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第五部〈最終決戦編〉 冷酷残忍な魔人・エルグラント 首切り殺戮で町民全滅!

 翌朝、家の呼び鈴が鳴った。

 ユキオがドアを開けるとハルミがいた。

「ホランチューレ討伐の賞金を届けにきたの」

 ハルミはユキオに金貨20枚が入った布袋を渡してくれた。ユキオはとりえあえず受け取りながら、こうたずねる。

「ホラン? って何??」

「昨日、ユキオさんが倒したモンスターのことよ」

「えっ、昨日のことは、まだ冒険者ギルドに報告もしてないよ。モンスターの名前も初めて聞いた。いくらなんでも早すぎるでしょ」

「というのも、ここに来た一番の理由は、緊急事態が発生したことを伝えるためなの」

「そうか。わかった。とりあえず中に入ってよ」

 ユキオはハルミをテーブルに招いて、みんなを呼んだ。

 ソニアが、紅茶にいちごのジャムをそえてみんなに出してくれる。

 ハルミが言うには、カラビア国西部のモイリー油田が攻撃された。

 新たな魔人・エルグラントが現れて油田を占拠し、モイリー町の町民を全滅させたという。

「現在、西部に配備されていた軍と騎士団が応戦しているけど、かなり苦戦しているらしいわ。現在はアサルト市の市境まで撤退してるの。軍はひとまずそこで待機して、敵が来たら迎撃しようという布陣に切り替えてます」

「貴重な資源の産地に魔人が出現……って、マール鉱山が狙われたのと似ているわね」とアイシル。

「そう。モイリー油田もカラビア国の財政の中で重要な拠点で、ここを奪われると大打撃になるわ」とハルミ。

「国はほかに出動要請を出しているのですか?」とルシア。

「いまのところ、どこにも出ていないわ。他の軍は動かしていないし、騎士団にも指定は出ていない。負傷治療中のアキラさんはもちろん、ユキオさんにも出ていない」とハルミ。

「様子を見ているんでしょうかね」とルシア。

「たぶん、そんなところだと思うんだけど、ユキオさんには知らせておいたほうがいいと思って」

「ありがとう、ハルミさん」

 とユキオは礼を言う。

「どうする、ユキオ」とアイシル。

「マール鉱山にネロディウス、モイリー油田にエルグラント、何かがつながっている可能性があるな」とユキオ。

 ルシアも言う。

「私も何か、悪い予感がしています。見えないところですごくイヤなことが進んでいるような……」

「そうだな。行ってみよう。何かがわかるかもしれない。みんな、力を貸してくれ」

「ご主人様のためなら、どんと来いなのです!」

 ソニアが右手を上げて答える。みんなも目を合わせ、うなずいてくれる。

 モイリー油田があるアサルト市は海沿いにあり、海岸は砂丘が続いている。

 油田も砂丘続きに作られている。

 その油田の近くには油田関係の労働者、管理者、商人、飲食・宿泊関係者たちが織りなす町・モイリー町が作られていた。

 しかし昨日、その町は魔人・エルグラントの冷酷残忍な殺戮で全滅してしまった。

 ハルミの話では、エルグラントは目についた住民たちの命を片っ端から奪っていたという。

 鋭い刃物状にした「アックスアロー」という光線を放ち、人々の首をはねた。

 おびえる無抵抗の一家には強力な雷を落として全員を心肺停止にした。

 武器を手に反撃のかまえを見せた住民は一瞬で冷撃されて氷漬けにされた。

 逃げようとする群衆は容赦なく毒の矢で射られた。

 恐れをなした周囲のアサルト市民はすべて市外に避難している。

 したがって今のアサルト市は無人の街である。

 もし出くわすとすれば、それは魔人・エルグラントだ。

 ハルミが最後に忠告してくれた。

「モイリー町は直射日光と白い砂浜の照り返しがすごくて、紫外線が危険レベルなの。サングラスなしでは目をやられるし、肌を出すと日焼けでヤケドみたいになっちゃうからターバンを巻いて出かけてねで」

「ありがとう。ハルミさん」ユキオが礼を言う。


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