ソニアはえくぼが可愛い、けどそれだけじゃないよ、ここもアソコもすごいんだから
奴隷商人ウォルフガングが、お予算の中でオススメしてくれたのは、セクシーなオオカミ亜人のマンゾネと、ラブリーなウサギ亜人のソニアだった。
二者択一となったが、ユキオの気持ちは決まっていた。
「ソニア」しかいない。
ユキオはウォルフガングに告げる。
「このウサギ亜人さんでお願いします」
ウォルフガングは面白がるように、
「おやおや、そんなに即決してしまっていいんですか?」
とニヤついている。
アイシルは、
「ホントにこのコでいいの?」
とイラついた口調のテレパシーを投げてくる。
確かに「ソニア」は、女の子に一番嫌われるタイプかもしれない。ほんわかしていて、笑顔が可愛くて、冴えない男の子たちにも人気を集める、いわゆる「かわい子ぶりッ子」タイプだ。
おまけに身に着けているのも白いビキニ水着のようなコスチュームで、よくよく見ればバストのふくらみも太もももあらわになっている。女ウケせず男ウケする”観賞用”の女の子に見えてしまう。
しかしユキオはそんなところに惹かれているわけではない。
一緒に旅するパートナーとして、戦闘力もさることながら、穏やかで人懐っこく愛情豊か、その特性こそが大きなアドバンテージだと考えていた。
「アイシル、確かに『ソニア』は純粋な戦闘タイプじゃない。でも俺が望む冒険は”戦い”のみを繰り返す生き方じゃないんだ。確かに、戦いに勝たなければ生き残れない。それは事実だ。でも望まない生き方で生き残っても俺はうれしくない。もう、死んでるように生きたくはないんだ」
ユキオが送ったテレパシーはたぶんアイシルには響かないだろう。彼女にはユキオが何を伝えたいのかがわからないに違いない。
しかし今のメッセージこそが、ユキオの伝えたいことすべてだった。
アイシルはユキオにテレパシーを返した。
「わかった。ユキオがそこまで言うなら、私も従うよ」
きっとユキオの真剣さに対して折れてくれたのだろう。
ユキオはウォルフガングに言う。
「でも、今日は金貨9枚と銀貨5枚しか払えない。残りは後払いでいいですか?」
ウォルフガングは答える。
「ユキオさんの今の有り金、ほとんどですね。前金としては十分です。残りは巨大吸血コウモリの賞金が入ってからお支払いください」
こちらの懐事情も、彼はすべてお見通しだった。
「ありがとう、ウォルフガングさん」
「いえいえ、今後もどうぞ、ごひいきに」
と言ってウォルフガングは「ソニア」の檻の鍵を開け始め、彼女を外に出した。
うさみみが、ユキオの顔を見て言う。
「あなたが新しいご主人様?」
「ああ、よろしく」
「わたしを選んでくれて、ありがとう、なのだ」
奇妙な話し方をしながら微笑む。やはり愛嬌があって可愛い。
アイシルがイライラしてユキオの肩を蹴りつける。
「落ち着けアイシル」
とユキオはテレパシーで呼びかける