここで二人目の実験台になる。」
周囲の敵が攻めてくる。カオスだけが静かに観戦をしている。
ユナを遠くに移動させる。
バトル開始だ
「歪空」
「黒炎」
両手を広げる。トウィストで右の敵を、ナイトメアで左の敵を力任せに攻撃する。
魔力が・・
ナイトメアだけに切り替え黒炎を形態変化させて槍状の炎を大量に作り出す。
その炎は空間を縫うかのように敵めがけて飛び敵を貫通する。
シヴァが腕を振り敵をカオスめがけて投げ飛ばす。
カオスは指を鳴らす。と敵が四方八方に吹き飛ぶ。
味方にまで・・
カオスはまったく表情を変えない。
「面白い、エスフォーメーション!」
カオスがそういうと残った雑魚数人と四柱がカオスの前に集まる。
周りの石や空気が怯えたように揺れ出す。
シヴァは八咫烏を周囲に漂わせ、両手には魔力が灯った状態でカオスに向かって歩いて行く。




