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「御主人さまの子供くださぁ〜い♥」ソニアはたわわなオッパイをすりつける

 これでは前の世界と同じだ。ユキオは悔しくて仕方なかった。

 そのときパトリシアがユキオに声をかけてきた。

「ユキオ殿、気持ちはわかる。自分がこの件、解決したかったのに、結局は、いいように動かされて利用されて、真実は隠蔽されてしまう、と思っているのだろう」

「……そのとおりです」

 内心を見透かされて、ユキオの目の奥に熱いものを感じる。悔しさからか、本心を理解してもらえたという感動からだろうか…。

 パトリシアが言う。

「いずれにせよ、私もこのままハッキリさせず終わらすつもりはない。本日21時、冒険者ギルドの酒場で待っていてくれ。必ず行くから」

 なんと彼女が直々に話をしに来てくるというのだ。

 パトリシアはユキオに敬礼して去っていった。ユキオも深々と彼女に一礼した。

 アイシルがイヤミを込めて言う。

「あの女豪傑にまでデートに誘われるなんて、ユキオは一生で一度のモテ期ね」

「いや、そんなんじゃないよ」

 ユキオは実際、そう思う。戦士同士の友情に近いものをユキオはパトリシアに感じていた。きっと彼女もそうなんだろうと思う――。


 ソニアは、かなり長い時間、子供たちの事情聴取に付き合わせられたらしい。戻ってきたのは日が落ちてからだった。

 城下町の市場で買ってきた惣菜とパンで、3人で食事をとりながら、ソニアが話す。

「騎士団の男たちの話の聞き方がヘタすぎて、子供たちがみんな泣いてしまうのです。だから私が長いこと付き添って、子供たちをなだめていたのですよ」

 ソニアが付き添って子供たちの話を聞いていると、以下のような実態が浮かび上がってきたらしい。

 幸せだった城下町の子供たちの家庭に「投資」が入り込み始めたのは3ヵ月ほど前だった。「ヤーコブ」という露店商人が話を持ってきた。

「金貨5枚ほどのお金を預ければ、それが国や神殿、寺院などの事業に利用され、利子が付いて増えていく。預けた元本はそのまま預かり続けて、利子は毎月、現金で戻ってきます」

 確かに各家庭には現金で銅貨5枚ほどの「利子」が毎月支給された。

 しかもこの「投資」は王族も貴族も行っているそうで、投資者に対して貴族が面と向かってその安全性と将来性を力説してくれたのだという。

 子供たちの家庭の多くが「投資」に夢中になった。

 何しろ元本はそのまま保証してくれて、利子だけがずっと懐に入ってくるのだという。

 これはお金をできるだけ多くつぎ込んだ方が得で、お金をつぎ込まないのは損をしていること、そういう考え方になる者も増えてきた。

 無理して多額の「投資」をする家庭が増えてきたのもその頃だ。

 しかし気づいてみると、元本保証という話は聞いていても、その「保証」は何の証拠も残されていないことに、各家庭は後から気づき始める。

 そこで気づいても、もはや時はすでに遅し。

 各家庭には借金だけは残り、元本はどこかに消えてしまっている。もう手遅れだ。

 幸せだった家庭は崩壊し、親の人格は崩壊、子供は冷たく怒鳴り散らされ、借金のかたに奴隷商人に売られるか、家出するか、ナーセルのように神隠しを装って隠れるか、しかない。

 これが異世界に持ち込まれた「投資詐欺」の実態だったようだ。

 いったい誰が考えたのだろう。現代の地球の経済のしくみを知っていれば考え付きそうだが、異世界でこのしくみを考えられるのは、飛びぬけて頭のいい人物だけだろう。

 ユキオは地球出身の異世界人トムのことも、黒幕として少し疑ったが、彼は悪く言ってしまうとわかりやすいほどの料理バカで、料理で人を喜ばせることに人生の重点やよろこびを感じている。金儲けなどは今の彼にとって、おそらくどうでもいいことなのだろう。

 それにしてもソニアである。

 コミュニケーション弱者の騎士団員たちに変わって、それだけの話を聞きだしたのはお手柄である。ユキオが言う。

「子供たちに好かれるソニアは、本当にいい娘だね」

「うん、子供たちはホントに可愛かった。私も子供が欲しくなったのです」

「えっ?」

 ユキオはその真意をつかみかねて、会話が止まる。

「ご主人様、私にも子供くださぁ~い」

 と言ってソニアはユキオに抱きついてくる。

 彼女の髪のいい香りが鼻を甘くくすぐり、たわわなおっぱいのふくらみがユキオの腕に吸いついてくる。      

 ああ、たまらない。このままでは自分にも歯止めが効かないかも、とユキオは思う。

「とにかく今日はお疲れ様。お風呂に入っておいで」

 とユキオは彼女の体をお姫様だっこで抱えて、お風呂場の入口で降ろした。

「はぁい♥」

 ユキオの対応に満足したように、ソニアが言う。

 アイシルが呆れたように言う。

「ユキオ、女の扱いが上手くなったな」

 ユキオは真っ赤になる。

「いや、そんなことあるわけないよ」

「まっ、いいけど…」

 アイシルはいたずらっぽく笑った。



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