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宣戦布告……そしてハルミさんとの約束

読んでいただいてありがとうございます。

本日、この物語は完結します。

完結まで読んでいただいた後、評価をしていただけましたら

とてもうれしいです。

もしブックマークもいただけましたら

もっともっとうれしいです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 そのとき、高速でこちらに接近する、馬たちの足並みが聞こえてきた。

「冒険者ユキオ、待たせたな!」

 その声の主の顔を見て、エルグラントの表情が青ざめる。

「オマエは、騎士団長ギュンター!、そして王国騎士団‼」

「ギュンター団長、なぜここに」ユキオが驚く。

 というのも、なにかとユキオを敵視してきたギュンターが、ピンチを助ってくれるなんて、思いもしなかったからだ。

 ギュンターが言う。

「ユキオ、君のことを誤解していたようだ。あれから少年が2人、王国騎士団に入りたいってやってきたんだ。ナーゼルとカールだよ」

 それはユキオが冒険の中で救った子供たちだった。

「2人家族ともども、君に救われたから、将来は自分も強くなりたいと言った。それこそ、王国の騎士のあるべき姿だ」

 というギュンター、こう続ける。

「そして民のために戦うユキオも、王国の騎士と呼ぶにふさわしい」

「ギュンターさん……」

 ユキオは内心、買いかぶりすぎです、と思っている。

 2人を助けたのは、単なるいきがかりだった。

 ピンチを救ってくれるのは、たいへんうれしいのだけれど……。

「そういうわけだ、いくぞ、魔人エルグラント!」ギュンターが宣告する。

 エルグラントはすっかり勢いを失っている。

「パトリシアにギュンター、騎士団長2人相手は、ちょっと歩が悪いな」

 というや、

「ゾーンマッション」と詠唱する。

 するとエルグラントの姿が透明に変わっていく。

 黒魔法で転移も可能なようだ。

「また近いうちに会おう」

 と声だけを残し、姿を消してしまった。

「ひとまずアサルト市の平和は守られた。ユキオ、故郷を救っていただき、感謝申し上げる」

 パトリシアが頭を下げた。


 その3日後の朝。

 いまにも泣き出しそうな曇り空のカラビア国。

 ハルミ・イッチーがユキオ宅の呼び鈴を鳴らす。

 初めてまともに対応して、玄関のドアを開けたユキオに、

「北隣のキミシル国が、カラビア国に宣戦布告しました!」

 とハルミが告げる。


 宣戦布告の理由は、財務大臣ウェルシーがひそかに作っていた「キミシル国・ラルマ国への侵略計画」の資料が見つかったことだった。


 先にミュンスター城の大広間で行われた緊急会議で成長戦略を掲げていたウェルシー。

 実はその計画を文書にして、カラビア国の幹部に流していた。


 もしかして捏造かもしれない。だが皮肉にも、このレポートは完成度が高すぎて、別人ではまず作成出来ないほど精度が高くレベルの高い内容であった。皮肉にもそれが本物である可能性を高めた。


 そしてキミシル国は〈我が国は侵略される前に戦う〉そう宣言したのである。


 そしてその直後、今度は西隣のラルマ国がカラビア国に宣戦布告した。

 理由は同じくウェルシーが作った侵略計画であった。


 キミシル国は北側から攻め込んできた。

 北と言えば魔人・ネロディウスがマール鉱山を占拠している。

 キミシル国はそのネロディウスを仲間に加え、一気に侵攻のスピードを上げた。


 そして西側のラルマ国。

 こちら側はモイリー油田がある。

 そこに再びエルグラントが現れ、こちらもラルマ国の仲間となった。

 ラルマ国も勢いを増してカラビア国内に侵攻してくる。

 

 カラビア国は緊急閣議を行った。

 キミシル国とラルマ国を迎え撃つため、カラビア国は城下のミュンスター市に全軍隊と全勢力を集結することにした。決死の王都決戦である。


 それの情報を伝えてくれたのもハルミだった。 

「ユキオさんにも、ミュンスター城への出動要請が出ていますが、どうします?」

 ハルミが聞く。

「いくらユキオさんでも、命の危険にさらされるはず。今回ばかりは、お願いしますとは言えません」

 彼女の目はうるんでいる。

 ユキオは、

「俺も、いまは行こうとは思えない。大切な仲間を守ることだけ考えます」とユキオ。

 ハルミが、ユキオをまっすぐに見つめて言う。

「私、仲間ですか? 仕事相手ですか?」

 ハルミの目からは涙が流れている。

「もちろん仲間です。大事な仲間です。こんなに親身になって情報を届けてくれて。俺たちは本当に助けられたし、楽しい生活を送ることができた。ハルミさんがいなければ、この日々はなかったんだ」

 と言って、ユキオはハルミを抱きしめる。

 目を閉じてユキオのぬくもりを感じるハルミ。ユキオにこう言う。

「お願いがあります」

「言ってみて」とユキオ。

「戦いが終わったら、トムさんのお店に連れていってください」

「もちろんOKだよ」

「絶対、ふたりきりですよ」

「それももちろんOK」

 2人は可笑しくなって、思わず笑い合った――。

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