ー10ー 君は誰?
いろんな店があるなぁ〜
夜は昼とはちがった店が立ち並ぶ、若干飲食店が多いようだ。
家族で食事をする者、単にショッピングを楽しむ者などで商店街はごった返している。
「こっちに来て」
突然、白いワンピースを着た女の子に手を引っ張られる。
「ちょっ、君は?」
「誰でもいい、でも私はあなたを知ってる」
そのまま人ごみを縫うように数分間走る。
ハァハァ
「ここ、私が1番好きな場所」
そこは丘の上の公園のような場所で、そこから商店街を一望できる。
「ここにはね、昔、不死鳥が住んでいたらしいの、今はここのどこかに封印されてるんだって」
「えっ・・・」
「私が誰だか知りたい?だったら進むべき道をちゃんと進んで。そうすれば私が会いに行く。」
「進むべき道ってなんだよ?!」
「不死鳥は人に命を授ける。火を極めし賢者にしか呼べないけどね」
「なんなんだよ!」
「じゃあね」
少女は闇に歩き去ろうとする
「まてよ、こんなとこまで来させて・・」
うっ、動けない・・・
正確には動けないのではなく何かに押し返されている気がする。
しばらくして威圧感が消える。
なんなんだよ・・
頭がいっぱいだ。
シヴァは予定を変え宿に向かう。
朝、ゆっくり起き上がりスムーズな動作で宿をでて、そのままメルキド王国を目指す。
あと3日で決着がつく。
サクリ砂漠の危険地帯を難なく突破し数時間で王国につく。
そしてすぐに宿をとる。
これは人の多さをみて判断したのだ。双月の時に合わせて祭りかなにかがあるのだろう。
今はまだ昼、明日の戦いまで丸一日はあるだろう。
とりあえずお決まりのランカーギルドに向かう。
この道も歩き慣れたようで感じるものが変わってくる。
頭上では洗濯物が風になびいている。
カッカッカッカッ
後ろから石畳を歩く音がきこえる。
日常の音がシヴァには特別に聞こえる。
「あなたの魔力が乱れたわ。」
「えっ?」
「こんにちわ」
「あっ、君は!」
ネフト帝国で会った少女だ。こんな少女が1人で砂漠を抜けてきたのだろうか?
「私の事はユミメルって呼んで」
「じゃあ、ユミメルは俺に何の用があるんだよ」
「いずれわかるわ」
「いずれって」
「せっかちな男は嫌いだよ?」
「こっちだって他人とは話したくない」
「あなたって面白い。」
「俺の話を聞けよ!」
「わかった」
「えっ?」
「デートしながらね?」
そういうとまた手を引かれる。
「私ね、オシャレなカフェでね。誰か落ちついて居れる人と一緒に・・・」
「ん?」
「なんでもない。それよりさっ、私いいお店しってるんだ!」
「ふ〜ん」
そこは始めてはいる道だった。
そこには飲食店が立ち並びこの国で一番この国らしい。
「あそこだよ!」
指の先にはテラスが特徴的なカフェがあった。
「なんかさっ、楽しいね」
「うっ、うん」
「じゃあさ。この手、離さないでね」
「えっ」
2人は自然に手を繋いでいたようだ。
カフェで会話を交わした後、今度は広場に向かう。
「なにか私にプレゼントして?」
「いいけど・・・。なにがいい?」
「センスに任せる」
ユミメルを広場の東に残しシヴァは買い物に出かける。




