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若く神秘的で美しいエルフ王女ルシア

「エルフ族を討伐しに来たのですか?」

 と問い詰めるエルフのヴィクター。 

 ユキオは言い訳する前に、笑い出してしまった。

「ハハハ、すみません。本人を目の前にして、あなたを討伐します、なんて言えないしね」とユキオ。こう続ける。

「冗談はさておき、俺は戦いなんてしたくないんです。どうしても、それをしなくてはいけないのか、別の道があるのか、自分の目で確かめたかったので、リエイダ市の人間側と、森のエルフさん側の両方に接触しようと思ったんです」

「そうでしたか」とヴィクター。こう続ける。

「では、私たちの仲間とお話しいただくのはいかがでしょうか。エルフの森にご案内しますよ。でもエルフの森に入って、いきなりエルフ掃討作戦を始めるのはやめてくださいよ」

「ハハハ、ヴィクターさんも冗談がキツいなぁ」

 3人はヴィクターの引率で地下通路を通じてエルフの森に入っていった。

 緑の木々が生い茂っているが、木々の間から光が入り込んでいるので中は暗くない。

 しばらく歩いていくと、美しい湖のほとりに、大きなログハウスが見えてきた。

「この森はエルフの間では『アラバ国』と呼ばれており、この家では王族が暮らしています。

ウィルランド国王、妃のエステラさん、王女のルシアさんの3人です。今日はそちらにご案内しますね」

 ヴィクターがドアをノックすると、その3人が家から出てきた。

 ウィルランド国王が、湖が見渡せるデッキのテーブルに案内してくれる。

 アイシルが言う。

「緑の木々の中に、湖の深いブルーの水面が輝いていて本当にキレイなところね」

 ソニアも

「空気もきれいだし、小鳥たちのさえずりも聞こえてステキな場所なのです」

 と笑顔だ。

 ヴィクターがユキオたちを紹介する。

「さきほどお話しした『エルフ征伐』の冒険者ユキオさん、お仲間のアイシルさん、ソニアさんをお連れしました」

「ほう、あなたが『エルフ征伐』の冒険者さんですね。思ったよりお若くて優しそうだ」

 ウィルランド国王がユキオを見て微笑む。

「バレてしまっては仕方ないですね」

 ユキオもジョークで応える。

 エルフ王族の外見はほとんど人間と変わらないが、金髪に抜けるような白い肌、そして三角形にとがって突き出した三角の耳の形が最大の特徴となる。

 ウィルランド国王は精悍な顔つき、エステラ妃はキレイだ。

 そして王女のルシアは人間でいえば女子大生くらい。甘く美しくて神秘的なルックスが印象的である。

 ユキオはさっそく切り出した。

「私はカラビア国からエルフ族と戦うよう依頼されたのですが、理由は隣接するリエイダ市民がエルフの森付近で50人以上行方不明になったからです。カラビア国はこれをエルフ族の仕業と考えているのです」

「そのようですね」とウィルランド国王。

「さきほどリエイダ市民と話してみたら、市民はそんなことは思っておらず、エルフ族に悪い感情も持っていません。私自身も本音は争いたくありません。別の道はないものかと思っています」

「私も同じ思いです」

「ただ問題なのは、リエイダ市民が非常に困っていることです。飢饉で食べ物がないんです。エルフの森の豊かな自然の近くに食べ物がないか探しに行った人が、50人以上行方不明になっている」

「食べ物がない……ってどういうことですか?」

 と聞く国王。ユキオが答える。

「異常気象で農作物が採れずに、みんなの食べる分がなくなってしまったんです」

「食べ物なら、森にお願いすれば、もらえるじゃないですか。人間はそうではないのですか?」

「えっ、エルフさんは森にお願いすることで食べ物を得ているんですか?」

「はい。自分が食べるぶんだけ、森から恵みをもらうんです」

「人間はそうではないのです。あらかじめ畑で作っておいて、それをみんなで分けて食べる。だから余ってしまうときもあるし、できなかったときは足りなくなる。そして今は圧倒的に足りくなっているのです」

 ユキオの説明を聞いた国王がこう言う。

「なるほど。理解しました」

 ユキオはウィンランド国王にお願いをする。

「征伐のためにきた自分がお願いするのは申し訳ありませんが、お隣のリエイダ市民にエルフの森の恵みの食物を分けていただけませんでしょうか」

 ウィンランド国王がエステラ妃を見る。妃がうなずく。

「よろしいでしょう。ある程度の食料を森から恵んでもらいます。お隣さんを救うためですからね。困ったときはお互い様です」

 ウィンランド国王はさらにこう続ける。

「もうひとつの問題は、いま、行方不明の50人が、どこにいるかですね」

「ということは、エルフ族さんが拉致したのではないのですね」

「我々は物騒な真似はしませんよ」

 ユキオは、あらためてウィルランド国王にこう聞く。

「さきほど、森に願えば食べ物は与えられると言いましたよね。では、エルフの森に忍び込んで強奪しようとすると、どうなるんでしょうか?」

「そのときは、森がその者に罰を与えます。森の地下牢に幽閉されるんです」

「幽閉された者はどうなりますか?」

「しばらくは問題なく生活できます。中には水もあり食べられる果実もある。しかし外には出られない」

 それを受けて、ユキオが言う。

「では50人の行方不明者はほとんどそこにいる可能性が高そうです。おそらく塀を乗り越えてエルフの森の食べ物を奪おうとしたのでしょう。ある者は集団で、ある者は個人で。ウィルランド国王様、彼らをそこから生かして出すことはできますか?」

「森の祈祷師に依頼すれば可能ですよ。だだ我々の森の意思に反した行為を行った者を無条件で許すことはできませんが」

「もちろんです。そこは貴国の条件をお聞して相談させていただきます」

「わかりました」と国王。

 そこに一人のエルフが駆け込んできた。慌てた表情だ。

「ウィルランド国王様、緊急の連絡が入りました」

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