異世界酒場にキュッと美尻の女騎士参上! 立ち回りに揺れるバストもステキです
冒険者ギルドを出る頃には日も沈みかけていた。そろそろお腹も空いてきた。
異世界のお金も入ったことだし、ごはん屋さんに行ってみよう。
とはいっても吉野家やココ一番があるわけではない。
異世界の夜にメシにありつける場所、それは酒場だ。
冒険者ギルドのすぐ近くに、大きな酒場らしき建物が見えた。
〈BAR ANTONIO’S〉
の看板がかかっている。ユキオはそこに行こうと決めた。
ユキオはアイシルに聞く。
「アイシルは精霊だけど、食事は食べられるの?」
「精霊はだいたい気を通じてエネルギーをもらって生きているんだけど、生き物の姿をしているときは食事を通じてエネルギーを摂ることもできるの。だいたいハチミツとか、ミルクとか、チーズとか卵とか、柔らかいものが多いけど」
「じゃあ、それを注文しよう」
ユキオは酒場のドアを開けた。
中もかなり広い。学校の体育館くらいの奥行きがある。
木作りの内装で、小綺麗ではあるがアメリカの西部劇で出てくる酒場のイメージだ。
まだ時間が早いから、多くのテーブルが空いている。座ると、ウェイトレスが注文を取りにきてくれた。
ユキオは異世界のビール「レアビー」と、フイッシュアンドチップス、サンドウィッチ、そしてアイシルのために”妖精サイズ”の異世界のミルク「メルー」と卵焼き、チーズの盛り合わせを頼んだ。そしてアイシルのために妖精サイズの椅子とテーブルも頼んでおいた。
「食事、頼みすぎじゃない?」
というアイシルに、ユキオは言った。
「サーシャ沼で巨大吸血コウモリから出た転移魔法石で、食事をナーゼルに送れないかな」
「あっ、そうか。たぶんできるよ。やってみようか」
頼んだものをウエイトレスが運んできた。
ユキオはサンドイッチをテーブルの目の前に置き、小さな紙に、
〈ユキオより〉
とメモを書いて添えた。
そして、エメラルドに輝く転移魔法石を取り出し、
「ワープ!」
と唱える。
サンドイッチは一瞬で消えた。アイシルが言う。
「…おそらく、ナーゼルに届いているよ」
「そうだね」
続いてユキオはアイシルのため、テーブルの上に妖精用の椅子とテーブルもセットした。
アイシルは「レアビー」と「メルー」で乾杯をした。
異世界のビール「レアビー」は泡立ちが日本のビールよりシュワッと際立っていて、味わいはビールと言うよりシャンパンに近かった。アルコール分もやや高めである。
そしてなにより、うまい。
一気にのどの奥に流し込み、グラスの半分ほどまで、ひと息で飲んでしまった。
「あ〜最高! 生きててよかった」
「それ、異世界転移者のギャグ?」
アイシルが突っ込む。思わず2人で笑った。
つまみのフィッシュアンドチップスもレアビーをひきたてる。
ポテトは皮がカリカリで中はホクホクモチモチ、塩加減が最高で、つまむ手がとまらない。
白身魚のフィッシュフライはジューシーで、タルタルソースに合わせると旨すぎて一気にのどの奥に落ちていく。
アイシルも卵焼きとチーズを美味しそうに食べている。
やっぱり働いた後のメシはうまい。
時間が経つにつれて、店の中には客が増え、店はにぎわってきた。
ユキオたちのテーブルの前に、男たちが3人突然近づいてきた。
腰に剣を差しており冒険者のいでたちだ。
「オマエ、ユキオだろ」
リーダー格の男が言う。側頭部を刈り上げたモヒカンに近い髪型で、目つきが鋭くヤバそうな感じだ。とりまきの2人も坊主頭と長髪で屈強そうだ。
ユキオはアイシルにテレパシーで、
「俺から離れて!」
と告げる。アイシルは空中に飛び立って一時避難する。
