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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第三章 縁を紡ぐ糸と真実を呼ぶ鐘の音
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act47 連戦 四



「これで終わりだよ」

と、ワンコは言うと左手を前にしてこちらを見据えた。

その瞬間、オレの真下から木の根が槍のように五本突き上げてきた。


オレはのけぞるように避けるが、器用なことに木の根は方向を変え、

追いかけてくる。


器用なうえに、面倒すぎる。


オレは、左に体をひねり転がる。


体をのけぞって左にひねるなんてすれば、もはや起き上がるより転がる方が速い。


よけた跡に木の根が突き刺さる。


転がりながら距離を取り体勢を整える。

膝をついた状態だが、起き上がることができた。


先制攻撃としては見事だ。


なんてほめてる場合じゃない。


こっちは手数で挑む。

三十の武法輪を空中に展開して、ワンコに向けてたたきつける。


勿論、高速回転をさせて弾丸並み速度で。


ワンコに届く前に木が邪魔した。

武法輪は、突き抜けることなく木をえぐるだけで止まる。

木の繊維に阻まれて期待した効果が出ない。


温度を上げて燃やすことも考えたが、相手は生木だ。

煙が出るだけでなかなか燃えない。


よしんば燃えたとしても、燃え尽きるまで時間がかかる。

燃えた木でムチのように攻撃されればこちらが不利になる。


切り裂くにしろ、固定されていても切るのに時間がかかるのに動いていれば

簡単に切り裂けない。


アニメや漫画で簡単に切り裂かれる木を見るけど現実は甘くない。

燃やすにしろ、キャンプで使う薪が乾燥に二年はかかるって初めて燃える薪になるのに生木なんて簡単に燃えない。


ならば、と思い

地面にタイルのように武法輪を敷き詰める。


だが、それもさらにしたから突き出てくる木の根に弾き飛ばされる。

重力の罠も意味をなさない。


「もう手詰まりかよ、意外にあっけないな。このままオレが残りも仕留めて連勝かよ」

と、口角が歪む。


もう勝ったつもりかよ。


それもそうか、木のことわりだけで、これだけ優位に立てれば思い上がりもするか。


武法輪をオレの周りに展開できれば簡単なんだが…

と考えていると


『そのくらいできるぞ』

と不意にビカラが話しかけてきた。


『できるのか?』


『空中に何百と展開しただろうが、何をいまさら言っている?』

とさも当たり前だろうと答えてきた。


それなら


『オレの周りを回転して回ることも可能なのか?』


『出来るぞ、そのくらい。思い浮かべればできるぞ』


オレは試しに武法輪を二個展開して自身の周りをまわるように動かしてみる。

見事に思う通りに動いてくれた。


これならなんとかなりそうだ。


『何をするつもりだ』


『決まってるだろ、悪い事だよ』


『なんでだろう、その答えがしっくりくるな。オマエは』


『誉め言葉として受け取るよ』


『皮肉なんじゃがな』


その言葉の後にオレは、仕掛けを施した武法輪を斜めに回る様に四個展開させる。

もう一つ四個を先ほどと異なるように斜めに展開させる。


見た目にはクロスするようにオレの周りを回転させるように展開させた。

さて、この仕掛けがうまくいけば勝機もある。


ワンコが、木の根を槍のようにこちらに向けてきた。

動きもせずこちらを見据えたままで。


いくら何でもこの状態が続けば、タネは理解できる。

アイツの木のことわりは、あの弓を地面に触れていないと発動できないようだ。

それも発動中は他の事が出来ない。

複数の行動ができないようだ。


だからこそ動けないのだろう。

あと、なぜか念話が出来るようにしている。


アレは、導き手に何かさせる為だろう。

こっちの手の内を調べさせてすぐに対応するためかね?


なんて考えていると木の根が迫る。

相変らず五本だ。


最大値が五本なのか、フェイクかわからんがこっちのは好都合だ。

オレは、その五本の木の根に仕掛けを施した武法輪をぶつける。


切り裂くことはできなくても切りつける事は出来る。

五本ともにうまく切りつけることができた。


オレは、襲い掛かる木の根をかわす。


木の根は、地面にぶつかる前に方向転換し、オレを追いかけてくる。

が、その内の一本が、横凪にオレに叩きつけられる。

流石に避けきれずにオレは両手をクロスさせて受け止めた。


その瞬間、木は砕け散る。

オレは、目論見がうまくいったので少し安心した。

意外と融通が利くことわりだと思った。


「何をした!!!」

ワンコが驚きの声を上げる。


そりゃ、驚きもするだろう。

攻撃が当たった瞬間に自身の木の根が砕け散るなんてわけもわからないだろう。

でも、


「なんで、答えてやらないといかん。

質問されて答えるなんてどこのヒーローだ。

わざわざネタ晴らししてくれると思っているのか?どこの甘ちゃんだよ」


「何でだよ、普通なら答えるだろうが!!」


「答えるか、そんなもん!

考えが甘いんだよ、戦っているのに手の内さらしてどうする?

聞かれたから答えるなんて、そんな都合のいい話があるか!」


「ぐぅっ!」

と、ワンコは言葉に詰まる。


当然だろうが、負ければ終わりの戦いで何で手の内をさらすバカがいる?。

そんな考えが出来る甘い考えでいられる?

不思議で仕方がない。




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