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魔術同好会!!  作者: ラグナウルフ
第01章 ――魔術師達に歌を――
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第四話 生徒会での物語

この物語は基本的に、薫と凛の2人が主人公となり、魔術同好会側と生徒会側の両方から物語が進んでゆきます。

 私立蓮邦学園と呼ばれる学園がある。学力もそこそこで、品性もよいといわれている。PTAも良い顔をする学園だ。

 多くの部活動があり、多くの学科がある。

 そんな学園の生徒会長である私はいつも……と言うわけではないが、激務に負われる事となる。当たり前の話だ。

 特にこの学園は生徒会に回る仕事が一般の学校よりも多いらしく、かなりの量をこなさなければならない。とは言え、生徒会だって生徒だ。その辺は過去の生徒会入りしていた人の親が出てきて、今では昔の分量の約3分の1程度にまでは抑えられていた。

 職務怠慢だなんて思わない。だって、そんな量の仕事が来たら私に出来ることが減るのだもの。

 ただでさえ去年から兄さんの魔術同好会とも争っていると言うのに……。

 

 

 私―― 一堂(いちどう) (りん) ――が生徒会室に入ると、そこには女子生徒一人しかいなかった。

 

「あれ、翔子(しょうこ)さんだけですか……?」

「えぇそうよ。当真(とうま)海斗(かいと)(りゅう)もいないわ」

「そうですか……。皆さん今日もちゃんと来るのでしょうか……?」

「海斗は義理堅いし、流は職務に忠実。当真は私が無理やり来いって言ってあるから、来なかったら殺すし……ふふっ」

「…………笑顔が怖いです、翔子さん……」

 

 彼女は箕原(みのはら) 翔子(しょうこ)。私と同じだが、私以上に長い黒髪をした女性的な女の子。

 女性的と言うのは彼女は美しいが、美少女と言うよりも美女に見えると言う事だ。決して老け顔と言うわけではない。

 私は彼女のような、全てを優しく包み込むような表情も、胸も無い。女として悔しいとも思ってしまう。

 考えるとちょっと気になってしまった……。

 

「……会長? 自分の胸をポンポンと触って―――あん、きゅ、急に私の胸を触らないでください……」

「あ、ご、ごめんなさい。どうしても気になって……」

「あら? もしかして胸が大きくなりたいのかしら?」

「そんな事は――ッ!?」

 

 わしっ、モミモミ

 

「確かにお世辞にも大きいとは言いがたいですが、私としてはこのぐらいの胸も好きですよ?」

 

 モミ、モミ

 

「や、やめ…………ぁぅ……」

 

 急に胸を揉んだ事への仕返しなのか、翔子さんは私の胸を揉んできた。

 それも、痛くなく、ちょっと会館をもたらすような微妙なソフトタッチ。

 ――翔子さんがレズだという話しは本当かもしれない……だとすれば、今の状況はワニの口に頭を突っ込んでいる様な物ではないだろうか……?

 だとすれば、ヤバイ!!

 私の中の危機察知能力を発揮する。

 

「うぅ、ちょ、そんなに揉ん――――ひゃぁ!?」

「ふふっ、私からそう簡単に逃げられると思わない方が良いわよ……?」

「いや―――!!」

 

 ちょっと本気(マジ)悲鳴。

 このままだと私の大切な物を翔子さんに散らされてしまう――!!

 翔子さんの手が私のブラウスのボタンとボタンの間をスルリと入り込み、(じか)に胸に触ろうとした、その時

 

「あなた達は……何やってるんだ?」

 

 ジト目で私達の行為を見つめる男子一人。彼は四宝(しほう) (りゅう)、生徒会の一人だ。

 私は助かったと思い、翔子さんから離れようとして―――グィッと腕をつかみ、引き込まれた。

 

「えぅ!?」

「流、邪魔しないで頂戴。これは私と会長のスキンシップなのよ」

「ふぅ……私は邪魔しない。しかし、あまり煩くしないでくれよ。私は煩いのは苦手なんだ……」

 

 っと、私の助けてコールすらも聞こえない(正確には見えない)ようで、彼はスタスタと自分の席に座って本を読み始めてしまった。

 量子(りょうし)……いや、よそう。彼が何の本を読んでいるか知ったところで、私の危機的状況は変わらないのだから。

 親しみすら感じるほどのニヤニヤをしながら胸を触ってくる翔子さん。

 その手つきはまるで私を焦らすように……

 

「いい加減にしろォォ!! ってか、会長もそんなに落ちそうな表情をしないでください!!」

「ハッ!? しょ、翔子さん!! あまり私の胸に触らないでください!!」

「えぇ~~? だって、私みたいにおっきい子を触るより、私としては会長みたいに少し小さいくらいを触るほうが好きなのに……」

「そんな事聞いてません!!」

「だいたい、海斗(かいと)はいつから私たちの行為を見てたのよ。いる事すら気がつかなかったわ」

「流と一緒に入室したんですけど、ちょっと固まってただけです」

 

 心なしか彼の顔が赤い。

 ずっと赤いまま扉で話しを続けているのは、生徒会副会長の風村(かざむら) 海斗(かいと)

 かっこ良くはあるがどことなく苦労人。イケメンではあるものの、短髪でスポーツマン風のカッコいい男子。

 ただ、やっぱり苦労人。

 

「……風村、煩いぞ」

「あぁ、すまん流。ただ少し我慢していてくれ……俺のために……こいつらを説き伏せる!!」

「別に女同士でナニしてようが構わんと思うが? どうせ私たちには関係ない」

「そぅよ、そぅよ。 会長だって私の事を求めてくれそうになったんだから」

「すごく不名誉な言い方ですね!!」

「えぇぇい!! そんな事ばかりしているから『生徒会(笑)』とか言われるんですよ!?」

「え、私たちそんな風に呼ばれているんですか?」

「かなり限られた一部ですけど呼ばれていますね」

「…………私は知らなかった……」

 

 本当に呼ばれているか若干怪しいが、呼ばれているとしたらかなり問題だ。『生徒会(笑)』とか……。

 

「そういうわけなんで、今日は俺の講義を聞いてもらいます!!」

「こうぎぃ~~~?」

 

 翔子さんがすごくメンドクサそうな声を笑顔で放つ。逆に、もう怖いくらいな笑顔だ!!

