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冒険者ギルド事務員のハルミ・イッチーは巨乳自慢

 異世界に来て話し言葉や文字がわからなかったユキオ。

 ところが精霊のアイシルに肩に腰かけてもらったら、さっきまでとは違って、赤レンガ作りの門の表札がはっきり読める。

〈冒険者ギルド〉

 これも肩に乗っている精霊・アイシルのおかげだ。会話スキルのレベルがまだ不十分なユキオのため、テレパシーを通じて言葉も文字も同時通訳をしてくれる。

 門をくぐると、冒険者の男たちの視線はアイシルの美しく妖艶な肢体に集まり始めた。体が小さな精霊とはいえ、谷間くっきりなバスト、つやつやな白い太ももは、男たちを刺激しすぎる。

「大丈夫?」

 ユキオが言うと、アイシルも、

「さすがに大丈夫じゃなさそうだね」

 と言って、

「エレイズモ!」

 と詠唱した。

 すると彼女の体が、みるみる半透明になっていく。

「ユキオには少し見えているけど、周りには完全に見えなくなっているの」

 とアイシルが説明してくれた。


 ユキオは受付に向かった。

 対応してくれたのは感じのいい女性だった。

「こんにちわ。私は冒険者ギルドの管理を担当しているハルミ・イッチーです」

 アイシルが流れるように同時通訳してくれるので、会話がスムーズに入ってくる、とびきりの美人というわけではないが、聡明そうな笑顔がいい。そしてなにより特徴的なのはバストの豊満さだ。服の上からでも形よいおっぱいの豊かなボリュームが確認できる。ギルトの制服の胸のボタンがもうはち切れそうだ。

 ユキオの視線に気づいたのか、ハルミが少し顔を赤らめている。

 今度はユキオが言葉を発する番だが、アイシルにあらかじめ言葉を伝えて、アイシルが翻訳、それを僕に伝えて、僕が発音する。

 普通なら、ものすごい時間がかかりそうなものだが、おそらくアイシルの頭脳がそうとうに優れていて情報を処理してくれるのだろう、ユキオの口から言葉がスムーズに出てくる。

「ごめんなさい。ハルミさんの笑顔がステキなので見とれてしまって」

 ハルミがますます顔を赤らめて真顔になる。

 アイシルはユキオの肩を思い切り踏みつける。

 ユキオが驚いてアイシルを見ると、怒ったようにそっぽを向く。わけがわからん。

「ほんと腹立つ男…」

 アイシルが小さな声でつぶやく。

 ユキオは気を取り直してハルミに話しかける。

「俺はユキオ・オガサワラといいます。冒険者登録をお願いします」

 ハルミはすぐに笑顔を取り戻し、こう言った。

「登録料・保証料の貸与制度を利用しますか?」

「それは何ですか?」

 ユキオが聞くと、ハルミが優しく説明してくれる。

 通常であれば、ギルドに登録するのには、登録料と保証料がかかる。しかし、そのハードルを作ると冒険者がなかなか増えない。だから、最初はその料金を貸与という形でギルドが肩代わりして、賞金が発生したら、そこから天引きで後払いというシステムを用意した。

 今では、新規登録者のほとんどがこのシステムを利用しているそうだ、

 ユキオも渡りに船で、このシステムを利用させてもらう。

「合理的な仕組みを作りましたね」

 ユキオが感心して言うと、ハルミも、

「そうなんです。このシステムができてから登録者が20%増えたんですよ」

 とうれしそうに言う。

「ハルミさんは、本当にこの仕事が好きなんですね」

「ええ、頑張る冒険者のみなさんを応援したくて…」

 と、またハルミがステキな笑顔を見せる

 アイシルがまたユキオの肩を思い切り踏みつける。二回目だ。

 彼女をみるとまた不機嫌そうなソッポだ。無駄口を叩くなということだろうな。


 登録を終えて、最初のミッションを物色しようと掲示板に向かおうとすると、

「よかったら、一緒に選びましょうか。最初のミッションですから」

 とハルミがユキオに申し出てくれた。

 アイシルから3回目の踏みつけがあったことは言うまでもない。


 ハルミがユキオにアドバイスしたのは、同じエリアの依頼を同時に引き受けて、一気にかたづけるのが効率がいい、ということだった。

 そこでユキオは、郊外のナーヴ市での事案をまとめて請け負うことにした。

・行方不明の子供の行方を探してほしい

・痛みをおさめる薬草の採取

・咳を鎮める薬草の採取

期限は一週間以内。

 ハルミがユキオに耳打ちする。

「ナーヴ市では子供の行方不明事件が増えているようです。それとサーシャ沼には巨大吸血コウモリが出るという伝承があります。気を付けてくださいね」

 耳打ちをしたはずみで、ハルミの豊満なバストが、ユキオのヒジに当たって揺れた。

 ユキオは思わす謝った。

「ごめんなさい。わざとじゃないんです」

 ハルミはすぐに

「大丈夫です」

 と答え、顔を赤らめながら、

「私、他の女の子に勝てるのって、胸ぐらいなんです…」

 ユキオは思わず言う。

「そんなことない。仕事ぶりも優秀だし、笑顔もいいと思うよ」

 ハルミの顔が今日一番の赤色に染まる。

 と同時にアイシルの今日一番の踏みつけがユキオを襲う。

「痛っ!」

 とにもかくにも、ユキオの冒険はここから始まる――。

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