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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第一章 古き神事と理(ことわり)の捉え方
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act7 フライング 二



pm4:00頃(16:00)

近隣の自然公園にて



平静を装いつつ、こちらに向かってくる安村ミコを見る。


まあ、公園入口の縁石に座ってりゃ、流石にわかるか。


余程のアホの子じゃない限りは・・・まあ、安村ミコはアホの子ではないようだ。

うしろを気にしているようだがそれはやめてほしい所だ。


まあ、男子生徒は気づいていないようだ。

それよりも安村ミコが向かう先にいるオレに気づいたようで口元がわずかにニヤけているようだ。


見たくなかったな、ホント。


両目2.0の視力が悔やまれる、健康なのは自慢なのに見たくないものまで見えるのはいかがなものか?


それでも慌てることなく距離を取るのは見事なのだが、やはり尾行が下手で行動が怪しすぎる。

電柱に隠れるなんてドラマの見過ぎだ。


普段そんなことしないだろうが・・・


まあそれをオレは横目で確認して安村ミコを迎える。


彼女はオレの前まで来ると「待たせたわね」と声をかけてくる。

表情には、少し緊張が見られる。



流石に尾行されてます、と念話で連絡したのがまずったか。

でも、その後の事を打ち合わせするのは、大変だし早めにしておけば対処が楽になるからいいだろ。




「なんでこんな目立つところに居んのよ、バカなの?」

緊張してるくせに出会ってすぐにいきなりご立腹ですか、どんな精神状態ですかアンタ。



「念話はしたろ、お前さんと下手くそな尾行している奴にわかりやすい所にいるって。

そうしないとアホな子は気づかんだろ。それにわかりにくい所にいて隠れた方がいいか?」



「それはイヤだけど・・・わかっていても尾行されるのもいやなのよ」



「諦めな、それにもう少しの辛抱だ。来てほしくなかった相手が来てしまったんだ。

打ち合わせ通りに公園の奥にある広場に行こう。今の時間なら人は少ないから多少暴れても大丈夫だろ、鬼ごっこには最適だ」



「襲われることを鬼ごっこ扱いにしてる君も相当変な考え方になってるわよ」

と呆れられてしまった。


「そりゃどうも、いくぞ。折角来た相手をおもてなししないといけないからな。

会場にむかおう」

と、いってからオレが公園内の中にある広場に向かう。

安村ミコが慌てて追いかけて来た。


何か言いたそうだけど、相手にしている余裕はない。


「さっき打ち合わせした通りに頼むぞ」



「ホントにやるの?避けられないの?」



「言ったろ、玩具を手に入れた奴はそれを使いたくて仕方がない。

そんな奴に話なんか通じん。無駄に時間と労力をかけるわけにはいかん」



「そんな身もふたもない。何とか争うことを止める努力をしましょうよ。

話せばわかるものでしょう、相手は人なんだから」

と、割と真面目に聞いてきた。



オレはその言葉に嘆息して答えた。


その嘆息に安村ミコはムッとしたようだ。


「いいかい、さっきも言ったけど相手は相手は遊び相手を求めている。

こっちの言い分を聞くことはない。その考えは甘ちゃんの考え方だ」



「でも、出来な・・・」

安村ミコの言葉を遮るように


彼女の声よりも大きめの声で遮る。


「話合えば!分かり合えるならこの世から戦争や殺人事件何てなくなるよ。

世の中にはどうにもならない事も多いんだ。だからこそ常に最悪を意識しておく必要がある。

出来ない甘ちゃんからつぶされるかつぶれるだけだ」


オレの言葉に反論しようとしていたが、もう目的地に着いた。


広場の真ん中あたりまで来ると


オレは立ち止まり大声を張り上げる。



「そこにいるんでしょう。いい加減に出てきてくれませんかね」

オレは、振り向き誰もいない林の中を見詰めたまま言い放つ。



安村ミコも同じ方向を見たが誰もいない。

しかし、しばらくして木の陰から一人の男子学生があらわれた。


その学生は、そのままこちらに歩み出てきた。

顔には自信があふれており、自身の負け何て考えてないようだ。


その姿を見ると学校でも有名な男子学生だった。


「先輩は、クビラ関係の人ですかね?」

オレは臆せず尋ねる。


ホントは武法具を確認してからの予定だったが、早めにわかるならそれに越したことはない。

自己申告してくれるならそれに越したことはない。



まあ、そこまでアホな子なら、ね。

なんて思っていると



「へえ、よくわかったな。オレがクビラの刻印者だと」

その男子学生は落ち着いた口調で話すと





あ、アホな子だった。



オレは呆れてしまった。見事なまでの手の内の見せっぷりだ


彼は、ニヤけながら右手に白いバットのようなものを出す。

まるでマジックショーのようだ。


それに驚く安村ミコ。

何もない所にいきなり1メートルほどの長い棍棒のようなものが突然現れたのだ。

誰だって驚く。



それにしても、口だけでごまかして優位にも立てただろうに。


それをまさか答え合わせまでしてくれるとは、親切だね。




いや、アホの子を超えてバカになったか。



それとも考えがないのか。

オレは念話で彼女に言う。


『どうやらクビラさんの様だ。打ち合わせ通りに頼む』


驚いている彼女は、オレの念話で我に返ったようだ。



「さて、彼女がこの場を離れるまで待ってもらえるかい。

アンタの目的はオレだろ」



「へえ、オレの目的が理解できてんだ。物分かりがいいね、いいぜ待ってやる。そこの女さっさと離れろ」

と、相手を見下したような目でこちらを見る。



アレは確実にこちらを格下だと思っている。

油断しまくりだね、アレじゃあ足元をすくわれる人間の典型だ。



流石は、バカの子。




アホの子の上位個体だ。



ここまで単純で短絡的な奴なら何とかなりそうだ。





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