かつて巡り合うことがなかった君へ #1
私が目を開けた時、視界一面に何かが広がっていた。それが何なのか分からないが自分がうつ伏せであることからおそらく天井なのだろう。
しかし何だろうか、このグレーの天井と焦点がしっかり合わないことからぼんやりとしか見えない。
(いってぇ...)
遡ること何時間前かは分からない。
何者かに、正面からナイフで腹部を一刺し、途端に目の前が真っ暗になり、目が覚めたらここだ。
ということは、ここは手術室ということだろうか?そんなことを考えていると会話が聞こえてくる。
「...かったぁ...無事に..れて....」
「あぁ..本当に...よか....」
どうやら男の人と女の人のようだ。お医者さんだろうか?
意識があると伝えようとするも、思うように声が出せない。
首が思うように動かせない。
やはり、このまま死んでしまうのだろうか...
いい人生だったのかどうかは私には推し量ることができない。
なぜなら、まだ若かった。もっと生きていれば色々あっただろうに、
そうして私は眠りについた。きっともう二度と目覚めることのない眠りに。
しかし、なんども私に意識は訪れた。視界は相変わらずぼやけている。
(どうなっているんだ...)
そう自分に問いかけても答えが返ってくることはなかった。
なんどか繰り返しているうちに、だんだん目が見えるようになってきた。
それでも私は訳が分からなかった。脳が理解を拒んでいたのかもしれない。
しかし、あるとき、見知らぬ女に抱きかかえられ、その女が肩から服をおろし、ブラをおろし、左乳をあらわにした。それがゆっくりとおれの顔に近づいてきた。
もうこの事実に目をそらすことはできない。
私は、赤子なのだ。
転生というやつだ。
(もう一度やり直せたら。)
何度願ったことだろう。かなうはずない夢。しかしこうして私はここに確かに存在している。
私は前世お世話になった人に会いたいと、心からそう思った。
何度かそんなことを繰り返し、丁度二歳くらいだっただろうか、母乳を断つにはちょうどいい頃合い。
もう座ることだってできるし、移動もできる。しかし目的のためにできることもなく、
寝て食べて寝てを繰り返す毎日。こんな毎日もありだと思っていた。
そう思ったのもつかの間、テレビらしきものにはある映像がニュースという名目で流れていた。
「戦争」
そこには身に覚えのない種族の名前がたくさんあった。少なくとも4つはあったと思う。
これではっきりした。
ここは日本ではなく、ましてや地球ではない。
かけ離れた、どこか遠く。
けれども私はどこからどう見ても人間だ。母らしき人もおそらく人間であろう。
私は訳が分からず大きなため息をついた。同時にある衝動に駆り立てられた。
「魔法」
どう見ても戦争には魔法が使われており、私は目が離せなかった。
「何があっても戦争だけはしちゃいけない」
祖母の声が脳裏によみがえる。しかし画面にいる一人の白髪の女性から目を離すことはできなかった。
その動きは今まで見てきた美しいものと同等、もしくはそれ以上に美しくあり私は感動を抑えることはできなかった。
目の前の敵を一突き、後ろからの不意打ちにもまるで動じず、後ろに目がついているのかというくらいきれいによけて見せた。この女性がこの一人の男に大きな影響を与えたのは言わずもがなわかるだろう。
そして、この女性もまたこの男に大きく関わることになるなんてまだ知るはずもない。
夕日がまぶしい、ある日の夕方のことであった。
あとがき
皆様ご愛読ありがとうございます!小説を書くのは初で不慣れすぎて何をしていいか八歩ふさがりなのですが、精進してまいりますのでどうかよろしくお願いします。
現在高校生で文章も読みにくいと思われます。
よければ、アドバイスをたくさんいただけると、今後に生かしていけるので嬉しいです!
それでは第二話でお会いしましょう!