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9.二人の決断
いつものように死者の魂を天に送った後で、死神が言った。
「俺、死神やめるわ」
「え!?」
死神は、いつになく真剣な目で私を見ている。
「お前も、もう生き続けるの嫌だろ?」
「……だとしても、何ができるというのですか?」
私が問いかけると、死神は私から目をそらして言った。
「まあ、ちょっと、出来そうなことはある」
死神が口角を上げた。
「そうなんですか?」
私が食いつくと、死神は右手を軽く上げた。
「悪魔と交渉して、俺の『宝石』と引き換えに、お前の寿命を返してもらう」
「え!?」
私が見戦にしわを寄せると、死神はニヤリと笑った。
「まあ、死神の仕事も、もう飽きたからな」
私はつばを飲み込み、死神に聞いた。
「あなたは……死神をやめたら、どうなるんですか?」
「……お前と同じだ。人間になって、死ぬ」
「そんな……」
「いいんだよ。俺さ、一度死んでみたかったんだ」
死神はいたずらっ子のような笑みを浮かべた。