モヒカン男がすごんだ声で言う。
「いきなりシルバー級にしてもらったそうだな。弱っちそうなのに。しかもハルミをたらしこもうとしてるだろう。調子に乗ってんじゃねえぞ!」
ユキオはどうやら、ケンカを売られているらしい。
かといって、ここは多くの人が見ている店の中だし、こちらが乗っかるわけにはいかない。場合によっては、黙って殴られるしかないかもしれない。
「おい、黙ってんじゃねえよ。俺と勝負しろ!」
モヒカン男はユキオに近づき、ユキオの襟首をつかんで無理やり立ち上がらせた。
そのとき、
「そこまでにしておきな!」
と女の声がした。
見ると、長髪をポニーテールにまとめた、美しい女剣士が立っていた。
キリッとした大きな目、すっとした鼻筋、桜色の気品のある唇。
身につけているのはカラビア国・騎士団のエンブレムが入った、動きやすそうな水着のようなコスチュームだ。
バストの大きさは片方さえ両手でも隠せそうにない大きさで、その優雅なラインも上向きで形がいい。ウエストはくっきりとくびれ、スマートに締まった腹筋が見えている。そしてスラリと伸びた脚の形状が美しい。お尻もキュッと締まった上向きヒップで、布地から少しだけのぞく白いハミ尻が、なんともなまめかしい。
こんなにセクシーだけど、腰に剣を差してエンブレムを付けている以上、間違いなく女剣士だ。彼女が言う。
「この男はまったく無抵抗だろう。なぜ攻撃しようとするのだ?」
男が今度は女剣士にキレる。
「なんだァ!? 邪魔するのか?」
「なぜこんなマネをするのか、理由を聞いているんだ」
「騎士団だからって、たかが女ごときに何ができる! 痛い目に遭わせてやる!!」
モヒカン男が剣を抜いた。
と同時に女剣士も剣を抜くが一瞬で半回転させる。峰打ちの態勢だ。
モヒカン男が振りかぶる剣を女剣士がかわす。
豊かなおっぱいブルンブルンと揺れる。
激しい動きでヒップの布地もお尻にきわどく食い込む。
と同時に彼女は、するどい剣さばきで男に一撃を浴びせていた。
男は悲鳴を上げる間もなく、気を失ってぶざまに倒れる。
とてつもなく、この女剣士、強い。
とりまきの2人の男は、それを見て、青ざめた顔で店から逃亡していく。
女剣士はユキオに言う。
「災難だったな。冒険者のなかには、ああいう不届きな者もいる」
ユキオは女剣士に礼を言う。
「危ないところをありがとうございました。失礼ですが、剣士さまのお名前をうかがってよろしいでしょうか?」
「ああ、私はパトリシアだ。カラビア国の第二騎士団長を務めている」
「そうでしたか。私は最近カラビア国に来たばかりの冒険者でユキオといいます。ここに来たばかりでよくわからず、失礼しました」
「そうか、キミがユキオだったのか。聞いているよ、巨大吸血コウモリを倒した冒険者がいるとね。なのにさっきは、黙って殴られるつもりだったのだろう」
「そうですね。俺は新参者ですし、前にいた国ではそういうのに慣れていました。俺が殴られて騒ぎが収まるのなら、それでいいかと思いまして…」
パトリシアは吹き出した。
「我慢強い男だな、キミは…」
笑顔になると普通の女の子だ。可愛らしいところもある。
「パトリシアさん、お礼をさせてください」
パトリシアは真顔に戻る。
「いや、礼には及ばんよ。騎士団として当然のことをしたまでだ。ユキオ、今後も何かの騒ぎになったら遠慮なく私を頼ってくれ。できるだけ力になろう」
「重ね重ね、ありがとうございます」
「では、気を付けてな。よい夜を」
パトリシアは仲間のもとに戻っていった。彼女の長い髪のいい香りがしばらく残っていた。