 私は正直言えばどっちでも良いが、今日は急いで帰らなければならない。早めに切り上げてもらおう……。

 

「海斗君、今日私は用事があるから、かなり手短にお願いね……?」

「うっ、会長が上目使いでそんな表情されると……」

「海斗ッ、やるなら早くしましょう? (余計な事は言うな)」

「は、はい!! (怖ぇぇぇ!!)」

 

 何かを呟きそうになった海斗君を翔子さんは黙らせ、会議は進む。

 

「まず、俺から発言したいのは翔子先輩の性的行為です」

「何かしら? もしかして何か問題のある行為でもしていると言うのかしら?」

「問題だらけですよ!? 女の子同士でエッチなことをするのは俺はいかがな物かと思います!!」

「つまり、海斗の言いたいことは、エッチなことをするなら男女間でちゃんと子作りさせろ……と……? 貴方は同姓愛を否定するのね……。同性愛は人間として欠陥があるとか、そういうことを言うつもりなのね、残念だわ」

「…………風村、そういう発言はダメだ……」

「……同性愛…………」

 

 一瞬寒気のような物が走ったが、気にしないこととした。

 何か私の周りには同性愛者が多い気が下が、それも気にしないことにした。

 

「真っ向否定はしませんが、せめて場所を選んでください!!」

「つまり、自分の見えないところでやれと……。貴方は戦争すらも見も聞きもせず、募金もしなさそうなタイプだものねぇ」

「…………風村、そういう発言はダメだ……」

「海斗君……ちゃんと募金はしないとだめだよ……?」

「何でみんなの中の俺の像はそんなに鬼畜男なんですか!?」

 

 叫びまくっている海斗君を見ると、やはり苦労人だなぁ……とシミジミ感じてしまう。

 単なる弄られ系キャラなだけかもしれないけど。

 

「まぁ、性の事はもう良いです」

「性交の話しなだけに、説得は成功(・・)しなかったな……フッ」

「いや、流!? そんなに面白いギャグでもなかったからね!?」

「なん……だと……!?」

 

 驚きに目を見開く流君。本人はかなり大爆笑のネタだったようで、いつもは無表情な彼もかなり驚いていた。

 ……流君は本当によく分からない人だなぁ……。

 

「次の問題は流、君だよ!!」

「なんだ? 私に何か問題でもあったのか……?」

「君はマイペース過ぎるんだよ!!」

「そうか…………。……………………。………………何か悪いのか……?」

「間長っ!? ちょっとリアクションに困ったよ、俺……。いいかい、マイペースなのは良いことだけど、過ぎるのは悪い事なんだよ」

「……どう悪いんだ……」

「いつも他人のことは気にしないし、今回の二人の行為だって止めに入らなかった上に黙認したじゃないか」

「……別に止める必要はないだろう」

「不純異性交遊は校則で禁止されてるんだよ!?」

「……同姓だから問題ないな……」

「不純でしょ!?」

「不純なのか?」

「私は不純じゃないと思っているわ。もちろん」

「…………ノーコメントで……」

 

 本当に何もコメントできません。

 

「流も少しは本読むのをやめて、外の世界に関心を持ってみたらどうなんだい?」

「……私はたとえ世界が崩壊したとしても本を読んでいるさ」

「すごいっ!! そんな事できるなら、俺が止めに入る事は出来なさそうだ!!」

「……人類が消滅していったとしても読書しているだろう」

「人類何とかしようよ!!」

「むしろ崩壊する世界をバックに本を読んでいる私……これは映画化だな……」

「出来ないよ!?」

「全米ナンバーワンヒット……見えるな……。この話しはノンフィクションです……とか」

「世界崩壊してたら全米ナンバーワン取れないよ!? アメリカないんだから!!」

「っ!! ………………。…………盲点だった……」

 

 愕然とする流君を尻目に「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ」と荒い息を吐く海斗君。どうやらつっこみ疲れのようだ。

 私自身も少し変わっている流君のその性格の片鱗を見てちょっとビックリ。

 本当にこの人はよく分からない……。

 っと、そこまで話が進んだところでカチャリと扉が開き、生徒会最後の一人が入室し――

 

「チィーッス、遅れま――グハッ!?」

「遅いわ。ボケ」

 

 ――ようとした所で翔子さんの投げた招き猫の置物が彼の腹部に激突。かなり痛そうだ……。

 

「ウグオオォォォォ!? ちょ、あ、姉……貴…………?」

「当真、私が来いと言ったら犬のようにサッサと来る……そう教えなかったかしら?」

「翔子先輩……その招き猫……銅製ですよ……?」

「……同性愛者の投げた銅製(・・)の…………どうせ、い(・・・まのギャグもつまらんとか言うのだろう…………ククッ」

「だからそんなに面白くないよ!? 君のギャグ!!」

「なっ!? そんな馬鹿な……!?」

 

 本当に騒がしい場所だ……。

 私はこの生徒会の中を他人事のように見つめたのだった……。

 

(これは『生徒会(笑)』とか言われても仕方ないかもしれない)

 

 そう素直に思った。

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