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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第三章 縁を紡ぐ糸と真実を呼ぶ鐘の音
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act34 刻印者と導き手の気まずい会合 二



服を着替えて神楽殿に向かう。


変じゃないかな、似合ってないかもしれないから他の服がいいかな、

なんて思っていると母さんが

「いつまでやってんの、さっさと台所に来てお茶とお菓子もって神楽殿に行きなさい。アンタが奥手で恋愛ごとに不器用なのは知ってるし、それが原因で刻印者を決めることができないでいる臆病者なんだから」


「言い方!それが娘に対する実の母親の言うセリフ?!」


「良いのよ、アンタは。

それに偶然捕まえた刻印者がなかなかの優良物件みたいじゃない」


何で久野を家扱いしてんのよ!


ん?なんかこのセリフどこかで聞いたような…


「どこの世話好きおばさんにみたいになってんのよ」


「このくらいグイグイいかないとアンタ動かないじゃない。

活動的な割に純粋培養の乙女みたいな思考するんだから。

自分がめんどくさい人間なのいい加減自覚しなさい。

だから、ぼやかないでさっさと行く。

お婿さん待たせてるでしょうが!」

と、強気にお茶とお菓子の乗ったトレーを渡され背中を押される。


クソ~、当たってるだけに言い返せない。

口では勝てないか。


と思いながら、神楽殿に向かう。


そこには、子供見たないな目で周りを見ている久野がいた。


こないだの食事会でも思ったけど

…なんか私の知らない久野を見てばかりいるような気がする。


無口でしかめっ面で不器用者を絵にかいたような久野の別の顔。

もうギャップがひどい。


やめてよね、恋愛経験ゼロにはえげつないほど攻撃力だよ。


私、やっぱチョロいのかもしれない。

今の久野が可愛くて、愛おしくて、頼もしくて…

ああもうなんか、こんがらがってくる。


もう行こう。


考えるのをやめて彼の前まで歩き正面に座る。


なぜか直視できない、恥ずかしくて斜め左下を見てしまう。



気まずい、非常に気まずい。



「なあ」

と、声をかけられると


「ひゃい!」

と飛び跳ねるように驚いて返事してしまった。



返事も噛んだ。



ハズイ、気まずい、もう逃げたい。


泣きそうな私に久野が、言った。


「今日さ、ひつじの刻印者にあった。オレと神事で戦いたいそうだ」

その言葉に今までの感情が吹き飛んだ。


何?服とかほめてくれないで…結構意識して選んだよ。

じゃなくて、また刻印者に絡まれたの?


また、場外乱闘になるの?


「どういうこと、何でひつじの刻印者が絡んでくるの?この間イノシシの刻印者に絡まれたばかりじゃない」

私は、両手を床について久野に詰め寄る。


「言い分はもっともだ。かいつまんで説明するから落ち着いてくれ」


彼はその通りに説明してくれた。

ひつじの刻印者に戦いを挑まれたこと。

条件を出されたが、全て拒否して逆に条件を出したこと。

向こうが条件の検討の為、持ち帰り後日話をする事。

そして、こちらも相談すということ。


もう、現状のデレデレ状態を吹き飛ばすほどの情報量と内容。


なに、何なのよ、こいつは!


不意打ち量産機にでもなってんの?

それともトラブル持ち帰るのが趣味なの?


なんて考えていたら、ふと冷静になってしまい私も思い出す。


そういえば私もあったわ…人のこと言えないよ~。


上目遣いに彼を見て

「うん、わかったよ。私も同じこと受けたから今から話すね」



今度は、私が説明をする。

ウサギの導き手から戦ってほしいとの要望を伝えられたこと。

初戦の条件を消化でいなくて困っている事。


ただ、愚痴合戦の事は伏せました。

なんか情けないじゃない、不満言いまくって当人目の前にしたらテレまくって…


情緒不安定か、って自分を自分でツッコミたくなる。


「そうか安村もか。初戦経験を行うことという条件は難しいようだ」

と、顎に手を置き考えに耽る。


もうやめてほしい、ギャップの見本市みたいに。

私、久野に引き寄せられてる?


確かに自覚はあるけど、この短時間でグイグイ攻められている。

こいつに自覚があればだけど…自覚ないよね。


無自覚のたらし何て危険人物だわ。


あっ!ひょっとして、他にも陥落させられている女の子を量産してない?こいつ!


くっくそ~。この無自覚人たらし量産機め~。

昔から好きでした、なんてテンプレ許してなるものか~!


ん?でも関係ないか、私は久野と神様の元で婚約してんだ。

アドバンテージは私にあるし、と言うか。もはや決定事項だし…うん、気にしないでおこう。


神様味方につけてるし、後はさっさと久野を陥落させればいいだけだし…


てっ、もう何、恋愛脳になってんのよ私!


私は、両手で自分の頬を挟み、悶えている。



それを襖の隙間からその様子を見ていた安村母は、小さくため息を吐く。

「もう乙女モード全開じゃない、そういうとこよ。チョロいって言われるところ」


娘の恋を応援したいが、うまくいくのか不安に駆られる状況であった。



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