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探求王子の事件簿  作者: 音詠
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第四話

モブ騎士

「アルバート殿下が行方不明だって!?一大事じゃないか‥‥‥‥」

通行人

「騎士さん、誰を探しているんだい?」

モブ騎士         

「あぁ、人を‥‥背がこのくらいで、銀髪の少年を見かけなかっただろうか」

通行人

「関係あるかは分からないが、スラム街の入り口で銀髪の子に注意したな」

モブ騎士

 「なんですと‥‥!?情報提供どうも!」

通行人

「あぁ‥」

         

「すがすがしいくらいに言い切るんだな。なぁ、これは興味本位で聞くが、もし、お前の欲しい情報を俺が持っていなかったらどうするつもりなんだ」

「そうですね、取引した以上、俺はその内容を違えることはありませんよ」

「はぁ、なんか急に覚めたわ。特別だ、対価無しで教えてやる」

スラム街の住人はつまらなそうな表情を浮かべそう言う。

「本当ですか!感謝します」

「別に感謝されるようなことじゃねぇよ。ただし、俺の前にそのツラ二度と見せんな。次会ったら、容赦はしないからな」

感謝の言葉を告げるとスラム街の住人は照れたような表情を一瞬浮かべたかと思うと、それも隠すかのようにしかめツラになった。

その表情を見ているとしみじみと思うことがある。

ここに住むものの中には、劣悪な環境で日々精神を病み、スラム街の外の者にその鬱憤を晴らすかのように強く当たるが、もしかしたら本当は、根は良い者が多いのかもしれない。

そう考えるのは俺が甘いからだろうか。


「分かりました」

「じゃあ、少しこっちに来い。こんなところ突っ立たままだと目立つし、邪魔だ」

言われるがままに道の端にあったベンチに座る。

そのベンチはスラム街にあるとは思えないほどに上等だった。

職人が作ったような細かい装飾が施され、明らかにミスマッチだった。

「これって」

「あぁ、これか?知らんだろうだろうがフォレスってやつが造ったんだよ」

「フォレス?あぁ、あの方ですか」

「知ってんのか?」

スラム街の住人は意外そうに言った。

「えぇ。タリーズさんのお店の情報をいただいた方ですから」

「そういうことか。奇妙な偶然もあるもんだな。まぁ、いい。タリーズについてだが、あいつはこの辺でも特にやばい奴だ」

「具体的には?」

「お前は呪いの魔道具について聞いたことがあるか?」

スラム街の住人は一考すると答えを出した。

「えぇ、もちろん」

「あいつはその呪いの魔道具の製造元かつ販売者なんだよ」

「それは……っ!」

スラム街の住人の言葉のあまりの衝撃に言葉が詰まってしまった。


呪いの魔道具は今から約数百年前に製造が活発化したものだ。

その効果は魔道具によって千差万別だが、一貫して共通しているのはいずれも危険をはらんでいるということ。

軽度から重度までの差はあるがそんなの微々たるものでしかない。

活発化した呪いの魔道具の製造で犯罪事件が横行し、その状況を問題視した王国側が王国法に魔道具規定を追加し施行した。

それからは魔道具の所持には登録が必要になり、大幅に呪いの魔道具の製造が減少した。

取り締まれていない製造元はあると思っていたけど、まさかスラム街にあったとは、盲点だった。


「怖気づいたか?」

スラム街の住人は嘲笑うように言う。

「いいえ、少し吃驚しただけです」

「ハハッ、そうか。まぁ、そんな奴だからこの辺で関わり合いになろうと思う奴はいないな。俺も含め、荒くれ者しかいないような場所だけど関わっちゃいけねぇ奴くらい分かんだよ」

