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6.死神との友情
「あの、よかったら飲みませんか?」
私は斜めにかけたカバンから、小瓶を出して死神にすすめた。
「は?」
死神は切れ長の目を丸く見開いた。
「また、あなたに会うんじゃないかと思って。誰かの死に立ち会う可能性があるときは自家製の果実酒を持ち歩くようにしていたんです。これ、なかなか美味しいですよ」
死神はククッと抑えた笑い声を漏らした。
「人の死に立ち会うかもしれないってのに。あんた、随分呑気なんだな」
「残念ながら、死に立ち会うことになれてしまったようです」
私は肩をすくめた。
「ほう」
死神は興味深そうに私の目を覗き込んでから、小瓶を受け取るとふたを開け、一口飲んだ。
「……悪くない」
にやりと笑う死神に、私も微笑み返した。
「俺のことを待っていてくれる奴なんて……おまえくらいだよ」
そうつぶやいた死神は、小瓶の果実酒を飲み干した。




