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極悪貴族団「契約の日」に現れた「赤い仮面の男」!

 ユキオたちは人目につかないよう、フリードリヒ邸へと足を運んだ。

 しばらく物陰ものかげに隠れて様子を見る。しかし人が出入りするような様子は見られない。『契約の日』が今日であるならば、新たな被害者が訪れてくるはずだが、今、城下町は、子供たちが解放されたことで、投資詐欺の噂でもちきりである。新たにだまされに来るものはもう、いないのかもしれない。

 日も落ちて来た。

 すると、見慣れない黒の大きな馬車が、夕闇から静かにすべり込むように、フリードリヒ亭へと近づいて来た。

 どうやら身分の高い人物が乗っている気配だ。

 ユキオはピンと来て、その人物の顔を見ようとした。

 しかし見ることはできなかった。その人物は、赤い仮面をかぶっていた。

 フリードリヒが玄関から出て来て、仮面の男を迎える。

 2人は屋敷には入らず、裏庭に回る。

 そして秘密の入り口を空けて、地下の部屋へと入っていった。

「ユキオ、あいつがきっとキーマンだ」

 アイシルも同意見のようだ。

「転移石を出して転移魔法を使おう。中に忍び込んでヤツらのシッポをつかむんだ」

 アイシルの提案にユキオは乗る。アイテムボックスから緑色に耀く宝石を取り出して、3人でならんで、

「ネストマージ!」

 と詠唱する。

 すっ、と視界が竜巻に飲み込まれたように見えなくなり、またぱっと現れた。

 3人が行き着いたのは、地下の薄暗い倉庫だった。目をこらしていると、いくつもの引き出しがある重厚な木箱が置いてあるのがわかった。

 中を開けてみると、異世界文字が何行も並び、最後に赤い印章が押されている。

「これは噂の契約書なんじゃない?」

 アイシルが言えば、

「間違いないのです」

 ソニアもうなずく。

「ユキオ、これ、燃やしちゃおうよ」

 アイシルがイタズラっ子のような顔で言い始める。

「それはいい考えなのです」

 ソニアがそれに乗っかる。

「しかし、こんなところで火を使ったら、さすがにバレて騒ぎになるんじゃないか」

 ユキオが尻込みする。

 しかしアイシルはノリノリだ。

「ユキオには、アレがあるじゃない?」

「アレ?」

 ユキオが聞き返すと、すかさず、うさみみが言う。

「そうなのです。ご主人様にはどんなものでも煙を出さずに一瞬で灰に変えてしまう”フレーミングヒート”があるのです」

 ここは、やるしかあるまい、と悟ったユキオは、覚悟をきめた。

「フレーミングヒート!」

「フレーミングヒート!」

 と連呼して、書類を煙なしで一瞬にして灰にしていく。200枚ほどあった書面はこの5分ほどて消えてしまった。

「やるねぇ、ユキオ」

 アイシルがニヤつく。

「やっちゃいましたねぇ~」とソニア。

 いやいや、アナタたちがアオったんでしょうが、とユキオは思うが、ここは乗せられたほうの負けだ。

 


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