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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第三章 縁を紡ぐ糸と真実を呼ぶ鐘の音
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act45 連戦 二



走り出すウサギさん。


さすがは機動力重視型。


動きが速い。



でも、 



考えが甘い。



オレが敷いた武法輪の上を走りだす。


そこは、危険地帯だよ。

もう少し、やり方を考えて行動しなよ。


なんて考える、暇もなく。

仕掛ける。


ウサギさんは、オレに届きそうなところで突然動きを止める。


正確には、動けなくなる。

よ積んばになり、苦しそうになっていた。


まあそうなるわな。


「こ、今度は…何…を・した」

苦しそうでも聞いてくる。


何を期待している?答えてくれと思ってんのかね。


そこまで親切じゃないよ、オレ。


「答えると思うかい?味方でもないのに。

聞けば答えるなんてするわけないだろ。

オレが不利になるのに考えが甘いよ」

と、オレが言うとウサギさんは歯ぎしりをした。


そうなるわな、何でも思い通りになるって考えるのは甘い。

世界は、理不尽で出来てんだよ。




自分に都合よく出来てない。




当たり前だろ。



動きが完全に止まり、苦しんでいるウサギにそろそろかと感じた。


「どうだい、これで終わりだ。もう戦えるほど体力もないだろ。

引き分けでいいかい?オレはもう一戦ある。

それとも頑張るかい?もう手も足も出ないだろうけど」

追い打ちをかけてみる。



これは、いやがらせだ。



それでもやっておく。


彼のためにも。

オレは悪いヤツを演じる。


必要だからね、この世界は、平等に理不尽だ。

思い上がれば、その理不尽が牙をむく。


相手に押し付けていれば、返ってくる。


苦虫を嚙み潰すように

「わかった」

小さな声で答えた。



かなり屈辱なのだろう。



でも、受け入れる覚悟もいる。

経験だよ、なんでも。


現状をあるがまま受け入れる。

大変なんだけどね。


「ならば、この試合の引き分けを提案する。相手の了承も得た」

と、高らかに言うと


《子と卯の刻印者の痛み分けを了承しました。

これにより奉納神事 神武天 を終わりなのですが、

子と未の刻印者が決闘意を交わした状況で立ち合いました。

このまま神事を行いますか?》

と、以前聞いた司会アナウンスが響く。


オレは、今の戦闘を解除してウサギさんを解放する。



「オレは、問題なく行います」

と、答え



入れ替わるようにウサギさんが退場し、

ヒツジさんが離れたところでオレと、正対して

「オレも望みます」

と、宣言する。



《子と未の刻印者の同意を得ました。

これより奉納神事 神武天 を許可いたします。

双方、悔いの無きよう力の限り戦ってください》

と、司会アナウンスが響く。


さて、第二戦だ。


こちらは、あくまでも探り合いでいいはずだ。


引き分けることが前提だからね


まあ、そう思うのはオレだけなのかもしれないが…おや、鎧を着ないのか?


「鎧を着ないのか?」

たずねてみると


「着ても意味がないだろ、お前さんの戦いを見るのは二度目だが、その両方が今のように圧倒しただろうが、なら意味がないし、工夫することが大事なんだろ」

と、困りながらも強がって見せた。


なるほどね、どう対応するか考えるためか。


オレが先手を打つべきなんだろうな。

こっちの動きに合わせてくるんだろう。


と考えながら目の前に武法輪を三つ出して、横回転させる。

ドリルのような観点をさせてヒツジに向けて撃ちだす。


ヒツジに向けて撃ちだされた武法輪は、

彼にあたる前に空中で停止する。


回転と勢いはその周りの風により止められたのだ。

風の結界と言ったところか。

やるね、使い方がうまい。


オレを真似てみたのか?それともあそこから攻撃につなげるのか。

それとも…なんて考えていると


「オレは、この試合の引き分けを提案する。そちらはどうだ?」

と、先に引き分けを提案してきた。


なんか、自分の防衛方法を試したかっただけなのか。

それとも…まあいい。


「こちらもそれでいい」

と答える。


引き分けることが目的だからな。

まずはそれを優先させる。


《子と未の刻印者の痛み分けを了承しました。

これにより奉納神事 神武天 を終わりなのですが、

別の刻印者がいます。

このまま神事を行いますか?》

と、司会アナウンスが響く。


何を言っている?と思ったら


鳥居から人影が現れる。

戌の顔をした方位鎧を着た刻印者と導き手が現れる。

「オレとも戦ってくれよ」

と、歩み出る。


予想外の来客に困惑する。


狙ってやがったな、こいつ。

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