ー9ー 謎が謎をよぶ
「貴方は屋根の上からの周囲の監視と姫様を守るのが役目です、ネフト帝国で報酬の「節約術」をお渡しします。」
「わかった」
屋根に飛び乗る破壊神シヴァを見た運転手は馬を走らせる。
砂漠に入る、ゴーレムをあっさり倒して見せたのに無反応だ、かなり護衛のハードルは高いようだ。
それからサソリの群れに出くわすが馬車は加速し切り抜ける。
砂漠を高速で走る馬など聞いた事ないが考えない事にした、ゲームなのだから。
これなら半日でつきそうだ。
馬車に揺られること数時間。
日差しは和らぎシヴァはウトウトしていた。
ねっ、眠い・・・
バシュッ
「なんだ!」
突然の攻撃らしき音に世話役の男性が慌てる。シヴァはある事に気づく、馬の脚から血が出ている。
「馬に恨みはないが」
左右に五人、前に一人 人間が現れる。全員フードを被っている。
「姫を人質にしないといけないんだ」
「我らはカイナ、そして僕はカイナの3柱の1人「ムール」です」
「私が相手だ」
男性が静かに立ち上がる。
「いや、あんた歳なのに大丈夫か?」
カオスを思い出す。部下でも一筋縄ではいかないだろう。
「私は魔導士の2次職「賢者」だ、歳は関係ない」
2次職?賢者って
「君たちは下がってて。」
世話役の男性が馬車を飛び降りムールの右側に着地する。
そして同時にスキルの詠唱を始める。
「朱雀の咆哮を受けよ【ファダイン】!」
男の手から回転しながら炎が吹き出しムールを襲う。
「僕も舐められたもんだね」
『ロック』
男性の両肩から術式が湧き出し中央で交差し腰で止まる。
「うぅっ」
「僕は人殺しは嫌いでね、行動を制限させてもらうね、まぁそこで見ててよ」
男は向きを変えシヴァを睨む。
「僕は拘束士、君は破壊神だね?憧れるよ。でも今の職業で満足してる」
『ロック』
さっきの男性同様シヴァの体に術式が刻まれる。
「八咫烏」
体の周囲を魔力で覆う。
「実行」
パリン、と言う音と共に術式を的確に破壊する。
そしてシヴァはゆっくり立ち上がる。
「強いね、でも今のは初級スキル、あと二段階僕は強くなる。」
「歪空」
やつを空間ごと歪める
「空切」
ムールの左右の地面がえぐれる。
「空間を切る、それは拘束の絶対解除を可能にする。それは僕の力を解放できるという事だ」
「八咫烏」
やつを含め敵全員を一掃する。
「俺は忙しいんだ」
っ!
ムールに焦りを感じる。
「これからだったのに、今日は引き下がるよ。みんな飛天符の用意」
散!
一瞬にして敵が消え同時に男性にかけられていた術式もとける
「申し訳ない、私が未熟で・・・」
「いいですよ」
人が良い気持ちで日向ぼっこしてるときに邪魔されたのにはイラっと来たが。
それからは何事もなく無事ネフト帝国に着けた。もう外は真っ暗だ。
北門に入ったところで馬車は止まりシヴァは降ろされる。
報酬をしっかり受け取ると馬車は走り去って行ってしまった。
「姫様ってなんか話したか?」
今さらながら疑問を抱く。だが時すでに遅し。
今日は久しぶりにネフト帝国の宿に泊まる事にしてシヴァは買い物に出かけた。
ジュリビア専門店にも行ってみたいな。
光り輝く商店街に向かうシヴァであった。




