↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
《神殺し》の少女は、遠い宇宙の夢を見る  作者: 一式鍵


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
25/28

第25話:幼馴染の兄妹

「離れろ!」


 最初に叫んだのは多分私だ。


 磔刑のゼタの全身から幾条もの光が放たれたからだ。


 私たちは瓦礫の山に身を隠してその巨体を見上げる。崩壊していくゼタの全身から無数の光の玉が飛び出していく。あれは取り込まれた人たちの魂だろうかと思う。しかし、誰もその答えを知らない。


「やったの?」


 ジルが私の左手を握りながら尋ねてくる。


「たぶん」


 女神ソピア。結果的に倒したのはサイファーとイシュタル。ティルヴィングによって約束された破(・)滅(・)をその身に引き受けて、二人は女神と刺し違えた。


「アスタ……」


 視界が歪んだ。涙が溢(こぼ)れる。


「スカーレット……」

「大丈夫、大丈夫だよ」


 私は自分に言い聞かせるように呟いた。


 私の中のジーナとしての記憶が一気に鮮明化する。感情や言葉だけじゃない。色も匂いも、痛みも、その全てが蘇ってきた。


 イシュタルとサイファーは、私の幼馴染だった。まだ子どもだった頃、イシュタルは戦車に轢(ひ)き殺された。その後――サイファーはイシュタルを再構築し、私の機体(アスタルテ)に組み込んだ。


「サイファー、あんた、何も幸せなことなんてなかったじゃないか」


 あまつさえ、あんな最期を――。


「スカーレット」


 ジルが私を抱きしめる。折れた肋骨が鋭く痛む。私は構わずジルを抱きしめ返す。


「他人の幸せなんて、アタシたちにはわからないよ。幸せだったらいいな、悲しくなかったらいいな。そう祈ることしかできないんだ」

「でも、あんまりだ」


 ゼタはすっかり形を失った。周りには無数の光の球が踊っている。


「モード・創世(ゲネシス)。アスタはそう言っていた」

「創世(ゲネシス)?」


 ジルは少し考え込んだ。しかしややしばらくの沈黙の末、肩を竦(すく)めてみせる。


「わかんないよ」


 そっか。


「わかんないか、ジルにも」

「うん。教えてくれそうな人はもうみーんないなくなっちゃった……から」


 メルタナーザさんも、サイファーも、アスタ……イシュタルも。


 ジルは私の髪に触れた。


「だからきっと、アタシたちで考えるしかないんだ」

「うん」


 ふと、私の膝から力が抜けた。


「え、ちょ、スカーレット!?」

「ごめ、ん」


 私はそれだけ呟いて、意識を手放した。

闇に漂うスカーレットとジル。そこは、無重力のヴォイドのような空間――果てのない世界。

壊れたメビウスから零れ落ちた魂、女神ソピアの力の継承、そして「魂の救済」という使命。

二人は新たなメビウスで創世を見届け、未来の選択を迫られる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。