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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第一章 古き神事と理(ことわり)の捉え方
9/52

act8 フライング 三

主人公視点のみです。



pm4:00頃(16:00)

近隣の自然公園にて



安村ミコが広場の端まで行くと向こうは獰猛な獣ような顔つきになり

「行くぞ」の言葉を皮切りに

こちらに襲い掛かってくる。





ここまで単純で短絡的な奴なら何とかなりそうだ。



なんて思っていた時もありました。




いや、手ごわいね実際。



1メートルほどの長い棍棒をこちらに踏み込んで来た時に横なぎに振りきる。


空気を切り裂く音が耳もとで響く、まるで恐怖が刷り込まれてしまう。



速い・・・オレは座り込み棍棒を避ける。

不器用なりに行動している。



相手にためらいもないから、あの一撃を食らえば確実に病院送り決定だ。



それも運が良ければ病院送りで済むんだが、下手をすれば撲殺される。



病院どころか、墓場行きだ。

こっちは、もうご臨終だよ。



向こうは殺人犯になるんだけど・・・




この人はそんなことも考えないからできるんだろう。




ホントに単純で短絡的な奴だから、最悪を考えない。



因みにビカラからの情報なのだが、



歴代のクビラ関係の・・・刻印者の傾向は短絡的な人間が多いらしい。

まずこちらの話を聞かない。

単細胞の直上型がほとんどらしい。

 

迷惑な話だが、向こうの神様と波長が合うからかもしれんが、

その度にそんなやつと絡まれるのは大変なだけだ。



最早その人物に襲撃されているのでそれどころではない。


相手が使う武法具は金剛杵と呼ばれる

白いバットのようなこん棒である。




バットは身近なものだ、野球で使われるからどんなものでどう使うか簡単に想像できる。


近所のホームセンターに行けば手軽に手に入るし、学校の体育の授業でも使われる。


なので使い勝手がいい。



なんて考えている場合じゃない。



何もない所から棍棒が現れたのだ。

非常識にもほどがある、万国びっくりショーかよ(表現が古い)


マジックショー?でもタネはあるよね。


でも、あの棍棒がどこかに隠されていたようでもないし、物理的にもできない。


そのことに驚いてしまった。

まあ、驚いている間にそれを使って襲われたのだからホントにそれどころじゃ無い。


もちろん驚いているのは、オレだけじゃない。

安村ミコも同じである。


ただ、棍棒が現れるのとオレが襲われるのが同じタイミングだったので

襲われたことが驚くウエイトが大きくなっている。


オレとしては、とっとと冷静になって今襲い掛かってきてる奴の相方である導き手を呼んでほしい所なのだが、それどころじゃ無いようだ。


それはオレも同じだから何とも言えない。


ただ、オレの場合は知識としては理解できてはいた。

ビカラから聞き出してはいたので、だが頭で理解できていても実際に目にすると驚くしかない。

完全な非常識な現実を見せられているのだから。


さらに襲われて驚きよりも慌てている。


それでも冷静で居よう努めているだけだ。

そうしないと撲殺されるからだ。


目的もあるのにここでリタイヤするわけにはいかない。



「いやはや、マジックショーからの撲殺攻撃。割とえげつないね、奇襲という意味では見事だけど・・・」

オレは強気に言ってみる。


時間が欲しいからね。


それに対して男子学生は、持っていた棍棒を肩に乗せ、にやりと笑う。


「お前は刻印者で殺しても神様から罪に問われないんだろ、なら確実に潰せる方法を選ぶのが普通だろ」


「ここで仕掛けてくるのいかがなものかと思いますよ。まだ開始の合図もまだなのにフライングもいいとこなんで受けど・・・」


「何言ってんの、お前。もう参加証をもらったんだ、フライングも無いだろ。それにお前はオレの玩具になることは決定してんだからとっとと壊されろよ」

目がやばいな、高揚しすぎて周囲が見えていない。

それによく見ればこの人、割と有名人だ。


そんな人が犯罪を犯せばメディアの方々の獲物になるのがわかってないのかね。

あることない事ネットや紙面に書かれたい放題になるのに。


メディアの方々からすれば、犯罪者と有名人には人権がないと思ってやがるのに。



「説明受けてないの?先輩が脳筋なのは理解できていたけど、行動パターンまで安直になってるとは思わなかったよ」

と皮肉を込めてみる。


表情は見下しているままで何言ってんのこいつ?みたいな感じになる。

ダメだ、こいつ。


多分、力を手に入れて舞い上がっている状態で導き手からの注意を聞いていなかったな。


いや、その場合でもアドバイザーとして神将がいさめるはずなんだが・・・それも聞いてないのか。


どうしようか・・・



「先輩だと・・オレの事知ってんのかよ」


「そりゃ有名ですからね、野球部のホープで強肩スラッガーでしたっけ?未来が約束された人が撲殺事件を安直な理由で起こせば、さぞネットと新聞の三面記事をにぎわしてくれるでしょうよ」


「はあ?人の事脳筋呼ばわりするくせにバカだな、お前」

呆れた目で見て来た、アンタに言われたくない。


オレは立ち上がり、土ぼこりを払う。

「改めて言いますが、まだ開始の合図が終わってません。今行動を起こせばただのフライング失格扱いですよ。神様も守ってくれません、無駄死にですよ」



「お前の言い分が良くわからんわ。ただの逃げ口上にしか聞こえんわ」

少し苛立ち始めている様に感じる。


これだから脳筋単細胞は困る。


「逃げ口上でも何でもない、ただの事実ですよ。都合の悪いことを飲み込む器くらいあるでしょう?

野球部のホープ先輩」

と、皮肉を込めてみた。


「はあ?なめてんのオマエ。なめてるよな~その言い方。まるで人を見下すような口調になりやがって!ここで仕留めてやんよ!」

というと金剛杵を右手にこちらに駆け出してきた。







あれ?







逆上した?







何で?






図星突かれたから?







言い方まずったから?







わからん?






わからん?








これじゃあ、時間稼ぎにもならん。






後はオレがうまくかわし続けて安村の奴が向こうの導き手をここまで呼びつけてくれればうまくいくはずなんだが・・・・





まずい、不味い、マズイ。




それまでオレの体力持つかね・・・・



いや、やらないといけない。




このくらいで根を上げてたらアイツまで行きつかない。



オレは自分を奮い立たせるように言い聞かせた。





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