狙われたソニア! 彼女は絶対に誰にも渡さない!!
「おいっ! ザコ冒険者!!」
横から声が聞こえてきた。見れば、アキラが肩を抑えて立ち上がっている。
「そのウサギ奴隷、おまえにはもったいない!」
ソニアのことを、どうやら言っているらしい。アキラが続ける。
「そいつを俺によこせ。金ならいくらでも払おう。金貨100枚でどうだ」
とにかく上から目線でしか話せない男だ、とユキオは呆れる。
アキラの独演会は止まらない。
「なあ、奴隷ウサギ、俺なら今よりも10倍いい暮らしをさせてやれるぞ。こんなザコといるよりも、勇者とパーティを組んだほうが、ずっと評価も上がるんだ。俺のところに来い!」
アキラが、ソニアの腕を無理やり引っ張ろうとする。
「お断りです!」
ソニアが、アキラの手を振り払った。
アキラは呆気に取られている。自分の誘いが断られるなんて、夢にも思っていないのだろう。ソニアを見ると、彼女は初めて怒った表情を見せている。
「知らない男のところへなんて絶対に行きませんっ!」
そしてふたたび、ユキオの胸にもぐりこんできて言う。
「私はご主人様のものにしてもらったのです。だからこれからも、ずっとどこまでもついていきます……」
と言うなり、彼女は寝息を立ててしまった。疲れが限界に来てしまったのだろう。
「くそっ、このザコ野郎! 覚えてろよ!!」
捨て台詞をはいてアキラは去っていく。
そのさまは、とても勇者候補には見えない――。
ユキオはひとまず、アイテムボックスから簡易ベッドを取り出して、ソニアを寝かした。
ヤマタノオロチはしばらく燃えて、巨大吸血コウモリと同じように灰になった。その中に青色の光を放つ部分があった。そこを堀り返してみると、青色の光を放つ剣が出てきた。
これを見てアイシルが言う。
「この剣は妖気を放っているな」
アイシルは、
「インスタント・ケージ!」
と呪文を唱える。すると先ほどまでの剣の光が一瞬で消えてしまった。
「これで一時的に剣にこめられた妖気を封印したわ。だけど効果は1ヵ月ほどしかもたないの。それまでにどうするか決めましょう。しばらく剣をアイテムボックスで保管してちょうだい」
「わかった」
ユキオは剣をアイテムボックスにしまった。
「それにしても――」
と、アイシルが浮かない顔になる。
「ハルミの話ではヤマタノオロチ、あと4体も残っている。頼みの、うさみみは疲れて眠ってしまってるのに…。ここで他のオロチが出てきたら、私たちも絶体絶命じゃないかしら」
「まぁ、そうなんだけど…」
とユキオ。こう続ける。
「頼んでるものがあるんだ。町境のトラフ門まで付き合ってくれる?」
ユキオがソニアをおんぶして門まで行くと、
「お~い、ユキオさん!」
聞きおぼえのある、あの野太い声が聞こえてきた――。




