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アンティーククロック~復讐を目指す非常識現実生活~  作者: 団栗山玄狐
第三章 縁を紡ぐ糸と真実を呼ぶ鐘の音
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act33 刻印者と導き手の気まずい会合 一




オレはいつものように安村のジイさんに稽古をつけてもらった。




その間にしごきと言う名の修行を行い、のろけ話を聞かせろと責められる。


なぜ、責められるかわからんが…




もう接吻は済ましたのか。


それ報告義務あるか?




早くひ孫が見たいだ。


気が早すぎるだろ、まだ学生だぞこっちは。




もうココに住んだらどうだ。


飛躍しすぎだ、どうすればそうなる?




とか、なかなか孫娘を大事にしている祖父のセリフとは思えん言葉で口撃してくる。


このタイプの口撃は、自身の幸せな結果も織り交ぜてくるから

苦手で受けたこともないので、ちと反撃に困る。


そこまでオレは器用ではない。


向こうは生きている時間が長い分、一日の長がある。

しかも、しごかれてからだから体が動かないし、頭もうまく回らない状況で

やられるので反撃どころか、逃げ場がない。


外堀埋められて、城壁で囲まれて、椅子に縛り付けられて、尋問されている気分だ。

犯罪者かオレは。


確信犯的な行動が多いジイさんだが、

嬉しそうにこちらに仕掛けてくるのが若干イラつく。


いや、結構イラつく。


その修羅場?をくぐり抜け、クールダウンを兼ねて、神社を回る。

この神社は、古い時代から受け継がれている建物も多い。


知らないことも多い。なのでそれを見て回るのはむしろ好みだ。


そして、見て回っていると、


「居たんだ?久野」

と少しテレ気味に顔をそらし、視線を向ける安村がいた。


オレもジイさんの口撃で意識したくないのに意識させられていた。


目の前の彼女の事を。


気まずい沈黙が続く中、


「あら、帰ってたのミコ。

なら二人で神楽殿(神楽を舞うところ)で休憩したら?

神様の前で神聖な夫婦の儀式をしてもいいわよ」

と、安村母が茶目っ気たっぷりで声をかける。


「しないわよ」「しませんよ」

二人声をそろえて言葉を返す。


「まあ、仲良しさんね。声をそろえて」

と嬉しそうに見てくる。


なんだろうか?ここの人たちは意地でも意識させようとしているのか。



策士の巣窟なのか、ここは。



て、手ごわい。


今までで一番。


ヤヨイ姉でもここまで露骨に来なかったのに…個々の人たちは遠慮がない。


ド直球で来る。

なんて恐ろしいんだ。


そう思いながら、安村は、着替えるために部屋に戻り、

オレは神楽殿に案内される。


安村母の視線は、生暖かい。


期待には、応えませんよ。


絶対に。思いながら。



しばらくして、少し神聖な感じがする、神楽殿でオレは座り込み見回す。


神様に奉納する神楽を舞う場所は広いし落ち着かない。


そんな中、安村が薄いピンクのワンピース姿でトレーを持って現れた。

トレーをもってオレの前まで来るとそのまま座る。


そして、短い沈黙ができる。

ほろく静かな部屋で二人きり、しかも不意打ち気味に婚約発表、さらに追加でジイさんにからかわれ、もうごちゃまぜ状態だ。


意識するな、というよりも意識し始めているという感じにオレがなっている。


向こうもそうなのだろうか、どんなんだろう。

考えがまとまらん。


向こうを見れば、斜め左下を見てこっちを見ない。


気まずい、非常に気まずい。


「なあ」

と声をかけると


「ひゃい!」

と飛び跳ねるように驚いて返事する。


「今日さ、ひつじの刻印者にあった。オレと神事で戦いたいそうだ」

今日の出来事を連絡した。


この気まずい状況に耐えれなくなった。


ならいっそ、自分の土俵に戻せばいい。

他の事は、あとで考えることにした。


自分でも不器用すぎると思う。


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