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5.死神との再会
町を移り、神父としてさびれた教会にもぐりこんで三か月が過ぎた。
「なあ、となりのばあさんが死にそうなんだ。看取ってやってもらえねえか?」
時々、教会に来る粗末な身なりをした老人に言われ、私は静かに頷いた。
案内に従い、家に入る。
「俺は立ち会いたくねえんだ。じゃあ、頼んだからな」
老人は自分の家に戻って行った。
私は扉を開け、部屋の中に入る。奥の部屋にベッドが見えた。
もう命が尽きようとしているのがわかる。荒い呼吸を繰り返す老女のベッドの脇に立っていると、死神が現れた。
「またお前か? 死神でもないくせに、また死人のそばに居るのか?」
「またお会いしましたね。この方は亡くなっていませんよ?」
「まだ、な。でも、もう死ぬ」
死神が、魂を抜いて天に送る。私は、死者に祈りをささげた。
「あんまり楽しい仕事じゃねえよな」
ぽつりと死神がつぶやいた。
「この前なんかさ、赤ん坊を抱いた母親の魂を抜かなきゃならなくてさあ」
死神の口元がゆがんだ。
「赤ん坊の泣き声だけが部屋中に響いて、やるせなかったよ」
「あなたでも、そんな感情をおもちなのですね」
「意外だろ? 俺、実は繊細なんだ」
そう言うと死神は寂しそうに笑った。




