バーカウンターでミニスカの足を組みかえる謎の美女、ふとももの奥はまさかの……!?
異世界酒場〈BAR ANTONIO’S〉を訪れたユキオとアイシルは、ならず者にからまれたところを女剣士パトリシアに救われた。
難を逃れ、あらためて夜の食事を楽しむユキオとアイシルのところに、身長120センチほどののドワーフ族の中年男が酒のジョッキを持ったままやってきた。がっしりした体つきだ。立派なひげをたくわえている。
「ユキオさん、大変だったな。私は鍛冶屋のボーフムだ。よろしく」
「こんにちわ。ボーフムさん」
「そちらの精霊さんは?」
「私はアイシルよ。ユキオと一緒に冒険してるの」
「そうでしたか。まさかあなたたちがあの巨大吸血コウモリを倒すなんてね。十年ほど前には私達の種族の中にも犠牲者が出たと言われていた。それ以来、誰もあの沼には近づいてはいなかったのだ。そんな魔物を倒してくれて感謝するよ」
3人はグラスを合わせて乾杯を交わした。ボーフムのグラスには深い赤色のワインのような酒が入っていた。
「ボーフムさんは何を飲んでいるのですか?」
ユキオが聞くと、
「これはラミーナという酒じゃよ。ひと口、飲んでみるか?」
と言ってボーフムがジョッキを差し出す。ユキオはそれを受け取り、少し口にしてみる。
すぐにユキオはむせかえって、せき込んだ。ジョッキをボーフムに返す。
「ハハハ」
ボーフムが笑う。
ユキオは表情をゆがめて言う。
「まるでアルコールの原液ですね」
「そう、ラミーナはアルコール度が90を超えている。強い酒じゃよ」
「ボーフムさん、これを飲んで、よく平気でいられますね」
「我々ドワーフは酒の強さなら、世界のどの種族にも負けはせん。種族の中で作る酒も90度を
超える酒ばかりじゃ、ハッハッハツ」
誇らしげに笑うボーフムさん。こう続ける。
「とはいえ、ドワーフの誇りは酒だけではない。鍛冶の腕も超一流じゃ。私は刀作りではちょっとした有名人じゃ。もし必要になったら声をかけてくれ」
「そうさせていただきます、ボーフムさん」
友好的な知人が増えるのは楽しい。
ボーフムさんがテーブルを離れた後、ユキオは酒場の男たちの視線を一身に浴びている女がいることに気が付いた。
奥のテーブルに一人で座り、妖艶なオーラを放っている。
髪はワンレングスのロングヘア。長いまつ毛に黒い瞳、妖しいツヤを放つ真っ赤な唇。白く細い指で、シャンパングラスを揺らしている。
頭には上品な毛皮のロシアン帽子をかぶっている。肩を出す白いニットのワンピースは、胸元が大きく空いており、ロケットおっぱいが押し合ってすごい谷間をつくっているのがくっきり露出している。しかもミニスカで、太ももの奥が作る三角地帯がきわどく見えて、男たちの目はそこに集中している。パンティは黒なのか、もしかして履いていないのか、きわどい三角地帯が男たちを挑発しまくっているのだ。
ユキオの視線に気が付いたのか、その女がこちらにやってきた。
アイシルがあきれてテレパシーで伝えてくる。
「ユキオは女に見境いないね。しょうもない女たらしだよ、まったく!」
「いや、そんなことないって!」
ユキオが言い訳するがもう遅い。
妖艶な女はユキオのテーブルの向かいに座ると、
「私のこと、見てたでしょ。銀級冒険者さん」
「あ、ごめん、変な目で見るつもりじゃなかったんだけど……」
「わかってるわよ。それとも、私のパンティ見たかったの?」
と女は、目の前でゆっくりと見せつけるように脚を組み替えた。
白くすべすべな太ももと、黒いパンティの鮮やかなコントラストが、くっきりと目に焼き付く。ユキオの心臓が飛び出しそうになる。
そんなユキオの反応を見て楽しむような表情を浮かべる彼女。
「私はあなたと同じ冒険者、アマーリアよ。今のクラスは銅級。先を越されちゃったわね」
「いえ、実力でも経験でも、俺はアマーリアさんには全然かなわないですよ」
「私は今、単独での賞金稼ぎが主な仕事だけど、場合によってはパーティを組むことがあるわ。そのときはよろしく」
「ええ、こちらこそ」
「でもあなた、強くはないわね。能力も低レベルっぽい」
「バレてましたか。単なるラッキーだけなんです、俺」
「素直に言えるのが強さなのかもね。それに今のあなた、弱さが強さになってる」
「??」ユキオは言葉が返せない。
「フフッ、変なこと言っちゃったわね。いずれ一緒に戦いたいわ。ただ、今はやらなきちゃいけないことがあって、しばらくはその機会はありそうもないけど……」
というアマーリアは、アイシルの方を見て、こう言う。
「それに、可愛い精霊さんにも、ニラまれちゃってるしね」
アイシルが赤くなってうつむく。
「じゃあね、また会える機会を楽しみにしてるわ」
とアマーリアさんが、ユキオにウィンクして去っていく。
ユキオも笑顔で手を振る。
すぐさまアイシルがユキオの顔に飛び蹴りを入れた。