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ユキオの提案に騎士団長ギュンターが激怒! リベンジ決闘!!

 訪ねてきたハルミは、ユキオがカルロス国王から御前会議に呼ばれていることを告げた。

 ユキオはハルミに、

「わかりました。これから俺が朝食を作るから、その話は、みんなで朝食を食べながら聞こう」

 と言う。 

 するとそのとき、部屋の入口から少年が顔をのぞかせた。彼が言う。

「ハルミさん、僕のこと忘れちゃってるよ」

 ユキオがハルミに、

「あっ、ハルミさん、お子さんいたんだ」

 とほほえましげに言う。

「ちが〜う!」

 ハルミが怒り出す。

「私は独身よ。それに私、子供ができるようなことなんて、一度だってしたことないもの」

 と言ったものの、ハルミはその言葉が自分でも恥ずかしくなって、顔を真っ赤にしてうつむいてしまった。

 カオスな状況の中、少年はユキオの目の前に歩み寄って言う。

「ひどいよユキオさん、僕の顔、忘れちゃったの?」

 ユキオは少年をみる。

「あっ、ナーゼルじゃないか。ずいぶん元気になったな。見違えたよ」

 確かに彼は、奴隷商に売られそうになりサーシャ沼に隠れていたナーゼル少年だった。

 あのときはやつれて暗い表情をしていたが、今は顔もふっくらとして目も輝いている。

 ナーゼルが言う。

「僕、ユキオさんみたいな冒険者になりたい。そしてつらい思いをしている人たちを助けてあげたいんだ。ハルミさんがユキオさんのところに行くと聞いて、今日はついてきちゃたんだ」

「そうか、よく来てくれたね。歓迎するよ。冒険者になりたいっていう気持ちも立派だよ」

 とユキオはナーゼルの頭に手をやさしく置く。ナーゼルも嬉しそうだ。

 ユキオはキッチンで、ソーセージ&エッグのマフィンに、ミネストローネのスープをササッと作り、ミルクいっぱいのカフェオレをそえる。

 暖かい出来立ての料理をテーブルに並べると、さっきまで大声で騒いでいた、みんなの顔も笑顔になる。

「マフィン最高! ソーセージとたまごのハーモニー、それにチーズが合わさってすごくおいしいよ。パン生地がそれをまとめてくれてる~」と、人間サイズになっているアイシルが言う。 

 ソニアもミネストローネを味わいながら

「トマトの酸味が他の野菜の甘みをすごくひきたてているのです。スープも旨味たっぷりなのです」

 スープにニンニクの隠し味を入れておいてよかった、とユキオは思う。   

「こんな美味しいものばかり食べてたら、エルフの森に戻れないかも」

 とルシアも幸せそうである。

 ここでようやく、ユキオは肝心な要件を思い出す。

「それはそうとハルミさん、カルロス国王の御前会議って、何を話すんだろう?」

 一同が真顔に戻った。ハルミが口を開く。

「勇者アキラさんのパーティが、ネロディウス討伐に失敗したことはカラビア国に大きなショックを与えているわ。そこで今日の午後、国内の主要人物を集めて緊急対策会議を開くことが決まったの。ついては冒険者ギルドに、ユキオさんに連絡して参加要請してもらえないかという連絡が来たの」

 するとアイシルが聞く。

「じゃあ、あの勇者アキラも来るの?」

「伝令を通じてメッセージは送ったのですが『負傷治療中』を理由に断られたそうです」とハルミ。

「大きなこと言って惨敗しているから合わせる顔はないでしょうね」とアイシルが切り捨てる。

 しかしユキオは、アキラがそんなタマだとは思えない。あいつはどんな時もギラギラしていて油断がならない。

 ともあれ、その会議を拒否したら確実にカルロス国王から敵とみなされるだろう。

「行きます」

 とユキオは心の中でため息をつきながら言った。大臣とかと顔を合わせての対策会議なんてロクなことがなさそうでユウウツである。


 そして午後。

 ユキオとソニアは白の大広間に入っていった。

 ちなみにアイシルは姿を消してユキオの肩にいる。そしてエルフのルシアには冒険者ギルドでハルミさんと待機してもらっている。敵視されているエルフは絶対に連れていけない。

 カルロス国王の御前の席に集まったのは、ウェルシー財務大臣、ギュンター騎士団長、そしてカラビア国のCIAにあたる中枢情報管理相のモナコ大臣、その他大臣10名あまり、そしてユキオとソニアである。

 カルロス国王が言う。

「この国の叡智の面々、よく集まってくれた。いまカラビア国は最大の危機にある。みなの知恵を貸してほしい」

 そしてユキオに対しても、

「冒険者ユキオ殿もよく来てくれた。まずはさっそく、エルフ族討伐の件を報告してくれ」

「はい。リエイダ市民50人の行方不明事件ですが、ほぼ原因がわかりました」

「ほう。なんだったのだ?」と国王。

「いまリエイダ市は異常気象により飢饉に陥っています。市民のほとんどが食料不足に苦しんでいます」

「そうだったのか」とカルロス国王。

「そのため多くの市民が壁を超えてエルフの森に忍び込んで食料を盗み出そうとした。ですがエルフの森は意思をもっているので、ルールを破った者を全て地下牢に閉じ込めてしまうのです」

「それで彼らは無事なのか?」と国王。

「無事で元気にしているようです。食べ物も飲み物も十分備わっているようです」

「そうか、安心した」

「リエイダ市民は誰もエルフを敵視せず、むしろ友好的に付き合っています。エルフも同様です。ですから国王、エルフとは友好的に付き合って、ギブアンドテイクで付き合っていけませんか? 討伐指示については、どうかお考え直していただきたく……」

「なんだと!」

 と叫んだのは国王ではなく、ギュンター王国騎士団長だった。

 自慢の大きな刀を引き抜いて、ユキオに向かう。

「この腰抜け冒険者が! 王の命令に歯向かうのか⁉ 今すぐ叩き斬ってやる!!」

 ユキオも火炎魔法で対抗しようと身構える。

 この前は引き分けに終わった対決、ギュンターはリベンジ決着をつけようと恐ろしい殺気を放っている。

 大臣たちは青ざめて、その場から逃げ出そうと次々と席を立って出口に向かう。

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