「そうですか」

今までの話を総合すると、タリーズという人物は相当に悪人らしい。

精霊の歌亭に食事の代金として置いていった壺もそうだが、早急に何が目的か調べる必要があるな。


「行くのか?」

「行きたいところですが、そろそろ帰らないと面倒くさいことになるので。今日はやめておきます」

「このスラム街にズカズカと足を踏み入れる奴の言葉とは思えないな」

空の色が茜色になっていることに気付き、これ以上ここに留まるとレイが騒ぎそうだし、今日はもう帰ろうかと考え、スラム街の住人に言うと、スラム街の住人は呆れたようにため息を吐きながら言った。

「誉め言葉として受け取っておきます」

「なんでだよ。はぁ、最後に聞かせてくれ、お前は何者なんだ?」

「そうですね、物好きの貴族の息子とでも名乗っておきましょうか」

「……ハッハッハ。そうか、そういうことにしておくか」

スラム街の住人は腹も抱え豪快に笑う。

「面白かったですか?」

「あぁ、随分と久しぶりにこんなに笑ったぞ。気に入った、前言撤回だ。再び相まみえるときは手を貸してやろう」

「本当ですか?それは嬉しい申し出ですね。ちなみにお名前を聞いても?」

「……俺は愉快なスラム街の住人とでも思っておいてくれ。これでwin-winだろ?」

先程までと同じ人物とは思えないほど茶目っ気たっぷりに言う。

「……っ!ふふ、ははっ。そうですね」

「ほら、帰るんだろ?さっさと行った」

「では、またいずれ」

挨拶を済ませると、俺はもと来た道を進む。

日暮れとともにスラム街の薄暗さはより一層深くなっていた。

慎重に進みながら首元にかけている灯火(ともしび)の魔道具を起動させると、手元に引き寄せ照らす。

この世界には魔道具の他にも魔法を使うが、魔法は貴族、王族古来のもので、そう簡単にひけらかすように使うわけには行かない。

使うのは俺の身が危険になったとき、または俺の周囲の人が危険な状態になった時のみに発動する。


「さて、レイに小言を言われそうだな」

「アルバート様ぁ!どちらにおいでですかっ!」

ようやくスラム街から抜け、光の漏れる平民街に出るとレイの鬼気迫った声が響き渡ってきた。

よく耳を澄ませてみると、他の騎士も俺の名前を呼んでいる様だった。

うわぁ、説教ルート確定だ。

「レイ」

「アルバート様!お怪我はありませんか?勝手な行動はとらないでくださいと言いましたよね?というか、いまどこから出てきました?まさか、スラム街ですかっ!」

叫んでいるレイに後ろから声を掛けると、レイは体をビクとかせながら後ろを振り向き、俺の姿を確認すると矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。

「質問が多い。まずは他の騎士に俺の無事を知らせるのが先だろう?」

「そうですね。しかし、この件は陛下やルシフェル殿下に報告させていただきますよ」

「……何とかならない?」

「なりません。報告させていただきます。……少しお灸を据えてもらいですから」

「何か言った?」

「いいえ。他の騎士に知らせて参ります」

何か不穏なことを言っていたように聞こえたが、上手くはぐらかされてしまった。

レイはそう言うと耳に着けている魔道具に手を触れると他の騎士に情報を共有する。

レイが耳に着けている魔道具は遠距離通信魔道具と呼ばれ主に軍事関係で用いられる。

この魔道具は登録が必要な個々の魔道具ではなく登録不必要な量産型魔道具だ。

もちろん登録不必要のため、これは一般の民には流通が禁止されている。

遠距離魔道具の特徴として、離れた場所から情報伝達が行える魔道具だ。

タイムラグなく通信を行えるのでかなり重宝している。


「では、城に戻りましょうか。アルバート殿下?」

わざわざ、俺の敬称を変えたところを見るにレイは相当怒っているな。

「はぁ、分かったよ」

「今度は勝手な行動をしないでくださいね」

「いつまでもしつこいから」

「失礼を承知で言いますが、ご自身の行動を省みてから発言してください」

「本当に失礼だ」

小言を言うレイに反論しながら速足で城に戻った。

書き方変えてみました!

う〜ん、上手く書きたい‥‥‥。


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