2.永遠の命
「神様が母さんを治してくれたんだ」
父からそう言われた私は、素直に信じた。幼い私は髪に感謝し、いつしか神に仕えたいと願うようになった。
そして、時間が過ぎて行った。
私は大人になり、神父になることができた。父さんも母さんも、年をとっていた。だけど、私はある時から違和感を覚えた。
***
「神父さんって、お若いですね。今、何歳なんですか?」
教会を訪れた女性に声をかけられた。
「今年で40歳になります」
私が微笑みをたたえ返答すると、女性は私の腕を軽くたたいて笑った。
「え!? もう、冗談でしょう? どう見ても二十代じゃない!? おばさんをからかってどうするのよ」
「いえ、本当ですよ」
「……は?」
女性から笑顔が消え、気持ちの悪いものを見るかのように、顔がわずかに歪んだ。
「失礼します」
私は早々に立ち去り、家に帰ると父に尋ねた。
「父さん、私は病気でしょうか?」
「どうした? 急に」
「……年をとらない病気があるのでしょうか?」
父さんは目を丸くして、私に言った。
「お前、忘れたのか? 母さんを助けるために悪魔と契約しただろう?」
「え?」
私はふと、血の香りを思い出した。
「悪魔にお前の『死』を渡す代わりに、母さんを助けてもらっただろう?」
母さんは、人形のように表情をなくした。
「貴方? 何を言っているの?」
ぎこちない動きで、母さんは父さんの方を向いた。
父さんは、とまどう母さんのことは見ずに話し続けた。
「母さんは健康を手に入れ、お前は永遠の命が約束されたんだ。何も問題はないだろう? さあ、夕飯にしよう」
私は父さんが悪い冗談を言っているのだと思った。
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